洗濯機壊れる

ある日の事、普通に洗濯をしようと電源を入れてスタートボタンを押した。

「ピッ」と音がして、洗濯槽が回り重さを洗濯物の重さを図る。

そしてウイーン～と水を供給するための作動音が鳴るのだが、水が出てくるときの「ジャバジャバ」と言う音がしない。

あれ？出てる？
不思議に思って蓋を開けようにも作動中はロックがかかるため、一旦スイッチをオフにして蓋を開けてみる。
水の出口からはポタポタと水滴が落ちているが、水がまったく溜まっていない。
うーん？どうゆうことだろう？
何度繰り返しても同じように水が出てくる音はしないのだ。

ホースもちゃんとつながっているし、誰かが勝手に蛇口を閉めたなんてこともない。
どこにも異常はないはずなのに…。
何度もスイッチを入れなおし、蛇口をつなぎなおし、蛇口のつなぎ目を掃除して…。

色々と触ってみたけどなんの変化もなし。

機械には愛される男である伴侶にも見てもらったが、その伴侶でもダメで…。
も…もしかして、これは本当に壊れてしまったか…。
年数を見ると2012年製造、9年が経っている。
壊れても全然おかしくないが、ショックである。
数年前に冷蔵庫が壊れた時にもかなりびっくりしたが、洗濯機も壊れるときは突然だ。
その土日、ヤマダ電機に洗濯機を見に行くことにしたが、まぁ、決まらないこと決まらないこと。

サイズは、どうだ、形はどうだ、値段はなんて言っている間に一時間たち、二時間経ち…。
もう、なんでもいいよ！とにかくすぐに調達してくださいよ！
投げやりになったところに、機械大好きの伴侶が、売り場に置いてあったかなり高額の洗濯機に一目ぼれ。

1週間で納品される機種もあったので、そちらを提案したのだが、何故か伴侶と店員二人に説得される形に。
伴侶よ、君は敵だったのか…。
かなり人気の機種だそうで1か月待ち…トホホ…。
その一か月どうすりゃいいのだ…。
私の気持ちも知らないで高額洗濯機を購入した伴侶は「買っちゃったよぉ～どうしよぉ～」と口ではいいつつも意味の分からない達成感に高揚している様子。

帰宅した私は頭を抱えることになる。

このロックのせいで蓋をあけっぱなしで水を供給できない…。
ロックされるためには蓋を閉めたときにそこに設置された「輪」になった箇所に、ロックのフックがはまらないとロックされたという信号にならない。
試しにフックが入るような形状の輪のもので機械をだましてみようかと試みたが、どうやらロックの判断をする場所がほかにもある様子で作動しないのだ。

つまり、いちいちバケツで水を満タンにして蓋を閉めて作動させなければならないのだ。

「え？それだけ？」

と言われそうだが、洗濯機様が所望されるタイミングで水を供給し、蓋をしめ、一回りしてまた呼ばれる…。
水はこぼれるし、重いし、こっちは仕事もしていて家に帰れば晩御飯に追われ、その合間にこんなこと、やってられない！
どうせ捨てるんだよね？この洗濯機はいらないんだよね？

では、やってしまおう。
カッターとのこぎり、ペンチを使ってごーりごり♪

ふう、きれいに（？）穴が開いた。

これで蛇口をひねるだけで蓋を閉めたまま水を供給できる。

のちにこのプラスチック部分は外すことになるのだが、思った通りの時短に感激。

蛇口をひねればお水が供給。
なんてハイテク！！
ちなみに洗濯機様が水を所望されるタイミングはモーターが「う”－ン…」と言い始める瞬間である。
音を聞き分け、タイミングを読む力が無駄に培われてきた。

それでもうっかり他の事を初めて水を止めるタイミングを誤ると「H」の表示とともに完全停止。
初めからやり直しになってしまうのだ。

なので「ごうんごうん」と音を立てて洗濯機が回っている間以外は張り付いていなければならない…。
江戸時代の洗濯よりマシに決まっている、と自分に言い聞かせて今日も洗濯機の前に立つ。