旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

美しい、チベットの古い装飾品のベルト

2025年02月11日 | チベットもの



チベットの装飾品である古いベルトの紹介です。
個人的にも愛用しております。

では早速。



全体像です。
極太タイプの古いオリジナルの極上品です。

光り輝くベルトのバックルが複数つきます。
極太タイプです。
革はヤクの革で、使い込まれております。



バックルは銀板ではなく、細かな銀象嵌で埋められています。
単に銀で埋めるのではなく、吉祥文様も施されています。





財布などを吊るす役目のフック(取っ手)部分にも銀象嵌が入っております。




留め具にも銀象嵌が入ります。
細部まで凝ってます。



五個のバックルが付属し、
成人男性が腰に巻ける長さです。
比較的大きな物が多いチベットのベルトとしても大型の部類です。



漢汁全開ですが、
色気があります。




透かし彫りタイプもあります。
珍しいです。
細かい透かし彫りのバックルが複数付属する細いタイプです。



厚い銀の板に、
唐草紋様または波紋様が丁寧に表されております。



縁取りも施されて繊細です。



留め具部分の紐も編み込まれた仕様です。
通常は穴を開けるだけですが、なんと編み込みです。



問答無用で美しい装飾品なのです。

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チベットのベルトといえど千差万別です。
銀象嵌ベルトも極太から細いタイプまであります。

銀象嵌の荒い物から細かい物もあり、
彫りが入った技巧を凝らした物から、
真鍮製の安っぽい物まであります。

技巧を凝らした、
オリジナルの美しく古いベルトは減りました。

そして若いチベット人の多くは、
今では日本と同様に現代的な洋服を着ています。
特に、伝統的なベルトは今では殆ど着用されなくなりました。

もし上記のベルトを新しく作るとしたら、
昔とは比べ物にならない程の手間や時間や、
お金が必要となるでしょう。

実際に、現代のチベット人の伝統民族衣装のベルトでも、
新品で作られた淡白な見た目の簡易的なベルトが流通しております。

現代で再現するのは難しいと思える、
民族特有の古いファッション装飾品です。

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チベットの多くの古い物にも共通する事ですが、
中でもベルトなどの装飾品は持ち主にとって身近な存在です。
物語があるのです。

僕はまだ多くに知られていない、
装飾品と物語を求めています。

それらを発信して広めるよう努めているのです。
広まってくれれば僕も嬉しいのです。
価値観を共有できるからであります。


流行上でのファッションの域に留まらない、
「美しい価値観と、その物語」を知ってほしいのでございます。


チベットの失われゆく文化の装飾品の紹介でした。



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古い物の行方と存在場所

2025年02月04日 | チベットもの




古い物の行方と存在する場所を書きますて。
何処で売っているか、または何処に存在するか、と言う事です。

「チベットの古い物が減った」と言われております。
僕自身も言っております。

僕の言葉の意味は「現地で、表では姿を見なくなった」と言う方が正確です。

もしカトマンズのタメル地区とかでのみで探してたら、
「良い物と出会えない」や
「古く良いチベタンターコイズを数を揃えるのは無理」だとか聞くでしょう。

そりゃ、無理やで、旦那。

凄い物を持っている人はおります。意外と多いです。
イカつい珊瑚のネックレスや、オリジナルのジービーズを持っている地元の一般人も居ます。

売らない場合も多いですが、
売る場合は、仲介する老舗の店主が買い手と直接売買していたりします。
直接売買で買い手の元へと旅立つのですな。

なので、現地であっても、店頭に出る事がない場合もあります。
ですが、存在はしております。


そして、古い物が破棄されるのであれば話は別でしょうが、
チベットの古い物に関して、多分そんな事は少ないでしょう。
ブランドの服などに比べれば市場自体が小さいからでもあります。

