現代の哲学の中には、プラグマテイズムのように、人間の宗教的な要求とうまく調和するものもあります。神の観念は、それを信じることが生活に利益をもたらすかぎりにおいて、真なる観念とされます。神学上の様々な観念が、人生にとって価値を持ち、そのことが事実において確かめられるならば、それらの観念は、善であり、従って真であると考える哲学です。ただ、神を信じることによって、「神とは何か」「神とはどこに存在するのか」といった形而上学的な無意味な難問に巻き込まれるのは避けるべきです。神への信仰がもたらす慰めだけならば受け入れることができますが、神の本姓と存在についての空想的、迷信的観念は、他の健全な観念と衝突してしまいます。
荒井公康
荒井公康