見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

セビィリャの風景

2007-11-13 23:03:48 | スペイン
スペイン南部のアンダルシア地方の中心都市であるセビリアの人口は70万。スペイン第四の都市ではあるが、アンダルシア地方の都市に共通するイスラム支配500年の影響を色濃く残し、細い路地や広場、史跡の集まる旧市街は70万人都市とは思えない落ち着いた風情を見せる。
モロッコからすぐにポルトガルに入ることもできたのだが、グラナダでの旅情に後ろ髪を引かれ、同じアンダルシア地方のセビリアに数日だけ寄り道をすることにした。



■「後世の人々があきれるほどの大聖堂を建てようじゃないか」■

世界第3位の規模を誇るというゴシック様式の大聖堂(Cathedral)は、イスラム教のモスクの上に建てられた。イスラム支配時代のモスクを改造して教会に立て直した例は、アンダルシア地方によく見られるが、この大聖堂も一目でそれだとわかった。ヒラルダの塔と呼ばれる一際目立つ塔の支柱部分が、モロッコで見てきたモスクのミナレット(礼拝時刻を告げる放送塔)の形にそっくりだった。
スペイン最大と言われる(最大を主張する他のスペイン大聖堂もあるらしい)だけの巨大な大聖堂であるが、昼間の姿より夕暮れから夜にかけてライトアップされて夜空に浮き上がるその姿は美しく圧巻。当時の聖者たちが「後世の人々に馬鹿と言われるほど大きな教会を建てよう」と言ったという逸話もあるほどだ。教会内にはあのコロンブスも眠っていると言う。
それにしても、「最大」の宗教施設が世界中になんと多いことか。


<塔はミナレットの上部を装飾改修し直した>


<夜間照明に浮き上がる大聖堂>


■広場を囲む各県のタイルデザインが圧巻のスペイン広場

スペイン広場の名のついた広場は、ローマとバルセロナにもあったが、ここセビリアのスペイン広場(The Plaza de España)は、スペイン各県の歴史や特徴を紹介するタイルデザインで囲まれた「スペインの各県を一同に紹介した広場」と言える。タイルで装飾された各県のスペースを見て回るだけでも楽しい。自分の出身県や好きな県のスペースに設置されたタイル貼りのベンチに座り、記念写真を撮る観光客人の姿も見える。


<1929年の博覧会場として著名な建築家が手がけた広場>


<各県の位置と成立当時の歴史画がタイルで示されている>


<バルセロナの歴史画には半裸身の異民族の姿が見える>


<アンダルシア地方特有の、イスラム建築とキリスト教建築が融合したムデハル様式 (estilo mudejar)のタイル建材が太陽の光を反射して美しい>


■魅力的なバルの誘惑に勝てない■

グラナダと同様に美味しいタパスを提供するバルが、大聖堂の周辺に集まっていた。店の外まで人が溢れているバルは人気があるに違いない。素通りはできない。つい立ち寄って、一杯。
タパスにタコのマリネが食べたくて、持っていたノートの隅に下手な絵を描いた。食べたいメニューのスペイン語くらいは覚えておくべきだと反省するのは、いつも現場に入ってから。
カウンター内のしぶい顔の男性に絵を見せたところ、彼は笑い出し、スペイン語で何か言いながら、周囲のスタッフに絵を回した。果たして絵がわかったのだろうか、それとも・・・やがて、渡した絵が戻ってきた。見ると、私の描いたタコの絵の上に×印。その横に、四角に足のついた絵が描かれて○の印がついていた。「?」一瞬考えてから、思いついた。イカ、ならあるということだ。








<イベリコ豚の生ハムスライスも、信じられないほど安い>
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