見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

ジャングルから帰還

2007-12-21 06:33:29 | 南米
ブラジルのアマゾン地帯には、近寄る勇気がないのだが、地球に多くの酸素を供給しているという世界最大級の湿原に入ってみることにした。
日本の本州と同じ広さをもつというパンタナール湿原。色彩豊かな野鳥の宝庫だと聞く。のどかな湿原のロッジで、クリチバの都市計画についてまとめようと思っていた。
日本の湿原を、より多彩にした自然をイメージしていたのだが、大きな誤りだった。熱帯雨林の湿原地帯に住んでいるのは、植物と鳥だけではなかった。



「蚊の大群」に初めて囲まれた。湿原は高温多湿。雨季に入り、一日中晴天の日は少ない。しわの目立ち始めた肌には、しっとりした空気は嬉しいが、様々な虫たちにとってもパラダイスに違いない。

長距離バスを降りたバス停に迎えに来ていたジープの中は、すでに黒い蚊が何匹も飛び回っていて、とても嫌な予感がした。同乗したニュージーランド人のフィオナは、さっと虫除けスプレーを出して首筋に塗った。さすが、心構えが違う。

着いたロッジは、湿原の上に高床式で建てられた木造。すでにかなり年期が入っている。「目の前の川がバスルームね」と言われることを覚悟したが、雨水を貯めた簡易シャワーがあるのは嬉しかった。水シャワーで十分だ。
電気は来ているが、インターネットなどとは無縁の世界。
部屋の窓にはしっかり網戸が付いてはいるが、出入りするたびに入り口にたむろしている蚊が一緒に入ってくる。昼夜関係なく寄ってくるので、テラスで読書をする間も蚊との戦い。食堂では、スタッフが何度となく殺虫剤スプレーを撒いているが、テーブルの下では心得た蚊が静かに待機している。最も安全なのは、蚊取り線香を夜通し焚いている薄暗い自分の部屋なのだが、煙に燻されて蚊より先に弱るのではないかと思うほどだ。

以前、日本のTVで「蚊に刺されやすい人、刺されにくい人」というテーマの番組を報道していたが、とにかく、私は蚊には好かれやすい。一緒にいる人はまったく無被害でも、私が瞬時に数十ケ所刺されるということがよくある。夜刺されると数時間はかゆみに耐えかねて眠れない。
従って、蚊のいる場所は本当に遠慮したいのだが、パンタナールへ来るのは間違いだったと気づいたときは遅かった。
大変だった・・・。

湿原でゆっくりクリチバの都市計画について書こうと思っていたが、そんな状況ではなかった。毎日、蚊との戦い。知恵比べ。
とにかく、今日、パンタナールのジャングルから帰還した。




↑ロッジの前を悠々と流れるミランダ川をボートでゆっくり上ると、両岸に様々な生き物が見える。


↑カピパラ。ビーバーに似た水上生活動物。彼らのしぐさや表情は凛としている。


↑ガイドのルイスが、釣竿を出して、持ってきた牛肉を餌にピラニアを釣った。ワニを誘き寄せる餌に使うと言う。「大丈夫。ピラニアは、生血に反応するので、傷のない人間が普通に川を泳いでも食われない」と笑ったが、泳いでいる人はもちろんいない。ワニもいるし。


↑ピラニアをもらって嬉しそうに泳ぎ去るカイマン(アリゲーターの一種)。


↑ガイドのルイスが、アナコンダを見つけ、岸辺にボートを近づけた。「捕らないで!持ってこないで!」と懇願したにもかかわらず、「アナコンダにはなかなか出会えない。ラッキーだ」と嬉しそうに岸に上がり、ボートまで持ち込んだ。誇らしげに写真を撮ったあとは、元の巣に返したが、これはまだ子ども。大人は、6,7メートルになるとか。子どもでよかった。


↑足を振っても、手で追い払っても、決して負けない蚊の軍団。カメラの焦点すら合わせることができない。靴下の上から、ジーパンの上から、ちゃんと血を吸うのだからあっぱれとしか言いようがない。