なので、「存在場所を変えている」または「表に出てこない」
と言うのが実際の事実でしょう。

何故なら、バイヤーやディーラーに買われても、行先は何処かの買い手です。
その買い手(購入者)の元に、その物は有るのです。

考えれば当たり前です。

上述した直接売買を含めた、その購入者が持っているのです。
または何年も前に手に入れた人の元にあります。

「収まる所へ収まれば、出てこない」

その言葉は、骨董業界や売買業者間でもよく使われます。

つまりは、美術館や本気で愛好するコレクターなどの元へ行ってしまうと、
当分の間は売買市場に出てこない、と言う意味です。

しかし、今は昔に手に入れた人が老齢になり、手放す時期です。

それはチベットの古い物に限らず、
和骨董や西洋骨董、
バブル期に嬉々として日本人が買い求めた絨毯に至るまで
売買市場に姿を現している時期です。

ある意味、今が買い時かもしれません。

ただそれは「来歴をしっかりと見る必要」があります。

僕は来歴に正直さを感じないと手に取りません。
表向きの言葉は信用しません。
何故なら、「来歴に、物の真実のヒントが隠されている」と思っているからです。

そして、現地ですらも売主が来歴を曖昧にする意味を知っているからです。

だからこそ僕は物の来歴を重視し、
可能な限り、物語の在り処に辿り着く努力をします。

金銭商売のみの枠に留まる事は避ける、
と個人的には念頭に置いております。

僕は美しい出逢いを求めているのです。

それが僕が旅する理由でもあります。

もっとも、やり方は人それぞれでしょう。

.

一方で、売買市場に姿を出さない物も数多くあります。

歴史的価値がある仏画や仏像ですらも、奥地や僻地のお寺に存在しています。
中には、セロハンテープとかで壁に貼られている貴重な古いタンカすらもあります。
それらは鍵が掛けられた本堂や暗い部屋にひっそりと存在しています。

寺側が手放さないのです。

それらは売買市場に出たり、光が当たる事は当分ありません。

静かに眠っているのです。

もちろん、行きさえすれば見る事は可能です。
個人的には何処かの日本での展覧会に行くより遥かに価値があるとは思います。

なので、日本だけの情報やネットだけ見ていると知れない事も多いです。

昨今の優れたAIですら、現状では、
インターネット上に存在する情報を集積し分析した結果に過ぎません。
そもそも、元になる素材がネット上に無いと分析や展開ができません。

ネット上での展開は、人間で言う想像と似ていると感じますが、
AI君の独自の想像になってしまい、学習と呼ばれるその想像は、
ネットでの文言や情報に基づいています。
事実とはまるっきり違う結論が出てくるかもしれなくなります。

ネット情報だけではなく、
売買での場の売主の言葉だけを信用していると、
眼が曇る事もあるかもしれません。

僕の言葉ですら、その一部に過ぎません。


真実や正直な物語は、
何処かの空の元にあるのと思えるのです。



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チベット仏教の帯同祭壇ガウ

2025年02月01日 | チベットもの




ガウ(Gau)の話です。

ガウとは、チベット仏教での正当な法具です。
各々が信仰する護符や経典、仏像や豆仏などを入れて帯同(携帯)する容器です。
首から吊るしたり、大型のものは肩から掛けたりして持ち運びます。

大きさも巨大なものから手のひらに収まる小型まであり、
素材は銀や銅、真鍮が主な素材です。
金(ゴールド)製も稀にありますが超高額です。

装飾が施されたガウはチベット人の間で価値を置かれ、高額で売買されています。

以前から古く大きなガウは、それなりに高額でしたが、数年前に価格が急騰しました。
今はブロンズや銅などの古い金属容器類が、チベット人の間で人気を集めております。

とは言え、ガウは変わらず正当な法具であります。

では写真です。





ニマダワ(太陽と月)型の古い銀製ガウです。

ヤクの紐にメロン(鏡)やトクチャが付属するオリジナルです。
ガウの中心部にはチベタンターコイズが付きます。

一般人が使用していたままの状態で譲り受けました。
日本でよく見る、売主が後付けした物では無いです。

古くてサイズも小型で、珍しいタイプです。

旧知のチベタンから譲り受けました。
昔は、すごい奥に小さな店を構えていた頃からの付き合いです。
一般人であるチベット人同士のコミュニティと深い関係があり、
「どっから手に入れたの?」と思える、珍しい物を突然持っていたりします。

