未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第20章 運命は変えられる! ⑥

2021-03-05 16:26:53 | 未来記

2013-12-10

6.困難を乗り越える覚悟

 

パールのママから、パパの葬儀は、人が集まると危険という軍の指示によって、

 

後日、身内だけで祈りが捧げられ、ドーム内の墓地で埋葬されることを伝えられた。

 

ママが部屋を出た後で、パールはキラシャにこう言った。

 

「パパ マダ イキテル

 

ワタシノ ココロデ イキテル

 

パパノテ アッタカ カッタ…

 

 

パパ ナニモ イワナイ

 

ケド パパノテ ツタエテ クレタ

 

 

パール オカエリ

 

パパ マッテタヨ

 

パパ パールヲ アイシテル

 

パールヲ ズット マモルヨッテ…」

 

 

キラシャも、キャップ爺が亡くなる前に言ってくれた言葉を思い出した。

 

「うちのおじいちゃんもね。

 

あたしを守るって言ってくれたンだ…

 

きっと…

 

今だって、どこかであたしのこと、見ててくれてるンじゃないかって思ってるンだ…」

 

 

2人の会話をどこから聞いていたのか、

 

隣のベッドでぐっすり寝ているはずのケンが、起き上がりながら声をかけてきた。

 

「パールのパパ、亡くなったンだね…。

 

残念だったね。

 

でも、パールを守りたいって思っているのは、パールのパパだけじゃないよ!

 

オレ達のことも、忘れないでくれよな…!」

 

 

マイクも、ゆっくり起き上がって言った。

 

「ソウダヨ!

 

ボクモ パパノ カワリニ パール マモルヨ! 」

 

 

「マイクは、パールのこと愛してるモンな~」

 

おどけてケンが口笛を吹くと、マイクも照れながら言った。

 

「ボク ダケジャナイ~

 

ケンモ キラシャ ダイスキ~~~」

 

 

キラシャはあきれた顔をして、ケンとマイクに向かって怒鳴った。

 

「あんた達、ナイトを気取るのよしなよ!

 

そりゃさ、好きでいてもらえるのはうれしいけど、

 

今のケンとマイクじゃ、これからだって不安だよ!

 

 

ここにいる間は、危険がいっぱいなンだよ!

 

また、いつどこで、狙われるかわかンないンだよ!

 

パールは、ここで無事に暮らせるか、ホント真剣に悩んでるンだ!

 

軽はずみに好きとか、愛してるとかって、言ってもらいたくないよ!!

 

 

マイク、パールのことホントに愛してるっていうンだったら、

 

パールがここの友達と、また仲良くなれるように、手伝ってあげられる?

 

 

お菓子ばっかり食べて、周りにチヤホヤされて、

 

プーさんみたいに笑ってたって、パールを助けてあげられないと思うよ! 」

 

 

キラシャがそう言うと、マイクはふてくされた顔をして、手で耳をふさいだ。

 

 

「あたしもできたら、パールのそばにずっといてあげたいけど…

 

パパやママも心配しているし、帰ってすることもあるから、

 

帰るまではパールのそばにいたいと思う。

 

何もできなくても、何があっても、そばにいてパールを励ましてあげたいと思ってる。

 

 

アンタ達は、ちゃんと覚悟してる?

 

ホントに、だいじょうぶなの…?」

 

 

すると、ケンが不服そうに、キラシャに言い返した。

 

「オレ達なりの努力はするよ!

 

そりゃ、キラシャはタケルの方が好いンだろ…?

 

アイツの方が、カッコイイからな!

 

パールだって、何も言わないけど

 

こっちに好きな子がいるかもしれない。

 

 

そりゃ、オレ達どうせ片思いだって、わかってるけどさ。

 

それでも、精一杯、守りたいって思ってやって来たンだ。

 

 

ヒロだってさ。タケルを助けようとして、ひとりで研究室にこもってがンばってるンだ。

 

オレ達は、その目的を実行するためにも来てるンだ。

 

キラシャは、何にも知らないけどさ…」

 

 

「…えっ?」

 

キラシャは、ケンが何を言ったのか、

 

自分が聞き間違いをしたのではと思って、ケンの方へ向き直した。

 

ケンは続けた。

 

「キラシャ、逆に聞きたいよ!

