原稿用紙の隅っこ

声を大にしてまで言いたいわけではないけど、中の下くらいの声でなら言ってみたいこと。

見た目と中身

2018-02-22 10:34:06 | 日記
『魅力的な人って、美醜じゃないんだよね。人を惹きつける力を持っている。目の輝きが違う。表情が違う。圧倒的に美しくても、結局はその言動が魅力的でなくては、結局は人は離れていく。人が離れていくと、魅力も錆び付く。見かけの美しさよりも、魂の美しさの方が勝つ。(小池一夫)』

 Twitterで見かけた記事です。
 これは、確かにその通りだと思います。でも、これは「詭弁」なんです。もちろん小池さんが悪意を持っていないことはわかります。ただ結果的に詭弁的な言い方になってしまっているということです。
 この発言を要約すると、このようになります。

『見かけが美しくなくても魂が美しければ魅力がある。見かけが美しくても魂が美しくなければ魅力がない』

 ①見かけ→美しい/魂→美しくない
 ②見かけ→美しくない/魂→美しい

 このふたつの選択肢に絞って、②の方が魅力のある人間だ、という趣旨です。僕が詭弁的だと思うのは、まさしくこの選択肢です。この組み合わせなら、もう2つ選択肢があるはずです。その選択肢というのは、以下の2つです。

 『見かけが美しくて、かつ魂も美しい人』と『見かけが美しくなくて、かつ魂も美しくない人』

 小池さんの記事を読めば、見かけよりも魂を大切にしようという気にもなります。しかし、そう思うのは、見かけの美しさと魂の美しさが「両立しえない」という前提での話です。
 実際は両立し得るものです。だから同じ「魂が美しい人」同士を比べたら、「見かけの美しい人」の方が魅力をさらうことでしょう。
 コメントでは見かけよりも人柄を褒め称える言葉がいくつかついていましたが、それは違います。
 もし小池さんのいうことを正しく解釈するならば、それは「見かけより魂を大切に」するのではなくて、「魂と同じくらい見かけも大切に」する、という視点が必要です。
 極端な対比を迫られると選択を誤ってしまいがちですが、そもそも、その選択肢が本当に正しいのか、という部分に疑問を持ちたいものです。

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