納得の良きガウです。






小さくキュートなガウです。
もちろん、古いオリジナルです。

今までも多くのガウを見てきましたが、これは一眼見て惹かれました。

このガウは市場にあるガウより、ひと回り小さいです。
銀製です。

裏面はダブルドルジェ(または花)が刻まれている、
チベット本土ラサ近郊でも目にするタイプのガウです。

細かい技巧を凝らしたガウも良いですが、
特有の雰囲気があって美しいです。
正直な物語を語っているのを感じます。

個人的に着用したくて手に入れ、
シルバーチェーンは現地で後から付けました。

旧知のバリバリのチベット人のオバハンが持ってました。
このオバハンとも長い付き合いです。

面白いキャラクター(チベット語の語尾を伸ばす、少しおちゃらけた話し方)と
情に厚く、商売っけがない所が気に入ってます。

彼女の店は様々なチベット人(一般人から業者まで)の溜まり場になっていて、
お茶をしながら世間話をして僕も楽しんでいます。
滞在中は、ほぼ毎日、僕は行きます。

彼女の店に溜まる多くにチベタンは、英語を話せないガチ系チベタンですが、
中には英語を話せる人が居て、通訳をしてもらったりしてます。

余談ですが、小さな銀製ガウはヨーロッパのコレクター間で根強い人気があるそうです。

ガウは日本だとマニアックな部類かもしれないです。
そもそもあまり知られてない気がします。









華美な装飾を一才省いた、素朴な佇まいが美しいガウです。
大きさと古さがあります。

美しいフォルムをしています。

「チベット民藝」というジャンルを、人知れず僕はやっております。
僕の得意(自称)とするジャンルでもあります。

民藝という言葉は安易に使いたくはないですが、
僕的には「民藝の価値観をチベットの古い物に視ています」

この価値観が僕の根本にあります。

最近「キハチはチベタンターコイズを推している」と思われがちですが、
確かに推してますが、それは今に始まった事ではなく、
チベタンターコイズは昔から好きでした。この仕事を始めるずっと前からです。

本来は多種多様な古い物、特に「物語のあるモノ」を僕は趣向します。








東チベットのカム地方のガウです。
銀の表面に細工と、中央にジッパ(護獣・神獣)が表現されています。
大きなタイプです。

だいぶ前に東チベットのカム地方で手に入れました。
あの頃は珍しい物にも出会えたのですが、今はどうなっているのでしょう。

ネパールのチベット人地区で長年商売をする知人は、
「最近のチベット人業者は中国人化している」と嘆きます。

僕も、よく雑で乱暴な値引き交渉をするチベタン業者も見かけます。
何処かの国の品のない業者みたいな感じです。

ラダックでも、僕の友人たちを含め、
ラダックへ仕入れに来て、交渉するチベタンも居ますが、そこまでゴリ押しはしません。

ネパールにチベット人が来るには中国のパスポート保有者などで、
ラダックに中国在住のチベタンが来ることは少ないです。

インド国内にも多くのチベット人が居住していて、
僕の友人のドルジェはインド在住チベタンですが、ガールフレンドはネパール在住のチベタンです。
そういうケースもあります。

