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台風一家

田舎の夏

7月の連休、井上陽水の曲「少年時代」が頭の中に流れた。
実家の田舎の地で子供達は朝も夕も、気が向けば海に向かい、人が入れば鳥たちが一斉に飛び立つほど自然だらけの山で虫取りをした。

人気のない海に行き、こいちゃんといっくんはおじいちゃんに浮き輪の綱を引かれながらゆったりと波に揺られた。
山ではこいちゃんといっくんは、素性も判らぬ臭い虫も手づかみで、蝶も蛾も何でもござれで虫かごに納めた。
おじいちゃんのトンボ取りのテクニックに舌を巻きつつ、虫かごも賑やかに帰宅すれば、こいちゃんが海に行くといい、又海に向かう。
最高なのは表が海で、裏が山のこの環境。
山から帰り、汗を流すついでに泳ぎに行き、海から出れば、そのままの格好で水をぽたぽた垂らしたまま帰宅。
そのまま外風呂に飛び込み、張り付いた服をはがして温水で体を洗う。
この数日で親子は真っ黒にやけた。
私は挿し木用の植物を探す楽しみもあり、子供と共に行動するのが大変楽しかった。
絵に描いたような田舎の夏。
そこには海水浴場に見るような人混みも喧噪もなく、ひたすらスローに時間が過ぎた。
夕方に昼間取った昆虫を「おうちに帰らせてあげようね」と逃がしてやると、子供達は以外と素直に「ばいばーい、また遊びに来てね!」と虫達を見送った。
海で疲れた子供達がかぶりつくスイカやマクワウリがやたらと似合う。
広島に来てからと言うもの、殆ど裸で過ごす子供達はまごうことなき自然児だった。
私はと言えば、ビールを飲み過ぎてお腹を壊したりして、それなりに夏を満喫…

帰り際にこいちゃんは「帰りたくな~」とごねたが、また来る事を約束して笑顔が戻った。
疲れが出たのか気が抜けたのか二人は車に乗り込むとすぐグニャリと眠りこけた。
後部座席ですやすや眠る二人をよそに、記録的な豪雨でどしゃぶりの中大阪に向けて運転。
一時、前が見えないほどの雨にかなり神経を使い、着いたときにはクタクタであったが、こいちゃんといっくんは久々の大阪の自宅にやはり嬉しそうだった。

真っ赤に熟れた沢山のトマトや30センチは超えるキュウリを冷蔵庫に入れ、こいちゃんの幼稚園予定表を見ると、明日からこいちゃんは午前授業となっていた。
この午前授業が数日続いた後、とうとう1学期の終了である。
夏休みはこれからなのだ。
親はすっかり満喫したつもりになっている、子供達の本当の夏はこれから始まる、と言うわけだ。
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