公立中学校の部活動の外部指導員採用に補助へ
文部科学省は教員の負担を軽減し働き方改革を進めるため、公立の中学校で部活動の外部指導員を採用する際、必要な費用の一部を新たに補助する方針を固め、来年度予算案の概算要求に15億円余りを盛り込むことにしています。
小中学校の教員の勤務時間をめぐっては、文部科学省が去年、10年ぶりに調査した結果、平日の勤務時間の平均が前回より増えて11時間を超えていたほか、土日の勤務時間も特に中学校では部活動の指導などで大幅に増えたことがわかり、教員の負担軽減が課題となっています。
こうした中、文部科学省は公立の中学校で部活動の外部指導員を採用する際、必要な費用の一部を新たに補助する方針を固め、来年度予算案の概算要求に15億円余りを盛り込むことにしています。
さらに全国の小中学校に卒業生や保護者などの「スクール・サポート・スタッフ」合わせて3600人を新たに配置し、教員に代わって学習用のプリント印刷などの業務にあたってもらうため、必要な費用14億9000万円を概算要求に計上する方針です。
文部科学省はこうした事業を通じて外部の人材を積極的に活用することで、教員の負担を軽減し働き方改革を進めたい考えです。
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170823/k10011108011000.html?utm_int=all_side_ranking-social_005より)
以前自分は、部活動指導の補助として、外部指導者を入れるのは良いが、それをボランティアという形で募集するのは反対だ、という記事を掲載させていただきました。
ボランティアではなく、ちゃんと賃金を払ってやってもらうべきだ、という意見です。
というわけで、今回の文科省の、「雇うための賃金を補助する」というのは、歓迎すべきことです。
ところが自分はこのニュースを見て引っかかったことがあります。
それは、金額です。
15億円/年……今日はこの金額について検討したいと思います。
個人が15億円もらえたら、大歓喜です。
高級車を買う、おいしいものを食べる、旅行に行く、家を建てる……夢が膨らみますね。
しかし、全国の中学校で使う予算としては、この額はどうなんでしょうか。
もちろん、文科省の概算要求ですから、他省との折衝により、増えることはほぼあり得なくても、減ることは十二分にありえます。
が、そこまで悩んでいてはキリがないので、15億円そのまま通ったと仮定して話をします。
さて、この15億円という額を検証するために、知らなければいけない数値は
「全国に公立の中学校っていくつあるの?」ということです。
文部科学統計要覧(平成28年版)によれば
平成27年度時点で、全国に公立中学校は9637校存在するらしいです。
データを見てもらえればわかる通り、学校は少子高齢化のせいで減少傾向にありますので
現在はもう少し減っていると思いますが、それは気にしないことにしましょう。
さて、15億を9637で割ってみましょう。
すると、およそ155650円という結果になります。
こう書くとよくわからないですね。およそ15万6千円です。
これが、15億円が全国の公立中学校に均等に分配されたと仮定した場合の、1校あたりの部活動支援員用の年間補助額です。
実際は、生徒数を考慮して学校によって配当額が増減する可能性が高いですが、今回はそれは無視することにします。
平均値ということでお考えください。
そして、これをさらに12で割れば、月額になります。
すると、12970円、すなわち1万3千円となります。
結論1:この施策で公立中学校1校が得られるお金は、1月あたりおよそ1万3千円である。
さて、この額のことは一度置いておいて、
「新たな補助」ってことは今までも多少の補助はあったの?とこの記事を読んで思う方もいるでしょう。
これは場所次第です。
そうゆうことをやっている自治体もある、というレベルです。
また、やっていたとしても、物品の購入補助だとか、大会運営補助だとか、そういったことにあてられる場合が多いと思います。
だから、教員以外の人の人件費という用途での補助は、今まではほとんどなかった、というのがこの話の前提になります。
というか、そんなのが不十分といえどもすでに存在しているのなら
そもそも、ここまで部活動問題が教員側から問題提起されないですし、ボランティアを活用しようなどという発想にもならないはずじゃないですか。
さて、額の事に話を戻して
月1万3千円、どう使いましょうか。
まぁ、本当は管理職が悩むべき事なんでしょうけど
部活動指導を実際に行うのは管理職ではありませんから、ね。
私のような身分でも、気にはなります。
この1万3千円をさらに部活動数で割ってみたらどうなるでしょう?