因みに、彼らは今風チベット人で、ドルジェと一緒に彼女ともお茶をした事がありますが、
彼女はヘソだしの服装、英語も流暢なニュー・ジェネレーションのチベタンでした。

アメリカにも多くチベット人は居ます。

また、ラサやカム、アムドに居る、または来るチベット人業者は、中国圏在住者がほぼ全てです。
稀にネパールから中国に行くチベット人業者も居ますが。

チベット人と一口に言えど、住む地域で生活様式なども様々です。

因みに、全員がチベット仏教徒とは限らず、
イスラム教のモスリム・チベタンも多く存在します。
概ね、モスリム・チベタンは商売上手です。


話は脱線しましたが、
チベット仏教のガウでした。



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チベタンターコイズのアンティークの定義

2025年01月28日 | チベットもの



アンティークの定義とは
「100年以上を経過した物」というのは
骨董の世界、古物業界では常識です。

では、
チベット仏教圏や僻地や辺境、
業界以外の現地ではどうなんでしょうか、という話題です。

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チベタンターコイズを例にしてみましょう。

現地では「チベット人の」を意味する「チベタン」は付けず、
単にターコイズを意味する「ユゥ」と呼ばれます。

チベタンターコイズは、
チベット語で

「ニンバ(古い)」か
「サパ(新しい)」で

判別されております。

アンティークという言葉は付随されず、
アンティークという概念も一般的にはありません。
正確には、その定義は知られていません。

なので、そもそも
アンティーク・チベタンターコイズという名称は現地では存在しません。

売買業者は言う時がありますが、一般人はその名を呼びません。
僕も日本で説明する便宜上、その言葉を用いているだけです。

僕の経験上、
チベット仏教の古い物に関して、
上記の「100年以上経過したか否か」の定義においてのアンティークは、
現地の一般人にとって、意味は薄いです。
チベタンターコイズに関しても同様です。

50年物だろうが
150年物だろうが
その違いはほぼありません。

もちろん、それらを売買する業者やコレクターはこだわります。
僕もこだわります。

しかし、
チベット仏教圏での一般人は気にしません。

彼らは「ターコイズを、質や色、大きさや形」で価値を判別します。
古いかどうかの優先順位は低いです。

それが何故か販売の場に置いては、
時として、古さで値段も違いが出てしまいます。

それがリアルです。

ではアンティークのチベタンターコイズとは何でしょう?


現地の一般人の目線でターコイズを見るか
業者やコレクターや外国人の目線で見るか


その違いと思えます。

これは僕の想像ですが、
古い物を趣向する以外の人々、
日本を含めた世界の一般的な人々では、
「アンティーク(または古代)の年代か、それ以外か」
それを気にする人は、ほとんど居ないでしょう。

専門家などに言われてみれば、
「あぁ、そうなのか」
という感想ぐらいでしょう。

もしくは
「それは価値がありますね」とも
思うかもしれません。

しかし、その感想は何処かの情報を元にした価値観です。

それはチベット本土のチベット人、ラダックやザンスカール、ネパールなどの
チベット仏教圏の人々にとっても、基本は同じであります。

また、僻地へ行けば行くほど、
アンティークという概念は薄れます。

そう

「アンティーク」という言葉は、
先進国の人間、
学者や業者が勝手に分類した言葉と思えるのです。

実際にアンティークの定義は、
1934年に決められたアメリカの通商関税法に基づきます。


そして少なくとも、
僕が知る限り、古いチベタンターコイズに関しては、
アンティークという概念は
チベット仏教圏の一般人にとって
最も重要に置かれる条件ではありません。


その、何処かの誰かが決めた物差しの既存価値で物を見るか
それとも自分の気に入った物を求めるか、は
人それぞれになるでしょう。


僕は物語のあるモノを求めています。
オリジナルを求めています。
美しさを求めます。

そのための旅でもあります。


それを言いたいだけでした。


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美しいチベタンターコイズ

2025年01月13日 | チベットもの



古いチベタンターコイズです。

もはや説明不要かもれません。
美しい石です。

チベタン・ターコイズとも表します。

2025年1月の今、
現地の状況はどうなのかと言うと、
結論から言うと、やはり、
古く良いチベタン・ターコイズは少なくなりました。
本当に数が減りました。

ただ、全くない、と言うことではなく、
探せばまだ出会えます。

正確に言うと、
絶対数の減少に加えて、
表に姿を表す数が減ったって感じかな。

チベット人同士で売買が完結していたり、
店頭に出る前に何処へ旅立ったりしております。

最も、僕もネット等に出す前に、
直接、売買が成立してしまう場合が多いですが、
そんなノリが現地にもあります。

もちろん、
各国のバイヤー、ディーラー、観光客から登山者まで数多く集まる、
ネパールのカトマンズのタメル地区とかでは、
アンティークの良いチベタンターコイズと
数多く出会うのは困難でしょう。

