頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。
そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。
自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。
そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。
☆☆☆☆☆
譲二さんの愚痴(一護エピローグ3話)~その1
祭りの当日になった。
百花ちゃんは緊張しているのか、朝食の時、いつもと違ってあまり食べられなかった。
俺は百花ちゃんの気分をほぐそうと、色々話しかけたが百花ちゃんはうわの空だった。
一護に手渡すハチマキを握りしめ、百花ちゃんは出かけていった。
ハチマキはねじってあるから、一護へのメッセージが何と書いてあるかは分からない。
『見てくれるかな』と心配そうな百花ちゃんに『ハチマキをほどいてみて』って頼めばいいとみんなで言ったものの…。
そんなこと百花ちゃんは言えないんじゃないかなぁ……う~ん。大丈夫かな?
☆☆☆☆☆
しばらくして戻ってきた百花ちゃん。
そわそわしながらもクロフネの露店を手伝ってくれている。
遠くからお御輿を担ぐ掛け声が聞こえてきた。
譲二「百花ちゃん!お御輿、来たみたいだよ!」
百花「本当ですか!?」
2人で露店から出てみると、お御輿が見え始めていた。
『わっしょい!わっしょい!』
譲二「あ、あれが一護だよ!一番前で頑張ってるね」
百花「本当だ…」
百花ちゃんは御輿を担ぐ一護をじっと見つめている。
お御輿は賑やかに俺達の前を通過していった。
百花ちゃんの顔を見るとまだ浮かない顔だ。
譲二「ん? その顔だと、まだ一護と仲直りできてないみたいだね」
百花「はい…」
譲二「ハチマキほどいてみてって言えなかったんだ?」
百花「…はい…」
譲二「そっか…」
百花「みんなが協力してくれたのに、すみません」
譲二「いやいや。なかなか、そういうことって言えないよねぇ。わかるよ、百花ちゃんの気持ち」
百花「マスター」
ああ、百花ちゃんそんな顔しないでよ…。いつもの明るい百花ちゃんでいてよ。
百花ちゃんの気持ちを伝えるには……一護にハチマキを外させないとな…。
譲二「ここは俺が一肌脱ぎますか」
百花「いっちゃんと仲直りさせてくれるんですか?」
百花ちゃんは縋るような瞳で俺を見つめた。
譲二「なるべくそうできるように頑張ってみるから…ほどほどに期待して?」
俺はちょっと思いついたことがあったので、百花ちゃんに微笑むと、クロフネの露店に戻って行った。
その2へつづく