小5・6に教科担任制導入を 3科目、中教審が答申へ
小学5、6年の授業に、中学校のような「教科担任制」を2022年度をめどに本格的に導入するよう求める骨子案を20日、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会がまとめた。対象とすべき教科として、外国語(英語)、理科、算数を挙げた。中教審は今年度中に正式に案をまとめ、文科相に答申する。(後略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/92449a30248e52728190218336e1f331badeec98
だそうです。
私としては、小学校の教科担任制自体には賛成の立場です。
教科担任制は、実は、学年が低くなればなるほど、デメリットが大きくなり、メリットが小さくなります。
(これについて詳細に書くと長くなるのでやめておきますが)
記事によれば、小学校と言っても高学年に限定らしいので、デメリットに対する心配は小さく、メリットは大となるでしょう。
これがうまくいけば、中学年についても検討し・・・・・・というところまで想定されているでしょうから、この中教審の方針は間違っていないと思います。
そうはいっても、懸念がゼロというわけではありません。
その懸念について、今から書きたいと思います。
(私が今から書くのは、公立学校の話です。)
まず、小学校で教科担任制をやろうと思ったら、教師を増やす必要があります。
今までの教師に加え、「英語を専門に教える先生」という風な立場の教師が必要になるわけです。
教師を雇うのは、文科省ではなく、地方自治体です。
地方自治体に十分な財政的余裕があるのでしょうか。
私が想定する「良くないのシナリオ」は、こうです。
教科担任制を実現するために、教師を増やさなければならない。
→しかし、財政が厳しい。
→非正規雇用の教員でどうにかしよう!となる
→非正規雇用の教員が増える。
「非正規雇用の教員」と一言で言っても、色々なタイプがあるのですが
私が心配するシナリオにおいては、「授業を教えるだけが仕事で、1回授業をしたら給料いくらという雇用形態の人」だと思って下さい。
そのような非正規の人が増えると何がまずいのか。
正直、これが大学の授業だったら、大した問題にならないと思います。
ところが、小学校だと、話が変わります。
子ども同士の人間関係だとか、配慮の必要な生徒への対応とか、様々な「勉強以外について気を配らなければならないこと」が小学校の授業には存在します。
例えば
「AさんはBさんとその友人たちからいじめられている可能性がある。だから、グループ活動において、AさんとBさんを同じ班にさせるのは避けた方が良い」
という情報があったとします。
そのような伝達は、朝の打ち合わせで共有されることになるのですが、「授業をするだけが仕事に人」に確実に伝達させられるでしょうか?
また、授業中に起こったトラブルについて、ちゃんと担任とその教科担任が連携を取ることができるでしょうか?
「授業をするだけの人」にとって、朝の打ち合わせや生徒下校後の保護者対応などは、勤務時間外なのです。
ちなみに、このシナリオは、現に、一部の公立中学校ですでに起こっている事です。
それが小学校にまで波及しないか、心配です。
また、そもそも「非正規雇用の教員」を確保できるのか、という問題もあります。
非正規雇用の教員は、立場が弱く(大抵1年や半年契約)、給与も良くなく、正直割に合いません。
1回授業をやると言っても、その1回のためにかなりの準備が必要になります。
何をどう説明するか、子どもたちにはどういう活動をさせるのか、それらの段取りの用意など・・・・・・
理科であれば、実験準備等も必要になります。
その「授業時間外の準備」まで含めてトータルで考えると、「非正規雇用の教員」をやりたがる人なんて、次のような人に限られます。
・元々教員をやっていて、定年退職済みの人。
・元々教員をやっていて、家庭の都合等で退職した人。
・教員採用試験に合格できていないが、教員を目指している人。
・大学院生。
要するに、「非正規雇用の先生を是非やりたい!」なんて人は、多くないのです。
そして、現時点でもすでに、公立学校の教師は正規雇用の先生のみで充足しません。
どこの小中学校も、非正規雇用の先生無しには成立しないのです。
しかも「非正規雇用の先生が足りなくて現場が悲鳴を上げる」というのは、すでに起こっている現象なのです。
先生が足りない! 教育現場の悲鳴
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019050400002.html
これがさらに加速したらどうなるか・・・・・・もう説明しなくて良いですよね。
というわけで
小学校高学年に教科担任制を・・・・・・それ自体は悪くないと思います。
上手に機能するようにさえすれば、教育効果は高まるでしょう。
しかし、「本当に上手に機能させられる?そこまで考えてる?」というのが私の心配でした。
逆に言えば、十分な教員の確保のメドがたてば、全く問題ないと思います。
まあ、まだ「中教審が文科相に答申する予定」のレベルですから、今後の動静を見守る必要がありますね。
