今日の題名は19世紀にMahanというアメリカの地政学者で戦略家が唱えた理論で、現代においても特にアングロサクソン国家では重要視され、外交・安全保障の政策の基本となっています。
一言でいえば、PRCやロシアなどの内陸(あるいは大陸)国家=ランドパワーを、それを取り巻く国家(米国、英国など)が連携あるいは植民地などの拠点を作ってシーパワーで対抗するというものです。当然拠点は沿岸地域にあるべきです。これにより海上封鎖も可能になります。
Pax BritannicaやPax Americanaを現出させたのはまさにこの戦略を実行したからに他なりません。19世紀に英国が日英同盟を結び、ロシアの南下政策を止めたのも3C政策もこれに則ったものと言えます。WW2でのドイツ・日本は内陸に突っ込んでいき、外側からシーパワーの米英にやられたとも言えます。
彼の理論は未だに全く色褪せず、現代においても専制国家のロシア・PRC=ランドパワーを民主国家の西欧・アメリカ(NATO)・日本などがシーパワーとして取り囲み暴挙を抑止しようとしている構図です。
このシーパワーを有効に機能させるには所属各国(特に同盟国・友好国)との連携が重要なのは言うまでもありません。 ところがトランプは自国第一主義で、カナダとメキシコをいじめたり、欧州諸国を冷たくあしらったり、Sea Power を弱めるような行動をとっており、アメリカの力を結果として弱める政策をとっているようにしか見えません。今後数十年においてアメリカのパワーは相対的に減衰していくことがはっきりしているから、民主国家間での同盟強化が最重要になってくるにもかかわらずです。
先日「トランプのグリーンランド」でその着眼点を称賛しましたが、グリーンランドやパナマ運河といった戦略拠点を支配することも重要ですが、すべてを1国が支配できる現状ではないので、いかに同盟国・友好国と連携を深めていくかがキーとなります。安倍さんが生きていれば、良いアドヴァイスを送ったであろうに、残念なことです。(安倍さんの政策はMaha他のGeopoliticsを深く勉強された上のものです。)