見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

夫の肩書きで自身を語る女性の心情

2006-11-21 23:20:58 | 生き方・生活
久しぶりに出版社の社長と夕食を共にした。
行政に限らずメディア企業の審議会や検討委員にひっぱりだこで活躍している多忙な人物だ。

「この前に出席した会議で驚きました」
「女性委員さんが、ご自身の意見の反応が弱いと思ったのか、『委員の名簿では私の肩書きが主婦となっていますけど、私の夫は医師です』と発言したんです」

そう発言した女性とは私も面識があり、聡明な女性だと感じていただけにその話には少なからずショックを覚えた。が、話はそれで終わらなかった。

「で、その発言が終わると、同席していた別の女性委員さんが挙手をして『私の夫は、○○企業の役員で…』と始めたんですよ」

涙が出そうになった。その発言の価値を彼女たちが信じている今の日本社会の現実に、彼女たちがそう言わざるを得なかった状況に。

社長は、手元のホットワインカクテルを飲みながら遠くを見つめている。
発言力の弱さをカバーしようとする彼女たちの努力が、現実には逆方向の向い風を作り出す。

「でもね」と、社長。
「先日、某大学の経営会議に出席を求められたときのこと。私も、いくつか事業提案をしたのですが、座長役の企業の社長(男性)が、すぐ別の話題に転換してしまったんです。私のアイデアが、座長の意図に適わなかったのでしょう。大学関係者が私の話に興味を示してくれた時、座長は不快そうな表情を隠そうともしませんでした。で、その後の意見交換の場で、彼が何と言ったと思います?」

「賞賛した・・・わけないですよね(^^!)」

「私を指名して『○○さん、主婦としてどう思いますか』と聞いたんですよ」

出版社社長は女性だが、「主婦」業ではない。
座長を務める企業の社長も、彼女が出版社社長であることはもちろん知っているのだが、嫌がらせだろうか。

「そうでしょうね。わざわざ『主婦』という肩書きを押し付けて、発言の価値を下げようとしたのかもしれません」

社会で活躍している女性たちの哀しさ、茨の道を感じる事例がここ数日続いている。


にほんブログ村 その他生活ブログへ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへ にほんブログ村 政治ブログへ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 女性の台頭とストレス | トップ | 日本はG7で最下位 スイス... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

生き方・生活」カテゴリの最新記事