この話はハルルートの譲二さんの「それぞれの道」の7年間の空白期間を埋める話をと考えて書き始めたものです。
ところが、書いて行くうちにハルルートの譲二さんの話からは外れ、全く違う結末のお話になってしまいました。
それで、upしたものかどうか悩みました。
二次創作の二次創作だし…。
ヒロインは娼婦だし…。
譲二さんは壊れてるし…。
不快に思われる方もいるかもしれません。
でも、一時お話をかけなくなった時期に書けるものを書こうと書き始めたのがこの話で、そういう意味では私を助けてくれた話とも言える。
アクセス数が減ってるということは読む人も少ないわけで、ひっそりとupするのならいいかなと思い公開します。
性描写もそれなりにあるので、18禁にしようかとも思ったけど、そもそもネットではそれを確かめるすべもないし。
だから、こういう話はダメという人は避けてくださいね。
上にも書きましたが、ハルルートの譲二さんの話から派生した物語なので、読んでない方は『それは突然の告白から始まった…』から『それぞれの道~その1~その5』あたりまで読んでもらえると、どうして譲二さんが壊れているのか…とかが分かると思います。
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クロフネ~その5
〈譲二〉
1階に降りて、俺はコーヒーを入れる準備をした。
アリサ「それ、どうしたの?」
譲二「うん。アリサにいいところを見せたくてね。どうしてもここでアリサにコーヒーを淹れてあげたかったんだ」
アリサ「わざわざあたしのために?」
譲二「ああ。豆も今日のために俺が選んで買っておいたんだ」
アリサ「うれしい…」
アリサをカウンターに座らせると俺は洗って拭いておいたコーヒーカップにコーヒーを注いだ。
譲二「どうぞ、お嬢さん」
アリサ「ありがとう…。なんだかお姫様にでもなった気分」
譲二「大げさだな…」
アリサはうふっと笑うと一口飲んだ。
アリサ「美味しい」
譲二「そう? 良かった。俺もお相伴するね」
アリサ「うん」
厨房から店のカウンターに移ってアリサの隣でコーヒーを飲んだ。
クロフネでコーヒーを飲むのは久しぶりだ。
ここに毎月掃除には来ていたが、こんなにくつろいだのは初めてだ。
譲二「アリサ」
アリサ「なあに?」
譲二「さっきも話したけど、俺はいつかこの店のマスターに戻ろうと思ってる」
アリサ「うん。あたしも見てみたい。ジョージがこの店のマスターをしているところ」
譲二「見るだけじゃなく手伝ってくれるんだよね?」
アリサ「うん」
アリサの声が小さいのが気になった。
譲二「俺、本気だから…。さっきアリサと夫婦になるっていったのも本気だから」
アリサ「わかってるよ」
アリサはそう言ってニッコリ笑った。
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それから…月に一度のクロフネ行きにはアリサを伴うようになった。
もうアリサに隠す秘密は無かったから、俺は気が楽だった。
そして、二人でクロフネに行った時には、掃除だけでなく俺が淹れたコーヒーをアリサに飲ませるのも俺の楽しみになった。
俺は、クロフネをアリサと二人で切り盛りする日々を容易に目に浮かべることができた。
そしてそれは茶堂院グループを立て直すための仕事の励みにもなった。
その6へつづく