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台風一家

墓参りとピクニック

実家での朝。
みんなゆっくり起きてくるので、私は一足先に顔を洗ってご飯を食べ、さくらちゃんを連れて山に散歩に出かけた。

何しろ子供たちが起きてきたら、彼ら中心で事が回り始めるので、用事があるときにはさっさと済ませておかないと後回しになってしまう。
散歩が好きな子供たちだが、それでもいつ何時別の事をしたいと言い出すかもしれない。

散歩は何度行っても楽しいのだから、余分に行っておけばいい。
子供たちが居る時は出来ない「景色を見ながらのんびり歩く」とやらをやってみる。
あいにくの曇天であったが、BBAチームの私とさくらちゃんには嬉しい…。

坂道の多いこの島で、カンカン太陽に照らされて歩くのは本当に骨である。
肩で息をしながら、舌をだらりとたらし本当にしんどそうなさくらちゃんを見ていると何故いつもそれでも散歩に行きたがるのか理解に苦しむ。

散歩から帰って足を拭き、少しすると子供たちがわいわいと起きて来た。
この日の予定は「お墓参り」。
1時間近くかかる墓所まで皆で向かって手を合わせるのだ。
せっかくなので、墓のそばにある山に出向いてピクニックをしようと言うことになった。
残念ながらおばあちゃんは朝から体調が悪く、自宅で待つことになった。
連日の子守で疲れも出たことだろう。

ふもとのスーパーで大量のお弁当とドリンクを買い込み、車二台で目的地に向かう。
男子チームはおじいちゃんの車に。
女子チームは私の車に乗り込み、音楽をかけるとカラオケボックスさながら、大声で歌を歌いながら楽しいドライブとなった。

湿地帯のように広がる池の上には、綺麗な花が沢山咲いていたが、子供たちの意識はそんなところには到底、ない。
とんぼやバッタにしか目がない子供たちは、花を見るどころか虫を探してどんどん散らばっていく。

とりあえず、落ち着け、お弁当を食べよう。

と、言うことで買ってきたお弁当を広げることに。

自分たちの選んだお弁当をほおばっていると、さっきまで「酔った…」と言っていた甥っ子も女子チームのお惣菜に手を伸ばすまでに快復。
やはり自然の中で食べるお弁当は美味しのだ。

ご飯を食べたら再び池の周りを散策することに。

一面に散策できるようにするための道が作られているのだが、湿地帯と言うこともあり、ダメージを受けて割れている個所多数…。
体の大きなおじちゃんを先頭に皆が付いていくのは、本能で安全を確認しながら歩いているからなのか?

変わった蜘蛛の巣…。
子供ではなくても思わず見入ってしまう。
自然の形って、とても綺麗だ。

水辺にはアメンボウやカゲロウなど、沢山の虫が子供たちを魅了する。

美しいカゲロウも、綺麗な花も、ここでは簡単に見ることが出来る。

アジサイがまだ咲いている。
咲いている?
ドライフラワーになっている?

それにしても中々綺麗である。

ここら辺は少し寒いのだろうか?
割と花が残っているように見える。

今度は蝉を捕まえたい!と山を登り始めた子供たち。

「みて!蜘蛛の巣!!」興奮気味に教えてくれるのは一番小さな甥っ子せいちゃんである。l

今度は種が落ちて生えたモミジを探し始めた一行。
興味さえあれば、宝探しの対象はそこかしこに転がっている。
好きが沢山あるって、実に楽しい事である。

今度はささやかな流れのある小さな川にやってきた。

野イチゴだ。

流れの中には、小さな魚やアメンボウが沢山。
写真に収めることは出来なかったが、こんな小さな川に沢山の生き物がいる。

「トカゲは?」「魚は?」
靴じゃなかったら、きっと川に飛び込んで探したことだろう。
汗で頭をびしょぬれにしつつ、夢中で生き物を探した子供たち。
天気予報で雨が降るとのことだったので、山を下りて墓参りに向かうことにした。

高いところまで来たもんだ~。

楽しかった…次はいつ来れるかな。

山を下りて、ひいばあちゃんの眠る墓所に向かい、孫たち一丸となって草むしり。
それすらも子供たちにとっては遊びの一環なのだろうが、その光景を目を細めて見ているおじちゃんが幸せそうだった。
こんな時間がずっと続けばいいのにな…。
実家に帰る度にそう感じる。
家で過ごすおばあちゃんに代わり、晩御飯の材料を買いこんで岐路につく。

夕日だ~。
「おばあちゃんが居てくれるからいいか」と置いてきたさくらちゃん。
5年ぶりくらいの勢いで出迎えてくれた。
犬は…いい…。

晩御飯にお好み焼きを食べて、従妹たちの楽しい時間は続く。

何故かポンペイの話になり、皆 前のめりでこいちゃんの解説を聞きながらスマホ画面に見入る。
そこだけ密度が高すぎる気がする。
毎日全力の子供たち。
色々なことに興味を持ち、驚き、毎日が輝いているように見える。
私にも、宝石のような毎日をその自覚なく過ごした日々があったはず。
もう二度と戻らないその時を、今、うんと楽しんでくれたらとても嬉しい事である。
 
 
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