そりゃ、無理ですな。あたしも同感です。

もし「古く良いチベタンターコイズが全くない」

そう思うのであれば、それは、

「あなたの前に姿を表していないだけ」

かもしれません。


値段ですが、これは様々です。
今は本当にバラバラ、時と場合や状況次第です。

全般的に、以前(10年以上前は勿論、2,3年ほど前まで)と比べると、
だいぶ値上がりしたな、という印象はあります。

値段は上がる一方かもしれません。

しかし、探せばまだ現実的な値段で出会える場合もあります。
一方で、無茶苦茶に高額な値段になってる場合もあります。

現地でも小さな粒が4万円弱というのも当たり前にあります。
もちろん、すごく質の良いターコイズです。
ただそれは、中国人市場で評価されているターコイズですが。

昨年末、チベタン・ターコイズ、
大粒3個のみを22万円で買う中国人バイヤーも目にしました。
確かに、古く良いターコイズでしたが、22万円です。
3個だけです。

「あいつ、マジで買いやがった...」

と、売主本人である知人のチベタン店主を含む、
友人間でちょっとした話題になりましたが、
後日、中国人と多く取引をしている、
友人のチベット人業者(ジービーズのディーラー)に聞くと、
中国本土の北京では古いチベタン・ターコイズは、
「とんでもない高額(金より遥かに高い)で、1グラム単価が売買されている」
と言っておりました。

真偽は分かりませんが、
状況的にあり得るかもしれません。

そりゃ、買うわ。
22万円でも。

もはや、
笑われているのは、我々かもしれません。

そんな話を、
今回も偶然カトマンズで居合わせた欧米人の友人ディーラーにしていたら、
「おれ、数ヶ月前にペラク(ラダックのチベタン・ターコイズの頭飾り)を
〇〇〇万円で売ったよ」と言います。

そのペラク、昨年夏に僕も見た物でした。
良い色のチベタン・ターコイズが100個以上付いていた、
中型のペラクでした。
「わりとすぐ売れたね」と付け加えます。

別日に別のチベット人の友人の店で、
お茶をしてた時の会話です。

彼も昨年、ペラクを四個、仕入れてました。

「あれ、どーなったん?」と僕が聞くと、

「すぐ売ったよ、四個ね」とサラリと言います。

買ったのはチベット人との事です。
ペラク四個は数百万円単位です。

「あれ、見なよ、凄いでしょ」と彼は続けます。

古く良い素晴らしいペラクが店内に飾ってありました。
売値は、ちょっとしたアイ・ジービーズが買える価格でした。

以前からもネパールで良いペラクを持っている、
チベタン業者は少数おりました。
それらの言い値は150万円以上はしましたが、長らく残っていました。
が、少し前から、全て姿を消しました。
誰かが買ったのでしょう。

もはや、バズりを通り越して、バグってます。

市場は想像以上の速度で変化していると感じます。








市場の変化を傍目に、
僕はチベット人地区の旧知の業者たちから、
古く美しいチベタン・ターコイズを選び抜き、集めました。

今回の買い付け分のみです。

全て魅力的なアンティーク・チベタン・ターコイズです。

大胆にまとめて触ると石たちの感触にゾワゾワします。
たまりません。

良いチベタン・ターコイズを見たり触ったりすると、
僕は相変わらず、ヨダレが出るのだが、病気だろうか。




珍しいターコイズにも出逢いました。
菩提樹の葉デザインのチベタン・ターコイズです。

個人的には初めて見ました。



古いです。上下に開いた紐穴周りや外周が、丸く自然摩耗しております。

極めて珍しい菩提樹の葉の葉脈が彫り込まれたデザインです。
葉脈は本体より時代が若く見えますが、
新しくつけられたものではないです。
外周の形を見ると、
古いオリジナルの葉デザインと思えます。





