台風一家

一日動物園

こいちゃんの幼稚園に移動動物園がやってきた。
朝、バスに乗るこいちゃんにかぼちゃとキャベツの切れ端やマクワウリの皮などを持って幼稚園に行かせた。
全く同じ物を樹に持たせて12時45分から来年度入園希望の児童を集めて行う「一日動物園」に向かった。
時間が中途半端だったため、11時頃から昼寝をしていたいっくんを12時過ぎに起こし、おにぎりとコロッケを持って行った。
動物用の餌を入れたナイロン袋といっくんのお弁当を入れた袋は全く一緒で、与える方を間違えそうだった。

こいちゃんや他の在園児はすでに部屋に引き上げて、園庭にはいっくんと同じ来年度入園予定の児童達がうじゃうじゃと園庭を歩いている。
園庭の中央にはアヒルや亀や羊、モルモット、ミニブタ、ウサギなどが低い柵の中で子供達の与える餌を食べている。
遊具の周りには犬やポニーが数頭つながれていて、トカゲやハリネズミや狸などがかごに入れられ、さらに柵で囲われていた。
幼稚園の移動動物園だからと甘く見ていたが、かなりの種類であった。

いっくんはしばらく中央の柵の外から羊たちに餌のキャベツをあげていたが、とうとう私の手を引っ張って中に入った。
以前、六甲牧場では羊を怖がり手から餌をあげられなかったいっくんだったが、ここでは見事な成長ぶりを見せた。
大きな羊が寄ってきても嬉しそうに笑顔を絶やさず餌を手から食べさせたのだ。
中には泣き続けて抱っこされたままで母親が切れるシーンも見受けられたが、いっくんもやっと動物の楽しさが判ってきたらしい。
自分の娘を亀に乗らせて写真を撮っている母親がいた。
乗るために馬具を付けているポニーならまだしも、体重20キロ近くありそうな大きな娘を50センチほどしかない亀に乗らせるとは…ちょっと可哀想かも…。
いっくんはおそるおそるではあるが、モルモットを指でつつき、羊の背中をなで、亀の甲羅をたたいたりしながら動物とふれあった。
いっくんの身長と10センチほどしか変わらない大きなアヒルがいっくんの顔を見ながら「ぐゎ」と鳴いたときには、声を出して笑い飛び跳ねながら喜び、私に報告に来た。
飛び跳ねながら歩いていて、はしゃぎすぎて顔からこけたが「……」と無言で立ち上がり泣くこともなく次の動物に近づいていった。

特に気に入ったのは茶色や黒の30センチほどの可愛らしいミニブタ。
小さなブタが6匹ほど群れて寝そべり、その姿勢でだらだら餌を食べているところに近寄り、しっぽをいじったり、餌を鼻先に置いたりしながら長い間しゃがみこんでいた。
かなり興味があったようで、ふと気づくと誰かがあげた丸いクッキーをミニブタの背中に並べて遊んだり、食べてくれない餌をいつまでも目の前で振り続けていたのだから、ミニブタもさぞうっとおしかっただろう。

その後も鶏の後を歩いてみたり、ポニーに乗って写真を撮ったりしたが、遊具に乗りたくなったらしく夢中でジャングルジムにのぼり、滑り台を滑った。
そうこうして建物に近づいているうちに、お昼ご飯が終わり歯磨きをしていた年少さんが廊下にわらわらと出てきた。
「行く」とも何とも言っていなかったのに、こいちゃんは遠くにいる私を見つけ、予想通り大騒ぎして周りに「うちのおかあさん!!」と先生や周りの園児に宣伝しながら手を振った。
そのせいで、近くにいた年少さんの男の子まで「おかあさーん、おかあさーん」と泣きべそをかき始めてしまい、可哀想だった。
しかし、本当にこいちゃんの注意力には驚くばかりだ。

一日動物園の終わりのアナウンスが流れ、いっくんの手を石けんでごしごし洗って幼稚園を後にした。
いっくんはすっかり満足としたらしく「たのちかった!!」と言った。
帰宅してからこいちゃんを迎えに行き、おやつを食べるこいちゃんにも感想を聞くと「面白かった!亀に乗って(幼稚園が頼んだカメラマンに)写真を撮ってもらった~」と言った。
人のあげ足を取っている場合ではなかったようだ。
あなたもそんなことしてたのか……。
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