吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
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茶倉譲二 続編第九話~その7
〈譲二〉
満席だったクロフネの店内も、一人、また一人とお客さんが帰って行き、寂しくなった。
最後に残った兄貴や明里、百花ちゃんやリュウたちをカウンターに呼んで、コーヒーを振る舞った。
明里「いつからこんなにコーヒーを淹れるのが上手になったのかしら」
譲二「そりゃ、ここに通っている間に先代に教えてもらったからね」
先代マスターの言葉が思い浮かんだ。
『譲二くんは筋が良いね。コーヒーも私と変わらない味が出せるようになってきたから、いつでもクロフネを任せられるね』
眼鏡の奥から微笑む優しい瞳。
根気強く、俺に色々なことを教えてくれたっけ…。
理人「なんか、毎日マスターが淹れるコーヒーや紅茶を飲んでた気がする」
みんなそれぞれ好みがあったからなぁ…。
それに合わせてコーヒーや紅茶を淹れるのは、ずいぶん修行になったよ。
りっちゃんは特にカフェオレの味にはうるさかったからね。
春樹「もう、クロフネのコーヒーは飲めないんだね…」
ハル。店に来るといつも一番にコーヒーを注文してくれてたね。
一護「…マスターの歴史うんちくも聞けなくなる」
一護…。お前にはいつも『またマスターの歴史うんちくが始まっちまった』ってうざがられてたよな?
なのにそんなに言ってもらえると嬉しいよ…。
剛史「特製ランチとハニートーストも」
譲二「そういえば、タケとリュウはいつもメニューにないもの頼んでたね」
『それはメニューにないぞ』って言いながらも、少しずつ改良して楽しんでたよな…俺も。
鼻をグズグズさせていたリュウがひときわ大きな泣き声をあげた。
竜蔵「…ぉおう!」
リュウ。お前はいつもその無邪気さで俺を元気にしてくれてたよ。
それにお前に『ジョージは男の中の男だからな』って言われる度に、背筋がピンと伸びたもんだよ。
リュウがイメージする理想の男になれるように頑張ってきたつもりだったけど…、ちゃんとなれてたか?
リュウの泣き声に釣られるように、みんなしんみりとした。
譲二「みんな、ほんとにありがとね」
譲二「俺がこれまでやってこれたのも、みんなが協力してくれたからだよ」
みんなの様子を見ていた兄貴がポツリという。
紅一「譲二、本当にこれでいいのか?」
譲二「ああ」
これだけたくさんの人たちがクロフネを愛してくれたってことも分かったし…。
ここに戻ってくるためにも、今からは気持ちを切り替えて、茶堂院グループのために頑張らないと。
俺は兄貴に笑顔で言った。
譲二「これで、よかったんだ」
その8へつづく