見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

「日本人同士は、助け合わないって言うので」

2007-10-19 07:37:06 | スペイン
グラナダの街角で地図を広げていると、「何かお探しですか」と日本語で声をかけられた。学生風の日本人女性だった。
タパスの美味しいバル(BAR)へ行きたいというと、それなら、と彼女はいくつかのバルの名前を出し、「グラナダはいいですよ。バルで2杯も飲めばタパスでお腹が一杯になりますから」と言う。
そう、バルでは、飲み物一杯におつまみ(タパス)がついてくる。日本の付き出しと異なるのは、飲み物一杯注文するたびに、ことなるタパスが、それもけっこうなボリュームで出てくること。だから、彼女が言うように2、3杯でけっこうお腹が満たされる。
グラナダに詳しい彼女は、聞くと美術学校へ行って半年なのだと言う。
立ち話のついでに、バルでのスペイン語の注文の仕方も教えてもらう。
「私はTinto con limonが好きです。ワインやビールのレモン割りは軽くて美味しいですよ」
いくつかのスペイン語名をメモし、早速試してみます、と彼女に声をかけてもらった礼を言った。
「地図を広げていたので、困っていると思って」と彼女は笑顔で言って一呼吸おいたあと、「日本人同士は助け合わないってよく言うので」とつけ加えた。

なるほど。今もそうなのか。
25年前に海外に初めて出たときも、そいういう場面や言葉を聞いた。それで旅の間に思わず声をかけた相手は、中国系シンガポール人だったことを思い出した。
日本人同士助け合わないのはなぜだろう。もう少し彼女と話してみたかったが、これから授業が始まるところ、と足早に立ち去った。今度、日本人に会う機会があったら、日本人同士が声をかけ難い事情について話してみようと思いながら、彼女に教えてもらったバルに向かった。





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4 コメント

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Unknown (パパイヤ)
2007-10-27 10:41:19
子育ての基本を「自分の事は自分でする」「人に迷惑をかけない」にしている人が多いようです。これは結局「他人の事に手を出さない」に行き着くように思います。どっかの時点でこういう方針が流行ったんでしょうか。いつも面白いなあ、不思議だなあと思いながら聞いてます。それと世間への気遣いの過剰さが外に出ると開放感から無関心へ、というのもあるんでしょうか。
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やはり (ワイン)
2007-10-30 08:13:45
パパイヤさんが言われるように、海外ばかりではなく、日本国内にいても、日常的に声を掛け合わないですね。乳母車のお母さんの存在も見て見ぬふりする人が多いとか。地図を持って立っている人に声をかけないとか。基本的に知らない人とは目を合わさない習慣がある。欧州にいると、みんな地域の知り合い的な雰囲気があり、寡黙な私は話題に困ったりはするのですが・・・(^^!)
ところで、このところ、日本人かな、と思って近づくと日本語以外の言語が聞こえてくることが多いですが、彼らも日本人と行動様式が似ているかもしれません。
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そうね・・・ (YURI)
2007-11-16 09:16:38
ある宣教師から、
「聖書の中には『自分がして欲しいと思う事を他人にもしなさい』とあるけれど、
日本人は『自分がされて嫌なことは他人にするな』と教えている。」
と言われたことがあります。

海外に行くと、この差を感じることが多いですね。
奥ゆかしさが悪い面にでてしまったのでしょうか?
宗教に詳しくはないけれど、様々な面で影響を与えてきたのは事実かもしれません。
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能動と受動でしょうか (ワイン)
2007-11-17 05:49:19
YURIさんが宣教師から言われたことと同じベクトルが、「相手の理解を得るための説明力」を重視する教育と「相手の気持ちを理解する感受性」を重視する教育の違いに感じます。
それにしても、「自分がして欲しいと思う事を他人にもする」努力が不足している昨今の自分を反省しました(^^!)大切な言葉をいただいたような気がします。

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