この話はハルルートの譲二さんの「それぞれの道」の7年間の空白期間を埋める話をと考えて書き始めたものです。
ところが、書いて行くうちにハルルートの譲二さんの話からは外れ、全く違う結末のお話になってしまいました。
それで、upしたものかどうか悩みました。
二次創作の二次創作だし…。
ヒロインは娼婦だし…。
譲二さんは壊れてるし…。
不快に思われる方もいるかもしれません。
でも、一時お話をかけなくなった時期に書けるものを書こうと書き始めたのがこの話で、そういう意味では私を助けてくれた話とも言える。
アクセス数が減ってるということは読む人も少ないわけで、ひっそりとupするのならいいかなと思い公開します。
性描写もそれなりにあるので、18禁にしようかとも思ったけど、そもそもネットではそれを確かめるすべもないし。
だから、こういう話はダメという人は避けてくださいね。
上にも書きましたが、ハルルートの譲二さんの話から派生した物語なので、読んでない方は『それは突然の告白から始まった…』から『それぞれの道~その1~その5』あたりまで読んでもらえると、どうして譲二さんが壊れているのか…とかが分かると思います。
☆☆☆☆☆
永遠の刻(とき)~その5
〈アリサ〉
ATMから出て、帰ろうとした時、誰かに呼び止められた。
???「よぉ、アリサ」
振り返ってぎょっとした。
アリサ「タツヤ!?」
タツヤ「久しぶりじゃねぇか。あんまり変わってねぇな」
あたしの体を舐めまわすような視線に鳥肌が立った。
アリサ「なんで、あんたがここにいるの?」
タツヤ「久しぶりにあったのにツレナイじゃないか」
タツヤは、昔私がフリーの娼婦じゃなかった頃、女の子達の用心棒をしていた男だ。
アリサ「あたし、急いでるから…」
その場を去ろうとしたあたしを引き留めるようにタツヤが言った。
タツヤ「この間、探偵が訪ねてきてさ。お前のことを根掘り葉掘り聞かれたよ」
アリサ「何を話したの?」
タツヤ「お前の仕事のこととか…、うちの店では稼ぎ頭だったこととか…」
アリサ「よけいなことを…」
タツヤ「ちょっと懐が寒くてさ…。いい小遣い稼ぎにはなったよ。お前は愛嬌があるし気立てもよくて、みんなに好かれてたって話しといたよ」
アリサ「それはどうも」
タツヤ「その探偵がさ、お前がここらへんに住んでいるようなことをポロッと漏らしたからさ…。
お前のことが無性に懐かしくなってさ…。暇があるときにここらをぶらぶらしてたのさ…」
アリサ「脅してもあんたにあげるようなお金はないよ!」
タツヤ「そっか、こんな金持ちが住むような街にいるってことは、俺と知り合いってだけで脅しになるってことなんだな」
タツヤがにやりと笑う。
アリサ「何よ。あんたには関係ないでしょ」
タツヤ「ふん。どうせ金持ちの爺の愛人の座でも射止めたんだろ」
当たらずといえども遠からずのタツヤの言葉に、心が凍りついた。
アリサ「だったら、なんだって言うのよ…」
タツヤ「まあ、昔馴染みの幸せに水を差すつもりはないけどな…。俺もその幸せのおすそ分けにでもあやかりたいとは思ってね…」
タツヤがじりじりと間合いを詰めてくる…。
ちょうどその時、空車の表示を出した流しのタクシーが近づいて来た。
あたしは即座に手を挙げるとそのタクシーに乗り込んだ。
アリサ「すみません。急いで車を出してください。変な男が付いてくるんです」
運転手「お、分かった」
運転手さんはタツヤを胡散臭い男だと思ってくれたみたいで、すぐに車を出してくれた。
あたしは少し先の大きな駅の名前を告げた。
その6へつづく