グラナダ市内で声をかけてくれた日本人学生が教えてくれた店に行ってみた。
「スペイン人と結婚した日本人女性が経営しているんですが、とても親切でいろいろなことを教えてくれるんですよ」と彼女は、日本人店主をとても頼りにしている様子だった。
最初にその店へ向かった時は、シエスタの時間だということを失念しており、シャッターがすべて下りた商店街に入って、しまったと思った。「日本人が経営しているのならシエスタは関係ないかもしれない」などと思ったのは間違い。が、すぐに店が発見できたのは、シャッターの下りたその店が、遠くからでも一目でわかる大胆な模様だったからだ。
午後の営業は17時からという店の案内版を確認し、出直すことにした。店の名前は「希望」。午後に再度訪れたときは、やはり遠くからでもすぐに認識できるほどの大胆なディスプレイで両側の店舗を圧倒する存在感を示していた。
店内には、切れ長の大きな目の日本女性が、ジーパン姿の日本人の若者の相談に乗っていた。「日本の公衆浴場に似た風呂があると聞いたのだけど、どこにあるのでしょうか。水着をつけないと入れませんか」というような質問をしていた。聞くと、グラナダに来て1ヶ月の男子留学生。「アパートにはシャワーしかないんです。物足りない。どうしてもゆっくりと体を浸す風呂に入りたいんです」と言う。
店主のチセさんは、根気良く様々な質問に丁寧に答えていた。九州出身の彼女は、縁あってスペイン人と結婚し女の子が一人。スペインには長いが、日本雑貨店をこの地に開いてはまだ1年という。
店の奥には茶室風の小さな座敷があり「地域の人たちに日本の文化をわかってほしくて、お茶会や着物着付け会を開いているんです」と言う。そんな話しをしている間にも、スペイン人の若い男性が地下足袋を買いに来た。底が厚手のゴムになっている丈夫な地下足袋だ。
「え?作業ではなくて、ファッションとして普通に履くんです。けっこう流行っているんですよ」とチセさん。
店の奥にある本棚に日本の本が並んでいた。旅行者が持ってきたものだという。文庫本、旅行ガイド、ハードカバーもある。一冊どれでも1、2euro。アジア諸国で売っている日本の古本に比べ信じられないほど安い。
「だって中古ですから。滞在中にまた持ってくれば、また買い取りもOKですよ」とチセさん。茶道も着物の着付けもこなす素敵な日本女性だが、明るく率直で飾り気がない。
「スペインは、旅行者にとってはいい国なんですけどね」と率直な感想が次々と飛び出して、彼女との話しは尽きない。日本の若者たちが、彼女を慕う理由もわかるような気がした。
旅行ガイドブックを持参していなかったので、棚にあったスペインのガイドブックを2冊、2euroで買った。ネットだけでは集められない些細な情報が掲載されていて旅行ガイドはけっこう面白い読み物だ。
棚を見ると、その本を持参して旅をしていた旅行者が想像できて楽しい。落合信彦の『日本の常識を捨てろ』、星野道夫『長い旅の途上』、子安美知子『魂の発見』、柳田邦男『大いなる決断』。これを持っていた人たちは今、どこでどうしているのだろうか。
「スペイン人と結婚した日本人女性が経営しているんですが、とても親切でいろいろなことを教えてくれるんですよ」と彼女は、日本人店主をとても頼りにしている様子だった。
最初にその店へ向かった時は、シエスタの時間だということを失念しており、シャッターがすべて下りた商店街に入って、しまったと思った。「日本人が経営しているのならシエスタは関係ないかもしれない」などと思ったのは間違い。が、すぐに店が発見できたのは、シャッターの下りたその店が、遠くからでも一目でわかる大胆な模様だったからだ。
午後の営業は17時からという店の案内版を確認し、出直すことにした。店の名前は「希望」。午後に再度訪れたときは、やはり遠くからでもすぐに認識できるほどの大胆なディスプレイで両側の店舗を圧倒する存在感を示していた。
店内には、切れ長の大きな目の日本女性が、ジーパン姿の日本人の若者の相談に乗っていた。「日本の公衆浴場に似た風呂があると聞いたのだけど、どこにあるのでしょうか。水着をつけないと入れませんか」というような質問をしていた。聞くと、グラナダに来て1ヶ月の男子留学生。「アパートにはシャワーしかないんです。物足りない。どうしてもゆっくりと体を浸す風呂に入りたいんです」と言う。
店主のチセさんは、根気良く様々な質問に丁寧に答えていた。九州出身の彼女は、縁あってスペイン人と結婚し女の子が一人。スペインには長いが、日本雑貨店をこの地に開いてはまだ1年という。
店の奥には茶室風の小さな座敷があり「地域の人たちに日本の文化をわかってほしくて、お茶会や着物着付け会を開いているんです」と言う。そんな話しをしている間にも、スペイン人の若い男性が地下足袋を買いに来た。底が厚手のゴムになっている丈夫な地下足袋だ。
「え?作業ではなくて、ファッションとして普通に履くんです。けっこう流行っているんですよ」とチセさん。
店の奥にある本棚に日本の本が並んでいた。旅行者が持ってきたものだという。文庫本、旅行ガイド、ハードカバーもある。一冊どれでも1、2euro。アジア諸国で売っている日本の古本に比べ信じられないほど安い。
「だって中古ですから。滞在中にまた持ってくれば、また買い取りもOKですよ」とチセさん。茶道も着物の着付けもこなす素敵な日本女性だが、明るく率直で飾り気がない。
「スペインは、旅行者にとってはいい国なんですけどね」と率直な感想が次々と飛び出して、彼女との話しは尽きない。日本の若者たちが、彼女を慕う理由もわかるような気がした。
旅行ガイドブックを持参していなかったので、棚にあったスペインのガイドブックを2冊、2euroで買った。ネットだけでは集められない些細な情報が掲載されていて旅行ガイドはけっこう面白い読み物だ。
棚を見ると、その本を持参して旅をしていた旅行者が想像できて楽しい。落合信彦の『日本の常識を捨てろ』、星野道夫『長い旅の途上』、子安美知子『魂の発見』、柳田邦男『大いなる決断』。これを持っていた人たちは今、どこでどうしているのだろうか。