見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

答えに困る質問

2006-07-23 22:57:45 | 生き方・生活
髪を切りに行って来ました。

これまで、特に気に入った美容師に出会うことはなく、ひいきの美容院を決めることも、特定の美容師を指名することもせずに、その時々、近くにある美容院に足を運んでいました。

新しい職場に移り、長いソバージュをショートにしようと決心した際、妹が、同級生に腕のいい美容師がいると言うので、店のオーナーでもあるという彼女を指名して予約をいれました。

駅から近い街の中心部にある店は、スタイリッシュなコンクリートの壁とモノトーンで整えられ、10人ほどの若いスタッフが笑顔で立ち回る活気あるヘアサロンでした。
すらりとした長身で、笑顔の素敵な妹の同級生は、カットの魔術師とも思えるほどのプロでした。

私の髪は、20年来、挑戦したことがないほど短くなりました。
仕上げのワックスで、無造作に立ち上げたショートヘアは、耳からトップにかけたラインがとてもきれいな形となり、今までにない満足な仕上がりです。

それ以来、その店一筋で彼女を指名しています。

そんな気に入った店なのですが、困ることがシャンプー中の質問攻め。シャンプーを担当するのは、たいてい見習いの若いスタッフです。

以前、男性専門の床屋で、一般家庭で使う小型ガス湯沸かし器の前につれていかれた男性が、そのまま前かがみになってゴシゴシと髪を洗われている姿を見、そのあまりのシンプルさに、ある種の感動を覚えたことがありますが、美容院では、サービスの内容と量がまったく違います。

まず、リクライングするイスに座って仰向けに倒されると、顔に柔らかなガーゼ、ひざにはタオルや毛布、がふわりとかけられます。そして、おもむろに、温かなシャワーが髪にかけられていくのですが…

髪を洗われる心地よさに浸り始めたとたん、質問が次々と投げかけられます。きっとマニュアル化されているのでしょう。

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①「今日は、お時間は大丈夫ですか」
  →意図がよくわからない質問なのです。
   時間があるから来ているので「はい」としか答えようがないのですが、
   「いいえ」と言ったら、彼女/彼はどうするのでしょう。

②「お湯加減はいかがですか」
③「力の入れ具合はよろしいですか」
④「お痒いところはございますか」
  →「あなたに任せているのだから、適当に」なんて決して言えません。
   もちろん、その都度「はい」。

⑤「すうっとするシャンプーと無添加のシャンプーのどちらにしますか」
  →夏だからの、選択できるサービスらしい。

⑥「流した足りないところはございますか」
  →この質問には、いつも答えに窮します。
   自分で見ることも触れることもできない状況で、
   シャンプー液の流し足りないところがどうしてわかるの?
   「はい」と言える人の感受性(?)を学びたい。

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顧客満足度を向上させるべくサービスなのでしょうから、偏屈に考えてはいけません。
が、顔にかけられたガーゼが唇にまとわりつくのを気にしながら、スタッフの質問にひとつひとつ返答するのが、拷問のように思えるのは、年のせいでしょうか…。

「不満があったら言うから、黙ってシャンプーしてね」とは言えず、今日も、シャンプー台に仰向けになりながら「はい」と何度も答えたのでした。


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