台風一家

こいちゃんの熱意を乗せて 門出の日

こいちゃんは進学準備のため寮に入ることが決まっていた。
寮生活は関東で始まるため、初めて親子が数ヶ月にも渡り離れ離れになる。
と言っても、いきなりの一人暮らしにならないのがちょっと安心…。

伴侶は仕事に向かい、私だけ休みを取ってこいちゃんを送ることにした。
荷物はほとんど宅急便で送ってしまったが、それでも手荷物が沢山で階段の上り下りが大変そう。
しょっぱなから不安だらけになる母である。

お昼ご飯は簡単に済ませることにして、新幹線の改札から近くにあったカレー屋さんに入ることに。

こいちゃんはがっつりフライののったカレーを堪能し、パワーモリモリである。
他愛もない話をし、ニュースの話に難癖をつけたりしながら二人のいつもの時間が過ぎる。

新幹線の入場券を買って土産物やをチラリと覗き、さて、階段を登ると一気に別れが間近になり悲しくなってきた。
こいちゃんがいなくなってしまう?
実感がないような、巣立ちの一歩に晴れ晴れとするような、複雑な心境が生まれる。

けれど、その気持ちは新幹線のドアが閉まると一気にハッキリしたものになった。
行かないで!!
口にこそ出さなかったものの、もう涙が止まらず、閉まったドアの向こうで同じように涙目になるこいちゃんに笑顔を向ける余裕はなかった。
寂しい!
こいちゃんが側にいなくなる!!
18年間も一緒にいたからこそ、喧嘩もしたし、一緒にいたくないと思ったこともあった。
離れるなんて想像もしていなかったから実感が湧かなかったのである。
けれど、今こうして離れてみて夢を諦めてまで側にいてほしいとは思わない。
けれど、子供が巣立つのは、やはりとっても寂しい。
今しかないこいちゃんの熱意を、どうか無駄にしてしまわないように…。
私は笑顔で送り出してやれる親でいたかったが、それはうまく行かなかった。
私の思いが、こいちゃんの熱意がどうか届く日がやってきますように…。
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