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台風一家

防災訓練

今日は日曜日。
朝から天気も良く、出かけるには最適の日であったが、自治会の付き合いで渋々サインした防災訓練に参加することが決まっていた。
土曜日は仕事だったため、ゆっくり眠りたいせっかくの日曜日にだらだら起き出して、集合の9時には遅刻し、慌ただしく出発。
班のみんなとぞろぞろ歩いて、一番最寄りの小学校に到着した。
子供の足には少々こたえるアップダウンの激しい道と、距離にだるだるのこいちゃんといっくんは何度も水を飲み、抱っこやおんぶをせがみながらようやく…といった感じだ。

着いてみると何台も消防車が止められていて、子供達の目も輝き始めた。
自治会長や、お偉いさんの話を聞いている間、退屈な子供達は足下で砂山を作ったり、字を書いたりして遊びながらようやく10時頃から消防の実演などが始まった。
放水車が実際にホースで派手に水をまき、その飛距離に集まった900名ほどの客達はどよめく。
いっくんはなんとその間「おちっこ~」とトイレに走ってしまった。
次の実演に間に合わなければいけない、焦る私をよそに、いっくんは小学校の遊具で遊ぼうとする。
ひっぱるようにしながら班の列に戻ると、次は消火器訓練だった。

選ばれた数名の男性や女性が「あ、火事だ~!」と少々恥ずかしそうに一声あげてからピンを抜き、炎に向かって実際の消火器を噴射する。
かなり派手に消火器の粉が舞い散り、その勢いにこいちゃんは恐がりつつも興味津々と言った様子。
いっくんはすっかり退屈しており、なんと遊具で遊んでいた。
しっかり消火シーンを見ていたかどうかは定かではない。
消火器の種類には2種類の物が使われた。
ひとつは一般的な消火薬剤の粉が入った物。
もう一つは中に水が入れられていてシャワーの様に噴射するタイプだ。
消火器の粉が派手に舞い散りギャラリーを驚かせた後に、屈強な男達が集められ、シャワータイプの消火器をちょろちょろ噴射しているのを見ると、まるで水やりをしているようで、いやがおうにも盛り下がった。

少々笑い声も混じりつつ、消火訓練を終えると、次は煙体験。
黄色の長いテントの中にたっぷりの訓練用の煙が充満しており、その中を手探りで出口まで行くと言う物だ。
長さとしてはおよそ5メートル程度の距離なのだが、口を押さえて中に入ると驚いたことに本当に真っ白。
中に進むにつれ、視界は全くの白の世界になってしまい、壁づたいでなければ前にも進めない。
暗闇は恐ろしいとは知っていたが、どんなに目を凝らしても真っ白の世界がこんなにも怖い物だとは初めて知った。
いっくんも底知れぬ恐怖にとうとう叫びはじめ、座り込もうとする。
仕方がないので何とか壁を探りながらいっくんを引っ張り上げるようにして出口にたどり着くと、本当にホッとした。
実際ではこれが目も開けられぬ、息も出来ぬ煙で覆い尽くされると思うと恐ろしい世界だと思う。

訓練のシビアな面を少々体験して神妙になりつつ、次は地震体験。
テレビでおなじみの地震を体験させてくれる車は、設定された震度によっては車ごとゆさゆさゆれるほど。
これは阪神淡路大震災です、とか、中越地震です、などと消防のお姉さんが淡々とアナウンスするなか、恐ろしいほどゆれている部屋の中でヘルメットをかぶった体験者が机の下に隠れて身を寄せる。
かなりリアルで、「この地震の時には一瞬揺れがおさまり(本当におさまる)次に震度6の地震が来ました(急にがんがん揺れる)」など忠実に地震を再現するのが不気味。

「体験されるかたは、後一組です~」と言われ、伴侶とこいちゃんが立ち上がった。
競争率が高くて無理だろうと思われていた地震体験に滑り込みセーフである。
こいちゃんはやや大きめのヘルメットをかぶり、階段を上っていく。
「地震…」と少々びびっていたこいちゃんは「はい、始まります」の消防署員の声にも反応し、揺れる前から机の下に滑り込み、失笑をかいつつも本人は必死。
伴侶も揺れと同時に机に潜り込みこいちゃんをしっかりと抱いて本番さながらの訓練となった。
最後の一組と言うことでローカルのテレビ局が撮影をしていたが、うちでは映る事のない局だったのが残念だ。
こいちゃんは「怖くなかったよ」と誇らしげに私に言った。
身長の足りなかったいっくんは乗りたがり泣きわめいていたが、消防のお姉さんに小さい消防車があるから鐘をならしておいで、と声をかけられた。
すると何故かはにかみ、手足をもじもじさせながら素直に歩き始めた。

広報用消防車、ショウタ君。
軽サイズの車にホースやサイレン、鐘などがきちんと付いていて、子供達も乗り放題のならし放題。
おまけに子供用の小さな消防服を着させて貰うことが出来、こいちゃんといっくんは恥ずかしがりながらそれを着て消防車に乗り込んだ。
サイレンを鳴らし、鐘をうるさいほど打ち、いつまでたってもそこを離れようとはしなかった。

最後に焚きだしがあり、豚汁と、アルファ化米、お菓子を受け取り、それらをしっかり食べて帰宅した。
朝から歩きまくった子供達の食べっぷりは見事であった。
初めはしぶしぶ参加した消防訓練だったが、得た物は多かったような気がする。
これからもこうゆう催しがあれば参加してもいいな、と思ったのであった。
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