かなり大型です。
ペラクのヘッド・ピーズ並みの大きさです。
どっしりとした重さと迫力があります。

旧知のチベット人が持っていて、
当初買うのを諦める程の高額でしたが、
気合いで交渉を押し切りました。






一見、染色ターコイズみたいな色ですが、ナチュラルです。

魚に例えられる大型の青色ターコイズです。
トロリンとした丸みがあり魅力的です。
アンティークではなく、ヴィンテージの部類です。
使われております。

なぜかこの手はラダックでも高額でした。








一連です。すごく良いです。
オイルをつけないでも艶々な光沢で、良い石質をしています。

年代はバラバラですが、青色、スカイブルー、緑色、黄緑、
劇古の濃いターコイズまで様々な種類の、
良い中型のチベタン・ターコイズが28個付いております。

色味を揃えるのも美しいですが、
多種多様な個性が集まったチベタン・ターコイズが混じり合うのも良きです。

地元のチベット人業者が仕入れる業者の元で出会いました。

ネックレスという訳ではなく、
まとめて一発で全部買い付け、全てを紐に通したままの状態です。






チベットのピアス「アローン」です。
大型の古いオリジナルです。
耳にかける紐も付いた状態です。



良いエメラルド・グリーンをしております。

アンナプルナ地域の山奥に、近年発見された幻の湖があり、
少し前にその写真を見たら、似た色だった。
さぞかし美しい湖だろう。
いつか行ってみたい。

実は、昔から個人的にアローンを集めています。
たまに着用してもいます。

この一品は、僕の私物のアローンたちと比べても逸品です。








チベタン・ターコイズの古い耳飾りです。
銀ベースです。

大型の新しい物は目にしますが、
今ではほぼ目にしなくなった小型の古いオリジナルです。

ニューヨークのメトロポリタン美術館に、
同型の金ベースの19世紀物があり、
いつかは欲しいと思っていた内の一つです。

実物は素晴らしい美しさで、
特有のオーラを放っております。
個人コレクションです。






これと出会った時、漫画ベルセルクに出てくる、
重要な位置付けの卵ベヘリットを思い出しました。

嘘みたいな緑色ですが、ナチュラルです。
サイズも大きく、手で握れる大きさがあります。

握ると適度に手に収まるコロンとした形です。
旧知のチベタンのオバハン(このオバハンが面白い)の店のガラスケースの中で、
様々な物に埋もれていました。

何故か、個人的な思い入れを持ちました。




中粒たち。
各3cm以上あるので、一般的には大粒の部類だろうが、
中粒としておきます。

個性があります。
何年もかけて数百個以上見てくると、
艶々の無模様なチベタン・ターコイズも美しいのですが、
枯れた感じや特徴や雰囲気がある、
個性的な古いチベタン・ターコイズも愛らしく見えてきます。




ころりんとした網目が美しいターコイズ。
大型です。
古さがある、丸型のトロトロ系です。
極めて良い、チベタン・ターコイズです。

網目を持つ、青が強い青緑色のアンティーク・チベタン・ターコイズは、
チベタン・ターコイズ特有の魅力があるように思えます。

以前から中国人が好むのは、
網目がないツヤッツヤ(研磨済みも含め)の
緑色寄りの青緑チベタン・ターコイズが主だったのに、
最近は色々なタイプも買っている印象。


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チベタン・ターコイズの値段が高騰しているとかは
商売上ではプラスにもマイナスにもなり得ます。

しかし、市場の動向は別にして、
僕は個人的にアンティーク・チベタン・ターコイズ自体を好きなので、
ひたすら集めております。

本音を言うと、好きな物の値段が上がるのは、「嫌」です。

僕は職業としてアンティーク売買をしておりますが、
根っからの、古い物好きで、
特に元々、
チベタン・ターコイズを大好きなのであります。

今も変わらず好きなのであります。

好きな物が高くて買えなくなる(または出会えなくなる)のは、
無理やり例えるならば、
推しの地下アイドルがメジャーで人気になるのと近い感情でしょうか。

分かりませんが。

ただ言えるのは、
シットな中国人市場ゲームで、もし、好きな物を買えなくなるのであれば、
抵抗感があります。

それが資本主義下での自由売買だとしても、
心情的には抵抗感があります。

中国人の金持ち同士のコミュニティの、
見栄のため高騰しまくった背景も持つジービーズを筆頭に、
チベットの琥珀や珊瑚などに続けて、
もし、チベタン・ターコイズも爆騰するのであれば、
複雑な想いがあります。

ただ、僕は市場動向は別にして、
これからも良いチベタン・ターコイズを求めていきたいと思うのです。

理由は単純明快

好きだからです。


以上

魅力的なチベタン・ターコイズと現状でした。




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