奇乃堂

イタチ、旅に出た 雷雨とお日様

 二月ごろから病状が一進一退していたフェレットが5歳10か月で旅に出ることになった。
 飼い主は最期頑張ったし、フェレットも頑張った。
 いくらやり切ったとしても、後悔がどうしても残る。
 こればかりは私たちができるのは聞くだけで、本人が飲み込んでいくことになるだろう。

 私が死んだと来たと感じたのは、訃報を聞いた翌日だった。
 その時浮かんだの下記の文。
 飼い主が言った最期も反映した。

 なお、箱の中で丸くなるフェレットは生きているようだった。
 トイレに起きた後、そのまま眠ったという――。
 火葬場のお迎えは夏空の日。

   ×   ×   ×

 花火の音がする。
 ボクはみたことないや。

 横で仕事をしていたヒトが終えたから、トイレに連れて行ってもらい、そのまま寝床に入る。

 ねぇねぇ、花火見に行こう?
 これからでも――。

 ねぇ、悲しむのは嬉しいけど、落ち込まないでね。
 最初はきちんと薬を飲んでたけど、やめたいと思った。
 それとごはんや水もいらないと思った。
 先生は無理にでも飲ませろ、食べさせろって言ったけど、君が悩んでくれた。

 ボクは旅に出る準備をしていたんだ。
 だから、君は気に病むことはないんだよ。

 ボクは毛玉二回あったり、足がおかしくなったりもしたし、気圧が辛いこともあった。
 これから、それはないんだよ。

 いっぱい世話してくれてありがとう。
 時々ボクここにくるかもしれないけど、君は君でいいんだよ。

 ああ、明日は雷雨だって。
 天気崩れるから気圧が――でも、ボクには関係ないよ。

 時々ボクと遊んでくれた人たちが来たよ。
 じゃあ、ボク、皆と行くね。

 おやすみ。 
 またね!

今後ともよろしくでございます。

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