名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

教諭と教師

2016-09-19 21:44:13 | 教育に関する私論
教師と教諭の違い、みなさんご存じです?

実はこれ、大分違います。


教師というのは、かなり広い意味を持ちます。

「学校の先生」であれば、正直みな教師であると言ってしまって良いでしょう。

ところが、その学校の先生にも、いくつかの種類があるのです。

(以下、一般的な市町村立の公立小中学校の話であり、「教師」とは公立小中学校の教師を指すこととします)


教師は大別すると、2種類に分けることが出来ます。

さて、何と何でしょうか?

みなさん少し考えてみてください。

正解は下の方……














































良い先生と悪い先生?

ベテランと若手?

優しい先生と体育会系の先生?

校長・教頭といった偉い先生と平の先生?

まぁ、そうゆう分け方もあるかも知れません。

でも実は、一番大きいのは

「教諭と講師」

でしょう。

聞き慣れない言葉かも知れませんが、実は差は明確です。

教諭は正社員、講師は契約社員

だと思ってくれれば良いです。


もう少し詳しく説明しましょうか。

教諭は教員採用試験という公務員試験に合格した上で教師をやっている者です。

基本的には終身雇用で、よっぽど指導力が無かったり、不祥事を起こしたりしたりしなければ、クビにはなりません。

福利厚生がしっかりしていたり、いろいろな研修を受けることが出来たりと、優遇されている一面もあります。


一方、講師は教員採用試験に合格しておらず、それとは別口で有期の雇用契約で教師をやっている者の事です。

期間は色々ですが、最長1年が普通だと思います。

講師で何年も同じ同じ学校にいるような人もいますが、これは1年契約を何度も更新しているだけです。

はっきり言って、講師はピンキリです。

「なんでこんな立派な方が教員採用試験に通らないんだ?」と一緒に仕事をしていて思うような人も入れば

「あー、これは……そりゃ無理だろう」と私でさえも感じてしまい、1年後には雇用契約を更新してもらえず

表向きには生徒に惜しまれつつ学校を去ることになるような人もいます。

そのほかにも、一度、妊娠・出産や家族の介護等の理由で退職した先生が、講師という身分で現場復帰する場合もあります。


話は若干それますが、この教員採用試験というものがなかなかによく分からないものでして

私は大学4年生時に、関東地方の某県と、中部地方の某県の採用試験を受けたのですが

前者は倍率1.2倍で、いろいろな人から「君の能力なら間違い無く合格する」と言われ

後者は倍率が高く、地元志向が強いと言われていて、いろんな人から難しいと言われ、私も冗談半分、記念受験のつもりで受けました。

そしたらなぜか前者は不合格、後者合格。

試験日程は、後者が先だったので、面接等も前者の方が上手に出来たと思うのですが

こんな結果になりました。

本当によくわからない試験です。


なんでこんなシステムがあるかというと、要は雇用の調整弁ってやつです。

先述の通り、「教諭」はそう簡単には解雇できません。

しかし、子どもの数は減る可能性があります。

だから、教員定数分をフルに正規の教諭で充足してしまうと、将来子どもの数が減少したときに、教師があぶれてしまう可能性があるのです。

そうならないようにするために、本来必要な教師数より少ない数を教諭にして、あとは非正規の講師で補うのです。



ま、こんな感じの裏側事情があるわけですが

子どもや保護者にしてみたら、そんなこと知ったこっちゃ無いですよね。

講師だからといって、楽できるわけでもないですし

仕事しながら公務員試験の勉強をしなければならないって結構エグいですよ。

むしろそうゆうところで自己犠牲精神を持って働ける人を業界が求めてる感さえあります。

本当に講師の人たちは、不安定な立場、仕事の割に報われない報酬、教員採用試験へのプレッシャー……大変だと思います。

でもそんな苦労をしてでも教師をやりたいという人たちによって、現在の公教育は支えられているのです。

しかしながら、そうゆう現場の自己犠牲、奉公の精神に頼った業界だから、不祥事が絶えないのではないだろうか、そう感じることが何度もあります。

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