私は葛飾北斎が大好きです。長野県小布施町には北斎美術館もあり何回となく訪れています。北斎「富嶽三十六景」には一図一図に、北斎の意図や見どころがあります。北斎は、LIFE誌が選ぶ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に選ばれた唯一の日本人。「富嶽三十六景」及び「北斎漫画」は、世界のゴーギャン、ゴッホ、セザンヌ、モネ、など多くの印象派画家に影響を与えています。まさに世界の「北斎」です。
「甲州三嶌超」
山梨県巨摩郡山中湖~静岡県駿東郡小山町
「三嶌超沸き立つ笠雲頂上に 巨木と富士は北斎魅了」
三島越とは、甲府盆地から富士山麓を経て駿河国・相模国へと続く鎌倉往還(古代東海道)を指します。画面中央に巨木を配し、その後ろに富士が稜線を広げています。巨木と富士の対決でしょうか。旅人たちは、幹の太さに驚いて、手をつないで幹の太さを計ろうとしています。藍、緑、墨の色合いが、夏のさわやかな空気の中に沸き立つ夏雲、頂上にたなびく笠雲が富士の美しさを見せています。
「駿州片倉
茶園ノ不二」静岡県富士市
「駿河こそ歌が聞こえる茶園では 立ち働く男女忙しく」
京都の宇治と共に駿河は茶の名産地です。彼方まで続く大規模な茶園で、忙しく立ち働く様子が描かれています。女たちは茶摘をし、男たちは茶葉を籠に詰め込み、その籠を馬で作業場に運び、右手の建物に集められてます。背後の富士には雪が多く残っているところから、春の新しい茶摘みの様子なのでしょうか。しかし、駿河に片倉という地名はありますが茶園として知られてはいません。この図の場所は不明との説もあるようです。
「駿州大野新田」
静岡県富士市大野新田
「一日の富士を背にして終わりこそ 平和な安らぎ安堵感も」
大野新田は、東海道の原宿(沼津市)と吉原宿(富士市)へと向かう途中にあり、富士が真正面に見えるところとして知られています。右に小さな島が二つあります。これは浮島沼を描いたものです。街道には、牛の背いっぱいに枯れ葦を運ぶ農夫たちと、青々とした刈り取ったばかりの葦(あし)を背負子で運ぶ農婦らの姿が描かれています。そして白鷺たちは、夕陽を背にして家路へと飛び立っていきます。沼地の静けさと、平和な一日の終わりの安堵感が漂います。
「山下白雨」
「にわか雨富士の裾野に激しくて 暗黒の中稲妻走る」
夏の激しいにわか雨を白雨(はくう)といます。裾野には、人生の底知れない深さを表すように、真っ黒に塗りこめられ、そこに大きな稲妻が走っています。暗黒の中の稲妻と青空にたなびく瑞雲、まるで天国と地獄のようです。凱風快晴が「赤富士」と呼ばれるのに対して、本作品は「黒富士」と呼ばれています。本シリーズ中、三役の一つに数えられる図です。葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」のうち、特に優れた作品とされる「神奈川沖浪裏」「凱風快晴(赤富士)」「山下白雨(黒富士)」の3作品をさす。
参照
https://media.thisisgallery.com/20208048
https://fugaku36.net/free/nihonbasi
※5月27日(土)28日(日)は休みです。
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