「近頃の女はいったいどうなってるんだ」

久しぶりに実家に泊まった朝、父が朝刊を読みながら「近頃の女はいったいどうなってるんだ」と訝しげに言った。

新聞を賑わせている記事。そうだろう。
福島県に続く今日の沖縄県の知事選でも、注目候補者の一人が女性である。
米国では、下院で初の女性議長が誕生した。
フランスでは、初の女性大統領候補が出ようとしている。

…そうでしょう。最近の女性の台頭は目覚しい。
昭和一ケタ生れのお父さんにとっては、不思議な現象でしょう。

「自殺のいたずら電話をかけたのは、女だって言うんだからなあ」（注１）
　え？
「この前、女子大学生を包丁で切りつけて現行犯逮捕されたのも女だった」（注２）
　あら、まあ。
「自分の学校にまで火をつけた連続放火犯も若い女だ」（注３）
　そうでしたねえ…。
「まったく、世の中どうなってしまったんだ」
　「ええっと、女性のストレスが限界に達しているってことじゃないかしら」
「・・・」

昔の女性は、こうじゃなかった。一国の首長になるなんて予想もしなかったし、犯罪者だって阿部定が語り草になるほど稀だった。
・・・と言いたげな父だったが、私の返事に黙ったままだった。


（注１）
小学校に、同校出身の中学２年生を名乗り自殺予告メールを送ったとして、１９日未明、偽計業務妨害の疑いで公務員（４２）を逮捕した。
（注２）
女子大学生（２１）が、１６日夜、通りがかった女に包丁のようなもので切り付けられた。女（５３）は通行人が取り押さえ、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。
（注３）
長野県諏訪市を中心に発生した連続放火事件で、放火などの罪に問われた女（２０）は２５日、初公判で「間違いありません」と起訴事実を認めた。