公務員がFXをすること自体は、株取引や預貯金等と同様、資金運用の一手段なので、原則的に制限されません。
公務員も基本的には問題なくFXをするができます。
ただ、FXトレーダーになるとなれば問題になることも考えられます。
公務員がFXトレーダーになると問題になる場合
公務員がFXトレーダーになろうとすると、いくつかの問題が考えられます。
職務専念義務違反の場合
公務員が職務専念義務に違反してFXをした場合には問題になります。
公務員がFXトレーダーになろうとするのであれば、職務専念義務に違反しないように、勤務時間中に取引をするようなことがあってはいけません。
職務専念義務に違反した場合には、懲戒処分の対象となることがあります。
実際に職務専念義務に違反して勤務時間中に取引をして懲戒処分になった職員は少なくありません。
自ら営利企業を営むことに該当する場合
FXは資金運用の一手段なので、公務員であっても制限されないのが原則です。
しかし、資金運用の範囲を超えて事業とみなされるほどの規模になった場合には問題視されることもあり得ます。
公務員は自ら営利企業を営むことが制限されていて、任命権者の許可等を得ずに行った場合には服務義務違反になります。
この「自ら営利企業を営むこと」とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいいます。
この点、資金運用について、資金規模や取引頻度・回数等から商業、金融業等とみなされることも考えられ、この場合には公務員のFXが「自ら営利企業を営むこと」に該当し、服務義務違反に当たることになります。
公務員がFXトレーダーになった場合には
公務員がFXトレーダーになった場合には、FXが「自ら営利企業を営むこと」とみなされるおそれがないわけではありません。
FXトレーダーというからには、相応の取引金額や取引回数等になっていると考えられます。
その場合には「自ら営利企業を営むこと」と判断されることがあるかもしれません。
もし「自ら営利企業を営むこと」に該当するなら、無許可のFXトレーダーは懲戒処分の対象となってしまいます。
公務員がFXトレーダーになったら懲戒処分に?
ただ、公務員がFXトレーダーになったからといって、直ちに懲戒処分になることはないと思われます。
取引金額や取引回数等によって「自ら営利企業を営むこと」に該当するおそれがあるといっても、勤務時間中に取引をしていたり、自分でばらすようなことをしたりしない限り、資金規模や取引回数等を職場に知られることはありません。
FX会社には守秘義務が課されており、顧客の取引情報を職場にばらすようなこともないでしょう。
職場が知りえないことについて、懲戒処分を科すことはできません。
これまで公務員のFXが「自ら営利企業を営むこと」とみなされた事例はないでしょう。
少なくとも報道されたような事例は見つかりません。
公務員も副業FXトレーダーになれる
公務員もFXトレーダーになることはできます。
ただし、職務専念義務に違反しないように「副業」トレーダーである必要があります。
また、取引金額や取引回数等によっては「自ら営利企業を営むこと」に該当するおそれがあるかもしれませんが、取引金額等を職場が知ることができない以上懲戒処分になることもありません。
「副業」FXトレーダーであれば公務員もなることができるでしょう。
公務員がFXトレーダーを副業として続けられる?
公務員もFXトレーダーになることはできますが、それを続けられるか否かはわかりません。
制度的に公務員がFXトレーダーになることは可能です。
しかし、実際に取引を続けて継続的に資金を維持・増加させられるかどうかは本人の取引能力いかんにかかっています。
FXトレーダーとなって副業を続けるためには、継続してまとまった収入を得ること、つまり継続して勝ち続けることが必要です。
そのためには、
- ある程度以上の資金量
- 資金運用能力
が必要です。
FXではレバレッジを活用することである程度資金量を補うことができますので、資金運用能力がより重要になってきます。
この点、公務員は不利なことが多くなってきます。
公務員のFXトレーダーは不利になる
公務員の本業は公務です。
職務専念義務が法定されています。
FXができるのは勤務時間外だけですから、専業トレーダーに比べて不利になります。
勤務時間外であっても本業に支障が出ない範囲でしかできませんから、この点でも不利です。
公務員のFXは制約が多く、資産運用能力を十分に発揮できない場面が多くなっています。
公務員がFXトレーダーになることは可能ですし、副業にすることもできます。
ただし、それを継続しようとすると不利なことが出てくることには注意が必要です。