小学5、6年の授業に、中学校のような「教科担任制」を2022年度をめどに本格的に導入するよう求める骨子案を20日、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会がまとめた。対象とすべき教科として、外国語(英語)、理科、算数を挙げた。中教審は今年度中に正式に案をまとめ、文科相に答申する。(後略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/92449a30248e52728190218336e1f331badeec98
だそうです。
私としては、小学校の教科担任制自体には賛成の立場です。
教科担任制は、実は、学年が低くなればなるほど、デメリットが大きくなり、メリットが小さくなります。
(これについて詳細に書くと長くなるのでやめておきますが)
記事によれば、小学校と言っても高学年に限定らしいので、デメリットに対する心配は小さく、メリットは大となるでしょう。
これがうまくいけば、中学年についても検討し・・・・・・というところまで想定されているでしょうから、この中教審の方針は間違っていないと思います。
そうはいっても、懸念がゼロというわけではありません。
その懸念について、今から書きたいと思います。
(私が今から書くのは、公立学校の話です。)
まず、小学校で教科担任制をやろうと思ったら、教師を増やす必要があります。
今までの教師に加え、「英語を専門に教える先生」という風な立場の教師が必要になるわけです。
教師を雇うのは、文科省ではなく、地方自治体です。
地方自治体に十分な財政的余裕があるのでしょうか。
私が想定する「良くないのシナリオ」は、こうです。
教科担任制を実現するために、教師を増やさなければならない。
→しかし、財政が厳しい。
→非正規雇用の教員でどうにかしよう!となる
→非正規雇用の教員が増える。
「非正規雇用の教員」と一言で言っても、色々なタイプがあるのですが
私が心配するシナリオにおいては、「授業を教えるだけが仕事で、1回授業をしたら給料いくらという雇用形態の人」だと思って下さい。
そのような非正規の人が増えると何がまずいのか。
正直、これが大学の授業だったら、大した問題にならないと思います。
ところが、小学校だと、話が変わります。
子ども同士の人間関係だとか、配慮の必要な生徒への対応とか、様々な「勉強以外について気を配らなければならないこと」が小学校の授業には存在します。
例えば
「AさんはBさんとその友人たちからいじめられている可能性がある。だから、グループ活動において、AさんとBさんを同じ班にさせるのは避けた方が良い」
という情報があったとします。
そのような伝達は、朝の打ち合わせで共有されることになるのですが、「授業をするだけが仕事に人」に確実に伝達させられるでしょうか?
また、授業中に起こったトラブルについて、ちゃんと担任とその教科担任が連携を取ることができるでしょうか?
「授業をするだけの人」にとって、朝の打ち合わせや生徒下校後の保護者対応などは、勤務時間外なのです。
ちなみに、このシナリオは、現に、一部の公立中学校ですでに起こっている事です。
それが小学校にまで波及しないか、心配です。
また、そもそも「非正規雇用の教員」を確保できるのか、という問題もあります。
非正規雇用の教員は、立場が弱く(大抵1年や半年契約)、給与も良くなく、正直割に合いません。
1回授業をやると言っても、その1回のためにかなりの準備が必要になります。
何をどう説明するか、子どもたちにはどういう活動をさせるのか、それらの段取りの用意など・・・・・・
理科であれば、実験準備等も必要になります。
その「授業時間外の準備」まで含めてトータルで考えると、「非正規雇用の教員」をやりたがる人なんて、次のような人に限られます。
・元々教員をやっていて、定年退職済みの人。
・元々教員をやっていて、家庭の都合等で退職した人。
・教員採用試験に合格できていないが、教員を目指している人。
・大学院生。
要するに、「非正規雇用の先生を是非やりたい!」なんて人は、多くないのです。
そして、現時点でもすでに、公立学校の教師は正規雇用の先生のみで充足しません。
どこの小中学校も、非正規雇用の先生無しには成立しないのです。
しかも「非正規雇用の先生が足りなくて現場が悲鳴を上げる」というのは、すでに起こっている現象なのです。
先生が足りない! 教育現場の悲鳴
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019050400002.html
これがさらに加速したらどうなるか・・・・・・もう説明しなくて良いですよね。
というわけで
小学校高学年に教科担任制を・・・・・・それ自体は悪くないと思います。
上手に機能するようにさえすれば、教育効果は高まるでしょう。
しかし、「本当に上手に機能させられる?そこまで考えてる?」というのが私の心配でした。
逆に言えば、十分な教員の確保のメドがたてば、全く問題ないと思います。
まあ、まだ「中教審が文科相に答申する予定」のレベルですから、今後の動静を見守る必要がありますね。