吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
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茶倉譲二 続編第九話~その6
〈譲二〉
ふと、カウンターの方を見るとみんなが集まって、肘をつつき合っている。
(そうか…あいつらには紹介していなかったな。兄貴のこと)
譲二「みんな、そんなところにいないでこっちおいで」
春樹「いいの?」
譲二「紹介するのが遅れてごめんね。これ、うちの兄貴」
紅一「茶倉紅一です。いつも弟がお世話になってます」
竜蔵「マジで兄貴だったのか…」
一護「似てねーな」
理人「でもマスターも、その内こんな感じになるんじゃない?」
剛史「いや、ならない」
一護「つーか、似てるとこあんのかよ」
兄貴と似てるところか…。
そんなこと今まで考えたこともなかった。
小さい時は兄貴みたいになりたくて、一生懸命真似してたっけ…。
そのうち、兄貴とは家業を継ぐ継がないに始まって、意見が対立することが増えて、中学生くらいの頃からは反発ばっかりしてたな…。
今思うと俺を思っての苦言だったのかも知れないけど。
譲二「うーん…言われてみればそんなにないかもねぇ」
紅一「考え方も違うしな」
理人「じゃあ、好みのタイプとかは?」
好みのタイプか…。
そういや兄貴が女の子と付き合ったりしたことなんてあったっけ?
俺の知る限りでは無いから、よくわからないな…。
譲二「そりゃ、俺は百花ちゃんみたいなかわいい子だけど」
明里「なんかもう、開き直ったわね」
理人「マスターが言うとやらしいよ」
ああ、もうなんとでも言ってくれ。
春樹「お兄さんは?」
ハルに水を向けられて、兄貴は自分も百花ちゃんののような明るく可愛い子がいい、と言い出した。
(え !?まじかよ!)
それを聞いて、みんながまた好き勝手にからかい始める。
一護「どっちが勝つと思う?」
春樹「そりゃジョージさんじゃない? 佐々木、ジョージさんひとすじだし」
理人「え~? じゃあ僕はお兄さんに賭けようかな」
剛史「関係ない奴に横取りされるに100ポイント」
(うわ~。そうなったらどうすればいいんだ!)
慌てる俺に、兄貴は平然と言い放った。
紅一「冗談だ。何を本気になっているんだ」
(冗談か…。よかった。またライバルが現れたかと思った)
明里がしみじみと言う。
明里「紅一さんも冗談なんて言うのね」
俺も初めてみたよ、兄貴が冗談を言うところ…。
はっきり言って冗談に聞こえなかったけど。
胸を撫で下ろす俺に兄貴は言った。
紅一「お前でもそんなに慌てた顔をするんだな…。家にいた頃は、いつもつまらなそうにムスッとしていたが」
それを聞いて、百花ちゃんが不思議そうに尋ねる。
百花「マスターがですか?」
譲二「ああもういいから!」
(明里も兄貴も、これ以上昔の俺を暴露しないでくれる? お願いだから)
その後も、みんなにからかわれながら、クロフネ最後の日は穏やかに過ぎて行った。
その7につづく