 

オレは友達だから、タケルのこと助けてやりたいと思ってるけど…

 

だって、タケルには小さいころから、ズイブン助けてもらったからな!

 

帰ってくるンだったら、助けてやりたいよ。

 

 

でも、ヒロの話じゃ、帰って来るには、かなり危険なことがあるらしいンだ。

 

もし、そんな危険なことが待ってても、キラシャは、タケルが戻ってくる方がいいかい?

 

 

下手をしたら、ムリな転送で手や足がもげてしまうこともあるらしいよ!

 

タケルってわからないくらい、ぐちゃぐちゃになってたりして…

 

それでも、キラシャはタケルに会いたいのか? 」

 

ケンは、今までにないくらい、真剣な顔をして、キラシャを見た。

 

 

途中からケンの話を聞いていたマイクも、ムッとした顔をして、キラシャに言った。

 

「ボクハ パール マモル。

 

チャント カクゴ デキテルヨ! 」

 

 

キラシャは何か言い返そうとしたが、それでもケンが、なぜ今タケルのことを言い出したのかわからず、何も言えなくなってしまった。

 

すると、パールがキラシャの肩を抱き寄せて言った。

 

 

「マイクノ キモチ ウレシイ。

 

…アリガトウ。

 

 

ホントハ ワタシモ キラシャ ミタイニ スキナヒト イタ。

 

デモ イマ ヨク ワカラナイ。

 

 

カレ ワタシノ コト ミテモ ワカラナイ カモ。

 

ホントハ アウノ コワイ…

 

 

キラシャガ イッショニ キテ クレタカラ

 

ココマデ コレタ。

 

 

パパト ハナシ デキナカッタ ケド

 

アウコト デキタ。

 

 

キラシャ ケン マイクノ オカゲ…

 

 

ダカラ オネガイ

 

ケンカ シナイデ!

 

 

ケンノ キモチ ワカル

 

キラシャト タケル アワナイ ホウガ イイ。

 

 

デモ ワタシ

 

キラシャニ タケル アワセテ アゲタイ オモウ。

 

 

ズット キラシャニ タケルノ コト キイテタ カラ。

 

タケルノ コト スキダッテ ワカル カラ。

 

 

ケン ゴメンナサイ。

 

オネガイ ダカラ

 

タケルニ アワセテ アゲテ!

 

 

マイク ゴメンナサイ。

 

ワタシモ ユウキ ダシテ カレニ アッテミタイ。

 

 

カレ ホカニ スキナコ イルカモ シレナイ。

 

デモ ヤッパリ アイタイ…」

 

 

パールの言葉はゆっくりだったが、3人は静かに耳を傾けた。

 

 

しばらくして、ケンが言った。

 

 

「パール、わかった。オレが、悪かった。

 

そうだよな、マイク。

 

オレ達、ダメもとで付いて来たンだから、こうなるのわかってたよな!」

 

 

マイクが、しぶしぶ頷いたのを見て、ケンは話を続けた。

 

 

「キラシャ、ごめんなっ!

 

ヒロから、タケルのことは言うなって言われてたんだけど。

 

でも、これ以上だまってらンなかった。

 

 

キラシャの気持ちを、確かめたかったンだ。

 

 

ただ、ヒロの言う通りにしてたら、オレってピエロなだけじゃン!

 

タケルだって、こっちに帰りたがってるかも、わかンないし…

 

 

あのさ。

 

ヒロの計画って、結構、画期的なンだ。

 

 

これが成功したら、宇宙史が変わるくらいなンだ。

 

タケルは、そのモルモット第1号ってわけ。

 

 

成功したらいいけどな。

 

ちょっと待って。

 

ヒロにどこまで話していいか、確認するから…」

 

 

ケンは、ヒロにメールを送った。


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