部活動数は、学校規模次第なのでなんとも言えませんが
運動部数が5という小規模校を想定し、運動部のみでこのお金を分配すると仮定すると
1部あたり2600円。
こんな少額ではもはや意味をなしませんね。
なので、1万3千円をさらに割るのは、賢くないでしょう。
では、この1万3千円で、人を1人雇おうと思うとどうなるのでしょうか。
当然ですが、常勤月給1万3千円で雇えるわけないので、非常勤という雇用形態で時給で働いてもらうことになるでしょう。
時給1000円で働いてもらうと想定すると、月13時間。
平日の部活動時間を16時から18時の2時間と仮定すると、6.5日分。
結論2:この施策で1ヶ月あたり平日6.5日の勤務の人を、一人雇うことができる。
この15億ってのは概算要求ですから、実際に付く予算はもっと小さな額になるでしょうし
時給1000円って仮定も安すぎると思います。
ちゃんとしたスポーツインストラクターを呼ぼうと思ったら、もっと大きな額を払わないとやってくれないでしょう。
もしこの記事を読んでくれた方の中に、スポーツジムとかで働いている方がいらっしゃれば、是非いくらならやる気になるかを教えてください。
ということで、実際は、私が計算した結論2よりも、もっともっと悲観的な感じになるでしょう。
私、こうゆうのなんて呼ぶか知ってます。
「焼け石に水」と表現するんだって、昔、国語の授業で習いました。
部活動自体を学校から切り離すべきだ、とか、平日に週3日程度で良いという人もいますけど
現状の部活動の体制で生じるメリットも無視できないと私は考えています。
だから、できれば、現状の体制に近い形を維持したまま、指導者を増やすことによってより良くするってのがベストだと私は考えているのですけれども、これでは難しいですね。
もっと金があればなぁ。
そういえば、この記事の見出しにもある、部活動とは全く関係がないのですが
スクール・サポート・スタッフなるものの提案もされていますね。
卒業生や保護者など合わせて3600人を新たに配置し、教員に代わって学習用のプリント印刷などの業務にあたってもらうそうですが
これもまた、学校数で割ってみましょう。
すると、0.12人。
さっきは、中学校数で割りましたけど、今度は小中学校数で割らなければなりません。
全国の公立小中学校数は、29939校です。
1校あたり0.12人配属される……ではなくて、全国の公立小中学校のうち10校に1校程度の学校に1人配属される、ということですね。
この予算も、おおよそ15億円らしいですから、先ほどのように計算してみました。
これを3600で割って、416666円。これが1人あたりの1年間の額ですね。
これをさらに12で割れば、34722円。およそ3万5千円です。
要するに、10分の1の確率で、各校1人、パートタイマーが1人増えるかも、ってことですね。
これで学校がよくなるでしょうか?
皆さんもぜひ考えて、意見を発信してほしいと思います。
ただ最近わかったのは、インターネットで騒げば、世論が動く。
世論が動けば、政治家が動く。
政治家が動けば、官僚は動かざるを得なくなる。
是非皆さんも、どのような意見でも構いませんから、インターネットで意見を発信してください。
文部科学省は教員の負担を軽減し働き方改革を進めるため、公立の中学校で部活動の外部指導員を採用する際、必要な費用の一部を新たに補助する方針を固め、来年度予算案の概算要求に15億円余りを盛り込むことにしています。
小中学校の教員の勤務時間をめぐっては、文部科学省が去年、10年ぶりに調査した結果、平日の勤務時間の平均が前回より増えて11時間を超えていたほか、土日の勤務時間も特に中学校では部活動の指導などで大幅に増えたことがわかり、教員の負担軽減が課題となっています。
こうした中、文部科学省は公立の中学校で部活動の外部指導員を採用する際、必要な費用の一部を新たに補助する方針を固め、来年度予算案の概算要求に15億円余りを盛り込むことにしています。
さらに全国の小中学校に卒業生や保護者などの「スクール・サポート・スタッフ」合わせて3600人を新たに配置し、教員に代わって学習用のプリント印刷などの業務にあたってもらうため、必要な費用14億9000万円を概算要求に計上する方針です。
文部科学省はこうした事業を通じて外部の人材を積極的に活用することで、教員の負担を軽減し働き方改革を進めたい考えです。
(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170823/k10011108011000.html?utm_int=all_side_ranking-social_005より)
以前自分は、部活動指導の補助として、外部指導者を入れるのは良いが、それをボランティアという形で募集するのは反対だ、という記事を掲載させていただきました。
ボランティアではなく、ちゃんと賃金を払ってやってもらうべきだ、という意見です。
というわけで、今回の文科省の、「雇うための賃金を補助する」というのは、歓迎すべきことです。
ところが自分はこのニュースを見て引っかかったことがあります。
それは、金額です。
15億円/年……今日はこの金額について検討したいと思います。
個人が15億円もらえたら、大歓喜です。
高級車を買う、おいしいものを食べる、旅行に行く、家を建てる……夢が膨らみますね。
しかし、全国の中学校で使う予算としては、この額はどうなんでしょうか。
もちろん、文科省の概算要求ですから、他省との折衝により、増えることはほぼあり得なくても、減ることは十二分にありえます。
