名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

地域型スポーツクラブは設立できるのか

2018-04-08 15:00:16 | 部活動問題
2ヶ月くらい前、自民党が、部活動は地域のスポーツクラブに移行していくべきだという提言をしたと報道されました。

地域に総合型のスポーツクラブを設け、複数の学校の生徒でクラブを形成し、活動していくべきだ
という話らしいです。

もしそうなれば、大変革です。

それについて、ちょっと意見してみようと思います。

(本当はもっと早く書きたかったのですが、時間が無くてかけませんでした。)



学校で部活動を実施するメリットとはなんでしょうか。

これには主に3つあると思います。

・すぐに活動できる。
・旗印が明確。
・学校の生徒指導と直結する。


1つ1つ見てみましょう。



まずは、授業を行う場所と、部活動を行う場所が一致している訳ですから、帰りの会が終わってから、速やかに準備・活動が開始できます

大人と違い、移動手段に制約の大きい小中高生にとって、これはとても大きなメリットです。

逆に言うと、地域型にした場合、生徒が授業終了後、場合によっては一度帰宅し、活動場所に移動するという手間が生じます

その移動は、徒歩では非現実的な距離になるかも知れません。

また、その過程で交通事故等が発生した場合、誰の責任になるのかという問題も生じます。

想像してみて下さい。

15:30に帰りの会が終わり、学校で解散したとして

その後、スポーツクラブの活動場所に集合できるのは、果たして何時になるのでしょう?

そして、日没前には解散しなければならないことを考えると

どれだけ活動できるでしょう?




次に、旗印です。

学校で活動した場合、○○中学校××部、と、自分の所属をアイデンティティにして頑張ることができますし

応援するときも、それを根拠に応援できます。

ワールドカップの時に、普段サッカーにあまり興味を示さないような人でも、「日本を応援しようかな」と思うのは、それは日本を背負ってチームが頑張ってくれるからです。

それを日本人が応援したくなるのは自然です。

それと同じ原理が部活動でも働く訳なのですが

地域型にすると、無くなります。

どのような形で応援を盛り上げていくか、考えなければなりません。



最後、学校の生徒指導と直結することです。

やんちゃ坊主でも、部活でお世話になっている先生にの言うことを聞く場合がありますし

部活動でのトラブルから、教室では見えない人間関係が見えて来る場合もあります。


これらはメリットですが、一方で、デメリットも生み出します。

それだけ、「学校の先生がやらないといけないこと」を増やすと言うことです。

要するに、これがメリットを生み出す一方で

やるからにはちゃんとやらねばならぬから、多忙化に直結するのです。




さて、地域型に移行することで生じると思われるデメリットを挙げましたが

勘違いしないで欲しいのは、筆者は、「だから移行するべきではない」と考えているのではありません

従来型のメリットを捨てて生じるデメリットを上回る+を生み出した上で移行できるように、熟慮する必要があると主張しているのです。

そのためには、金が要ります。

要するに、ちゃんとした技能を持ったちゃんとした人を指導者に据える必要があり

ちゃんとした人に働いてもらうには、ちゃんとした待遇すなわち賃金を支払わなければなりません。

要するに、すでに存在している、スポーツのクラブチームという、とてもお金がかかるものに

税金を補助金として投入して、誰でもで参加できるものにすれば良いという事なのです。

間違っても、地域ボランティアだとか大学生ボランティアを突破口にしてはいけません。

ボランティアは、「いい人が来たらラッキー」くらいで、本来はいなくても成立しないシステムでないといけません。



そうすると、その財源はどうするのですか?という話になります。

また増税?それとも何か他の出費を削る?

私は教師という立場なので、森友の追求なんて検察に任せて

国会ではこういうことを議論して欲しいなと思っているのですが

そうならないのは残念でならないことです。



結論:やっぱ金


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