満月の夜。
「財布に満月の光を当てると、お金が貯まるんだってさ!」と言う迷信をどこからともなく聞いていた私は、夜ベランダに出て財布に光を浴びさせていた。
「財布に満月の光を当てると、お金が貯まるんだってさ!」と言う迷信をどこからともなく聞いていた私は、夜ベランダに出て財布に光を浴びさせていた。
お金が溜まるのも嬉しいけれど、そろそろ新しい財布が欲しいんですよ…もうこの財布10年くらい使ってますよ…。
お金は天下の回り物。
こんな貧乏性には絶対逆にお金はたまらない。
お金は天下の回り物。
こんな貧乏性には絶対逆にお金はたまらない。
月見団子も買わなかった。
何のお祝い(?)もしてない。
正直なところ、ニュースを立ち上げてからようやく「中秋の名月」であったことを思い出したくらいである。
そんなずぼらな私にも平等に月の明かりは降り注いでくれる。
ありがたや…。
美しい満月にため息をついて、ふとインスタグラムを見るとダイレクトメッセージが届いていることに気がついた。
どうやら「フォロー」をしてくれた方が居たので私もお返しにフォローしたのだが、その人からのメッセージらしい。
ほとんどインスタでやり取りをしない私は何事かと少々驚きながら内容を確認する。
(以下、ところどころ変更してあります)
相手「あなたのインスタは素晴らしい!素敵な写真ばかりですね。私は〇〇出身マイケルです。あなたのお名前は?」
え?外人さんなの?日本語うまいねと、戸惑いつつお礼を言おうと返信を送る私。
私「マイケルさん初めまして。こちらこそフォローありがとうございます。日本人の〇〇です。インスタ見てくれて嬉しいです。」
相手「美しい素敵な名前ですね。私は医者をしています。故郷は〇〇で、今はイランにいます。あなたの職業は?」
さりげなく名前を褒めるのがなんかイイ!
ん?いきなり職業聞くの?距離感急に近くなあい?
若干の違和感を覚えつつ、当たり障りない返答を心掛ける。
ん?いきなり職業聞くの?距離感急に近くなあい?
若干の違和感を覚えつつ、当たり障りない返答を心掛ける。
私「私は事務職です。お医者様は大変なのでしょうね。」
相手「大変です。私は日本が大好きです。1か月出張した時に日本を楽しみました。私は45歳の男性です。妻とは離婚しましたがルースと言う10歳の娘がいます。」
すごぉい、いきなりプライベートをガンガン暴露。
いくらオープンでおおらかな外国人だとして、こんなに急に???
私「日本が好きなのですね。嬉しいです。私は女性です。娘さんもイランですか?」
相手「ルースはアメリカの学校に通っています。あなたの子供は?」
私「娘と息子です。娘は家を出ているので寂しい時は多肉植物を楽しんでいます。」
とまぁ、当たり障りないような、ギリギリのようなそんな会話をしばらく続ける。
ところが、そんな会話を続けているうちに何だか会話がおかしな内容になってきた。
相手「私は病人や負傷した兵士を治療しており、とても危険です。しかし私はやります。」
イランのお医者さんだもんね…?
まぁ、なんて男らしい…。
相手「危険と分かっていても人のために尽くしたい。私は罪のない人々を助けたい。謙虚な人です。」
え、自分で言うんだ。
でも凄い、ボランティア精神あふれるいい人なんだ!
相手「ここで働いて1年になりますが、もう少しで任務は終わります。定年になったら日本に行って娘と暮らしたいし、投資事業もしたいです。企業への投資も考えています。あなたは素敵です。日本で友達としてお会いしましょう。」
優雅な老後が待っているのですね。夢があるなぁ…。
なんかすごい、仕事もお金も持ってる人?みたいな?
え?会う?
え?会う?
私「それはいい考えですね!危険なお仕事大変だと思いますが、いつか娘さんと暮らせるといいですね。頑張って健康にお過ごしください!」
と送信して、私はベッドへ。
と送信して、私はベッドへ。
不思議だったけど、面白い人だったなぁ、と眠りについた私だったのだが、その後もDMは届いていたようである。
翌朝、内容を読んでびっくり( ゚Д゚)。
相手「ありがとう。あなたと話すのは本当に楽しかったです。日本に行ける時まで、あなたと友人でいられるように願っています。たくさんコミュニケーションを取りましょう。私はイランのテロリストを追跡しているので、Instagramで話すのは危険な事です。
これが見つかればあなたの命も危険です。LINEアプリなら安全です。あなたは LINEアプリを使っていますか?」
え?お医者様から突然のテロリスト追跡?なんで?なんで?
いきなりのスパイ転身?
危険なの?やだ怖い!インスタやってただけなのに!!
私は恐れおののいてすぐにLINEで連絡が取れるようにIDを彼に連絡し…なんてことはなくて、そのままそっと携帯を置いた。
…いやこれ、はやりの「ロマンス詐欺」だよね?
趣味のページから近づいて、言葉巧みに、ホワイトカラーの職業をアピールし、将来的に会えるのだと匂わせ、ちょっと危険にワイルドに…。
その設定が素敵だし、夢を追う魅力あふれるキャラ作り、実にワクワクしたし、面白い!素晴らしい!
間髪入れず長文で返信が来ていたので日本人?と言う感じもしていたが、マニュアルでもあるのか会話自体が実に滑らかに誘導され、ついつい引き込まれる。
間髪入れず長文で返信が来ていたので日本人?と言う感じもしていたが、マニュアルでもあるのか会話自体が実に滑らかに誘導され、ついつい引き込まれる。
そして、最終的には「二人の未来のために!」と投資を持ちかける…と言う流れなのだろう。
文章はかなり略し、ぼかしてしまったが、もっと話したい!と思わせるうまさがそこかしこに溢れていた。
全文をそのまま掲載出来ないのが残念である。
失敗と言えば、こんなお金もなく、ひぃひぃ言いながら多肉植物やってる私から何か引き出せるとDMを送ってしまったことである。
マイケル…時間を無駄にさせてすまんかった…。
新しい扉を開き、しばし非日常に心躍ったひと時であった。
新しい扉を開き、しばし非日常に心躍ったひと時であった。