名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

子どもの進路決定と親の経済力

2019-03-24 12:51:22 | 教育に関する私論
ご無沙汰しております。

このようなちゃんとした記事を書くのは久しぶりな気がします。

私事になりますが、私は今年度初めて進路指導主事という大役を任されました。

そして先日、公立高校の入試合否発表があり、私の平成30年度の業務のほぼすべてが終了しました。

公立高校に受からず、私立高校に進学することになった生徒も出ましたが、想定よりは遙かに少なく、自分は大勝利だと思っています。

また、家庭の事情(親の方針)により、所謂滑り止めの私立を受験せずに公立を受けた子が数人いたのですが

その子たちも無事に公立に合格することができて、とても安心しております。



さて、中学校にもなると、定期テストがあり、どうしても「勉強ができて成績が良い生徒」「勉強が苦手で悪い生徒」に分かれ、その間くらいの子が所謂「中間層」と呼ばれるようになります

通知表の評定の合計値……所謂内申点が高校入試の合否判定に影響する県は多いです。

その場合は、「成績の善し悪し」が「進路選択時の選択肢の広さ」に直結します

(以下は参考までに、私の過去の評定と入試に関する記事です。
高校入試と内申点
確約制度について~出願時に合格が決まっている!?~
高校入試と校外模試

雑な言い方をすると、過去の合格者の内申の平均がおおむね35の高校があったとして

2年生終了時の内申が15の子がその高校を志望校に設定した場合、どんなに努力しても合格することは難しいです。
(合否判定に内申点を加味する制度の場合)



このように、まずは生徒の成績により、「可能性のある受験先」が絞られます。

次に、親の経済力により、絞られます。

中学生の進学先として考えられるのは、主に

公立高校
国立高専
私立高校
専修学校高等課程

になります。

高専はちょっと性質が違うので、この記事では除外します。

そして、もうぶっちゃけて書くと、一般的に、金がかかるのは

専修学校>私立高校>公立高校

です。

ここで、親次第では

「公立しか無理」
「私立高校は良いけど専修は無理」
「何でも良いよ」

という差異が生まれます。

ですから、「私立高校進学者に補助金を出して、誰でも私立にいけるようにして下さい!」というような主張をする者も現れるわけです。



一般的に、私立高校の方が、設備が充実しており、教師が多く手厚い指導が受けられます。

また、大学への指定校推薦枠を多く持っている場合もあります。

その代償として、学費が高かったり、「教育充実費」みたいな学費とは別の集金があったりします。

要するに、金がかかります。

なので、可能なら、進学・就職実績のあまりない公立に下手に行くよりも、私立に行った方が良い場合もあります。
(もちろん、地域差がありますが)

その傾向は、実は学力の低い子ほど、強くなります。

学力の低い子を手厚く指導することを売りにしている私立や専修は多いからです。

しかし、親の経済力により、その選択をできる子とできない子が生じるわけです。



私学進学者に補助金を出して、公立進学者と負担を同じにするのは、無理があると思います。

そもそも、我が国は、小中学校にエアコンを配備できず、小学生が熱中症で死ぬような国です。

そのくらい、教育にお金を掛ける余裕はありません。

では、どうするべきか。



私はこの記事の冒頭で

どうしても「勉強ができて成績が良い生徒」「勉強が苦手で悪い生徒」に分かれ、その間くらいの子が所謂「中間層」と呼ばれるようになります。

と書きました。

この実態に対して、現在の公立中学校では、分かれた後のケアが一切行われません。

生徒の実態を無視して、画一的な授業が教育課程を根拠に行われるのです。

「勉強ができて成績が良い生徒」と「勉強が苦手で悪い生徒」に同じ内容の教授を行うのは、誰も幸せになら無いと思います。

中学生の進路選択は、「生徒の成績」と「親の経済力」という2つの要素によって限定されます。

後者は大きな要素ですが、資本主義社会を採用している以上、仕方の無い部分でもあります。

だったら、中学校の授業を習熟度別にし、前者の格差を縮小する方向に動いた方が、現実的だと考えます。

(参考までに、私の過去記事:教育課程という呪縛



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