↑滞在したロッジ


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12 コメント

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トゥカーン (ワイン)
2007-12-30 01:44:44
今いるリマ(スペイン語圏)の宿の女性に、写真を見せて名前を訊いた意ところ「トゥカーン!ボニート(美しい)!」と言いました。リマにはいないけれど、ペルー北部のアマゾン地域に住んでいるとのこと。愛嬌があるので、ネイティブの人たちが、アクセサリーや置物として木彫りの土産を作っているそうです。トォカーノはポルトガル語かもしれません。イグアスやパンタナールでは、道路の両脇の林の中でときどき観ましたが、とにかく大きく黄色のくちばしが目立ち、飛び方も変わっていて楽しい鳥でした。
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トゥーカンToucan (pechka)
2007-12-28 14:15:38
 オオハシ類は世界で38種、と、ある図鑑に出ていました。オオハシ類は、英語でトゥーカン、スペイン語でTucan(発音不明)だそうです。「トゥカーノ」はポルトガル語でしょうか。
 その内の最大種が写真の黄色いくちばしの鳥Ramphastos tocoで、和名はオニオオハシといいます。嘴の長さが20cmぐらいあります。標本を持ったことがありますが、けっこう軽い。
ハチドリですか。見てみたいです。
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悩ましいです (ワイン)
2007-12-26 15:02:36
八方さん、アルピコの情報、ありがとうございます。株はやっていませんが、この一件、かなり大きな波紋を投げかけそうですね。
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安心しました (ワイン)
2007-12-26 15:00:41
「蚊ごときに!」と呆れられたはずですが、皆様、思いやりのあるメッセージをありがとうございました。Makotoさん、pechkaさん、一気にクリチバレポートをアップしました。何だか中学生レポートのようになってしまいましたが、滞在日数がわずかだったことでご容赦ください。ごんたさん、クリチバの関係で補足や修正がありましたら教えてください。ボニートは蚊がいない(?)素晴らしくさわやかな町でした。toraさん、kazuさんのレベルに私が到達するには、さらなる修業が必要そうです。そうそう、pechkaさん、写真に写っているのは、黄色いくちばしの愛らしい鳥で「トゥカーノ」と現地で聞きましたが、オニオオハシは別名ですしょうか。ハイビスカスを突っついているハチドリも初めて見ました。感動的でした。蚊さえいければもっと・・・
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こんにちわ (八方)
2007-12-25 20:25:09
八十二銀行がアルピコの債権を85億円債権放棄するそうです。あと、30億円円を株式化するそうです。
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Unknown (kazu)
2007-12-23 11:05:01
本当は北国が好みなのに、なぜか熱帯林通いをしている私ですが、これほどの蚊の襲撃にはまだ遭遇したことがありません。雨期だからでしょうか?ジャングルの中にいると、生物の多様性を身体で感じることができ、人間も学ばねばといつも思います。ワインさん、どうかこれに懲りずまたジャングルにも行ってくださいね。
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お疲れ様です (ごんた)
2007-12-23 04:17:11
パンタナール大変だったみたいですね。
ボニートは行かれましたか?

こちらは政人くんが引越していき、年末年始は一人かなと思っていたら、世界一周中の2人組が到着しました。
まったく予定が決まっていない旅行者で、うちにもいつまで宿泊するのかよくわかりません。
クリチバの本を読んでみたいと言っていますので、よろしくお願いします。
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魅力的な写真 (pechka)
2007-12-22 22:37:07
 蚊にはほんとうにご愁傷さまでした。蚊はCO2に集まるとか。刺されても痒くならない人もいるし、掻かなければ痒みはひどくならないとか。熱帯は魅力的ですが、私も蚊や蛭などの「ゲテモノ」が苦手です。
 それはともかく、写真がすごい。森の中に写っているのはオニオオハシでしょうか。カピバラは世界最大のげっ歯類(ネズミの仲間)。来年の干支?カイマンもアナコンダも動物園でしかみたことない。
 クリチバのレポートを楽しみにしています。
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蚊柱 (tora)
2007-12-22 21:52:30
以前、南米で出会った旅人は蚊柱の話をしてくれました。自分の体の周りに三角柱の蚊柱が立ったそうです。南京虫はどうですか?南京虫も蚊よけも、旅の間じゅうずっと、私の奥さんが蚊よけでした(ニンマリ)なんてね。
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私も (Makoto)
2007-12-22 13:10:05
 私も蚊に食われやすい体質です。刺されることで免疫ができ蚊に強くならないものかと、刺されるたびに思います。

 クリチバの都市計画、興味あります。どんな考察が聞けるのか楽しみにしてます。
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蚊はどうして (ワイン)
2007-12-22 09:35:44
ご心配いただき、ありがとうございます。空気も景色も本当にすばらしかったのです。でも、蚊が・・・。kenさんも蚊に刺されやすい性質でしょうか。
蚊の注入する液が痒くなければ、それほど憎まないのですが、どうして蚊の液は痒いのでしょう。人間の体が異物を痒みに受け止めるようにできたということなのか。痒みがない血液溶液なら、人間も少しくらい血液を吸われても「バチーン」とつぶさないでしょうに。
蚊のいない爽やかな地域に来たので、これからクリチバについて書き始めます。
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お大事に (ken)
2007-12-21 10:22:25
蚊の大群がどんな様子なのか、想像も出来ませんが
読んでいるだけでも震えてしまいそうで、よくぞ無事にご帰還されました。はやく美しい肌を取り戻されるようお祈りしています。
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