未来の少女 キラシャの恋の物語

みなさんはどんな未来を創造しますか?

第21章 同じ時を生きる君に ⑧

2021-02-14 10:53:00 | 未来記

2021-02-15 10:53:00 | 未来記

8.時空を超えて叩け!

 

タケルは腹を決めた。大事な友達を失うくらいなら、自分が死んでしまえばいいのだ。

 

この命と引き換えに、あの2人は必ず生きてここから解放してやらねば…

 

「いいよ、キララ。おれの命、オマエに預けるよ!

 

ただな…。

 

あの2人は必ず助けてくれ!

 

それだけは、約束だぞ。

 

約束破ったら、死んでもオマエを恨んでやるからな! 」

 

キララは、フッと苦笑いして言った。

 

「人を幽霊呼ばわりしてて、今度は、アンタが幽霊になるってか?

 

アンタを生かすも殺すも、アタシ次第ってことか…

 

面白いじゃないか…

 

じゃぁ、アンタをゲームの駒に使ってやるよ!

 

まぁ、楽しンで動いてくれ! 」

 

タケルは、前方の敵の集団が、キラシャとケンを盾にして、銃で2人を狙いながら、こちらに向かってくるのが見えた。

 

「てめえら、早く銃を捨てるんだな! すぐにでも、こいつらの頭に穴あけられるぜ! 」

 

ところが、少年達は銃を捨てるどころか、みなそれぞれに敵の集団に向かって銃を構えたままだ。

 

「何やってンだよ! オレの友達がどうなってもいいってのか? 

 

地球に帰って、ちゃんと生活できるように協力するって、約束したじゃないか! 

 

あれ、ウソだったのかよ! 」

 

タケルは、他の少年達に向かって、必死で叫んだ。

 

「残念だけどな。タケル。

 

オレら、あの子らがどうなっても、カンケーねェンだ。

 

アイツら始末しないと、オレらの将来にかかわるンだよ。

 

オマエなンかに、頼っちゃいないよ!

 

自分で、自分のことはケリつけないとな!

 

オマエも、あの子ら助けたかったら、自分でどーにかしろよ!

 

早くしないと、あの子らと一緒にやつらを集中攻撃するぞ! 」

 

タケルの近くにいたボス格の少年が、敵をにらみながら、タケルに聞こえるように大声で言った。

 

キララの声が聞こえた。

 

「さぁて、タケル。どうする? 時間がないみたいだよ」

 

「わかった。

 

キララ! あの2人をオマエが隠してくれたら、オレが人質になってやる。

 

アイツらが、オレを縛ったら、オレを撃て! あいつらと一緒にな! 」

 

「そうか。

 

だけど、アンタの友達、キラシャって、女の子だよね。

 

アタシが隠したって、アンタが死んだら、どこへ連れてきゃいいのさ。

 

その辺にほったらかしてたら、またどっかの悪い連中にイイようにされるだけだよ。

 

アンタに見せたビデオみたいにね。

 

ひどい目に遭って、殺されちゃうけど、それでいいンだね・・・」

 

タケルの脳裏に、銃で脅され泣き叫ぶ少女達の姿がよみがえった。

 

キララの言葉は続いた。

 

「それくらいの気持ちでやれば、何とかなるだろ。

 

まだ、アンタに見せてなかったけど、

 

あの子らは、アンタの知らない特技があるンだ。

 

まぁ、見ときな! 」

 

キララはタケルにそういうと、他の子供達に向かって叫んだ。

 

「それじゃ、行くよ!

 

みんな! 時空を超えて、奴らを叩くんだ!

 

戦利品は、ありがたく頂戴しときな!

 

奴らの方が人数多いけど、手早くやりゃすぐに縛れるからな!

 

タケル!

 

アンタもあの子らのやってること見て、できることをしな!

 

力の弱い子の手助けをしてやってくれ!

 

じゃぁ、行くよ! 」

 

キララは呪文を唱えながら、揺らぐ空間の範囲を少しずつ広げていった。


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