第4回目は、本当に恐ろしくも哀しいいわくつきのある場所……鉄輪の井です。
鉄輪は、「かなわ」と読むそうです。
鉄輪(かなわ)とは、火鉢の中に置いた五徳のことで、鉄の輪に三本の足を付けたものです。本来はヤカンなどを乗せて湯を湧かす為のものです。
が、本来のものとは別の使われ方もされたそうです。
この鉄輪を逆さまにしてその足にロウソクを結びつけ、火をつけたそれを頭に乗せ、白装束、髪を振り乱し、白化粧、濃い口紅、口には櫛をくわえ、胸には鏡を提げ……と、ここまで言えばおわかりでしょうか?
そう。いわゆる「丑の刻参り」という呪いの儀式に使用されるのです。神社などの木に藁人形を五寸釘で打ち付けて、憎い相手を呪い殺そうとする、あれですね。
この「鉄輪の井」には、次のような言い伝えがあります。
昔、ある女が、自分を捨てて他の女の元へ去ってしまった夫を呪い殺そうとして、毎晩貴船神社まで丑の刻参りをしたそうです。
しかし、満願成就までもう少しというところで、自宅近くの井戸のほとりで力尽きて、そのまま息絶えてしまいました(あるいは、目的を果たせずに井戸に身投げした、とする話もあるようです)。
付近の人々は、その女を不憫に思って、鉄輪でもって塚を築きました。
この話から、「この井戸の水を飲むと、縁切りができる」という噂が広まりました。
後の寛文八年(1669)に、「縁切りはよくない」というので、稲荷大明神を祀って、縁結びの神様としました。それが「命婦稲荷神社(みょうぶいなりじんじゃ)」です。
さて、このような伝説の残る場所を目指しました。
まず、「鉄輪の井」とその入り口を探すのに、苦労しました。
何故なら、碁盤の目のように並んだ京都市内の小さな通りを、しかも多くの民家などが立ち並ぶ中を探さなければならなかったからです。
やっとのことで、鉄輪の井の入り口を発見しました。
民家や普通の建物の間に、ひっそりと建っているという感じの入り口です。
入り口の門の横にある「鉄輪跡」と書かれた石碑と、門の上にある表札としめ縄がなければ、見落としているでしょう。
門をくぐり、建物の間にある、人や自転車が通れるだけの狭い道を進むと、ようやく目的の場所が見えてきました。
そしてここが、伝説の井戸。
建物の間に挟まれた狭い場所にあり、昼もあまり日が当たらないこともあって、昼間でも少し暗く、重苦しい雰囲気に包まれているようです……。
井戸の底は、暗くてよく見えませんでした(というか、怖いからあまり見たくない、というのも正直ありましたが)。
現在では、井戸の水は枯れているそうですが、今でも時折参拝者が訪れることがあるそうです。
そして、次が命婦稲荷神社です。
縁切りと縁結び。
以前にもカミングアウトしたとおり、「万年モテない君」でもある私には、「縁を切りたい」という女性も居ない代わりに、「結ばれたい」と思う女性も、現在おりません(苦笑)。
いや、後者はかつては居たこともありましたが、連戦連敗……つまりずっと失敗し続けているうちに、諦めてしまったのか、異性を追い求めるだけの元気もなくなりましたわ(苦笑)。
幸か不幸か、私のような者とは縁の薄い場所かもしれません。
でも、せっかく来たのですから、挨拶と、今後の旅の無事と、そして……この場所のことをネタとして使っても祟られたりすることのないように、賽銭を出し、お祈りだけしておきました。
さて、次はもうひとつ。
「男女の色恋沙汰」に縁のある妖怪スポットを紹介することにしましょう。
なお、「色恋沙汰に縁のないという、おまえが……」などという突っ込みはご遠慮ください。
※この記事は新館の方でも取り扱っています。
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