頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。
そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。
自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。
そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。
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譲二さんの愚痴(一護エピローグ2話)~その2
百花ちゃんは今日のデートでのことを話してくれる。
商店街に建設中の建物があって、そこには有名洋菓子店のチェーン店オープンのお知らせが貼られていたそうだ。
譲二「そっか。この間からあそこで工事をしてるなとは思ってたけど、あのチェーン店がオープンするのか…」
百花「それで『倫護おじさんに知らせに行こう』っていっちゃんに言ったら、『こんなチャラチャラした店に親父の店が負けるわけねーから。余計な心配してんなよ』って、言われて…」
譲二「それで一護と言い合いになって、拗ねた一護は百花ちゃんを置いて行っちゃったんだね?」
百花「デート中に私が余計なことを言ったから、いっちゃん、怒ったみたいで…」
あ~あ、もう目に浮かぶようだな…2人のやり取り。
譲二「一護も百花ちゃんの心配する気持ちはよくわかってるはずだから、今頃は言いすぎたって思ってるよ」
百花「そうでしょうか?」
譲二「うん。別に百花ちゃんを怒ったりはしてないと思うよ」
俺の言葉で少しホッとしたような百花ちゃん。
だけど、また眉をよせて言った。
百花「やっぱり倫護おじさんに言う必要はないんでしょうか?」
譲二「うーん…難しい話だね。お父さんのお店が負けるわけないっていう一護の気持ちもわかるし…だけど、現実的な話を考えれば耳には入れておいた方がいいと思うしね」
そこへハルたちもやってきた。
春樹「あれ? どうしたの。なんか元気ないね?佐々木…」
心配そうなハルに百花ちゃんが事情を説明する。
剛史「へえ! あの店が近くにできるんだ! 急に都会になった感じがするな」
春樹「タケ。そうやって、はしゃがないの」
剛史「もちろん、俺だって倫護おじさんの店の方が美味しいと思ってるよ!ただ、どんな店ができるのかなーって」
理人「そうそう。最初はそういう物珍しさもあるからね。ライバルとまではいかなくても、全く影響なしってこともないんじゃない?」
竜蔵「こうなったら…。サトウ洋菓子店でしかケーキは買わない運動でもするか?」
いつものことだが、リュウの突拍子もない提案に苦笑する。
譲二「そんなことしたら問題になるでしょ。最終的にお店を選ぶのはお客さんだからね」
春樹「でも、俺も倫護おじさんのお店なら心配ないと思うよ」
理人「そうだよ!倫護おじさんのケーキすごく美味しいし、チェーン店なんかに負けないって」
百花「うん…。そうだよね!」
みんなに励まされて、百花ちゃんは少し元気が出たようだ。
譲二「一護とよく相談して、二人で一応、話をしておくっていうのがいいんじゃないかな?」
百花「そうですね」
百花ちゃんはさっきの一護との言い争いを思い出したのか、また肩を落とす。
春樹「もしかして、そのことで一護、また、へそ曲げちゃったの?」
百花「私が話をするタイミングも悪かったから…」
竜蔵「一護もワガママだからなぁ。百花も、もっとビシッて言ってやんねーと」
百花「う、うん…。でも…今日のことで明日のお御輿とかもやめちゃったらどうしよう…」
春樹「さすがに、そこまでは心配しなくていいんじゃないかな」
剛史「あれでいて、結構責任感強いとこあるしな」
百花「うん…」
みんなは口々に慰めてくれてるけど、百花ちゃんの元気は戻らない…。
何か…百花ちゃんと一護を仲直りさせるようないい案はないだろうか?
その3へつづく