が、そこまで悩んでいてはキリがないので、15億円そのまま通ったと仮定して話をします。
さて、この15億円という額を検証するために、知らなければいけない数値は
「全国に公立の中学校っていくつあるの?」ということです。
文部科学統計要覧(平成28年版)によれば
平成27年度時点で、全国に公立中学校は9637校存在するらしいです。
データを見てもらえればわかる通り、学校は少子高齢化のせいで減少傾向にありますので
現在はもう少し減っていると思いますが、それは気にしないことにしましょう。
さて、15億を9637で割ってみましょう。
すると、およそ155650円という結果になります。
こう書くとよくわからないですね。およそ15万6千円です。
これが、15億円が全国の公立中学校に均等に分配されたと仮定した場合の、1校あたりの部活動支援員用の年間補助額です。
実際は、生徒数を考慮して学校によって配当額が増減する可能性が高いですが、今回はそれは無視することにします。
平均値ということでお考えください。
そして、これをさらに12で割れば、月額になります。
すると、12970円、すなわち1万3千円となります。
結論1:この施策で公立中学校1校が得られるお金は、1月あたりおよそ1万3千円である。
さて、この額のことは一度置いておいて、
「新たな補助」ってことは今までも多少の補助はあったの?とこの記事を読んで思う方もいるでしょう。
これは場所次第です。
そうゆうことをやっている自治体もある、というレベルです。
また、やっていたとしても、物品の購入補助だとか、大会運営補助だとか、そういったことにあてられる場合が多いと思います。
だから、教員以外の人の人件費という用途での補助は、今まではほとんどなかった、というのがこの話の前提になります。
というか、そんなのが不十分といえどもすでに存在しているのなら
そもそも、ここまで部活動問題が教員側から問題提起されないですし、ボランティアを活用しようなどという発想にもならないはずじゃないですか。
さて、額の事に話を戻して
月1万3千円、どう使いましょうか。
まぁ、本当は管理職が悩むべき事なんでしょうけど
部活動指導を実際に行うのは管理職ではありませんから、ね。
私のような身分でも、気にはなります。
この1万3千円をさらに部活動数で割ってみたらどうなるでしょう?
部活動数は、学校規模次第なのでなんとも言えませんが
運動部数が5という小規模校を想定し、運動部のみでこのお金を分配すると仮定すると
1部あたり2600円。
こんな少額ではもはや意味をなしませんね。
なので、1万3千円をさらに割るのは、賢くないでしょう。
では、この1万3千円で、人を1人雇おうと思うとどうなるのでしょうか。
当然ですが、常勤月給1万3千円で雇えるわけないので、非常勤という雇用形態で時給で働いてもらうことになるでしょう。
時給1000円で働いてもらうと想定すると、月13時間。
平日の部活動時間を16時から18時の2時間と仮定すると、6.5日分。
結論2:この施策で1ヶ月あたり平日6.5日の勤務の人を、一人雇うことができる。
この15億ってのは概算要求ですから、実際に付く予算はもっと小さな額になるでしょうし
時給1000円って仮定も安すぎると思います。
ちゃんとしたスポーツインストラクターを呼ぼうと思ったら、もっと大きな額を払わないとやってくれないでしょう。
もしこの記事を読んでくれた方の中に、スポーツジムとかで働いている方がいらっしゃれば、是非いくらならやる気になるかを教えてください。
ということで、実際は、私が計算した結論2よりも、もっともっと悲観的な感じになるでしょう。
私、こうゆうのなんて呼ぶか知ってます。
「焼け石に水」と表現するんだって、昔、国語の授業で習いました。
部活動自体を学校から切り離すべきだ、とか、平日に週3日程度で良いという人もいますけど
現状の部活動の体制で生じるメリットも無視できないと私は考えています。
だから、できれば、現状の体制に近い形を維持したまま、指導者を増やすことによってより良くするってのがベストだと私は考えているのですけれども、これでは難しいですね。
もっと金があればなぁ。
そういえば、この記事の見出しにもある、部活動とは全く関係がないのですが
スクール・サポート・スタッフなるものの提案もされていますね。
卒業生や保護者など合わせて3600人を新たに配置し、教員に代わって学習用のプリント印刷などの業務にあたってもらうそうですが
これもまた、学校数で割ってみましょう。
すると、0.12人。
さっきは、中学校数で割りましたけど、今度は小中学校数で割らなければなりません。
全国の公立小中学校数は、29939校です。
1校あたり0.12人配属される……ではなくて、全国の公立小中学校のうち10校に1校程度の学校に1人配属される、ということですね。
この予算も、おおよそ15億円らしいですから、先ほどのように計算してみました。
これを3600で割って、416666円。これが1人あたりの1年間の額ですね。
これをさらに12で割れば、34722円。およそ3万5千円です。
要するに、10分の1の確率で、各校1人、パートタイマーが1人増えるかも、ってことですね。
これで学校がよくなるでしょうか?
皆さんもぜひ考えて、意見を発信してほしいと思います。
ただ最近わかったのは、インターネットで騒げば、世論が動く。
世論が動けば、政治家が動く。
政治家が動けば、官僚は動かざるを得なくなる。
是非皆さんも、どのような意見でも構いませんから、インターネットで意見を発信してください。