台風一家

カニさんバイバイ

年も明けたことだし、春になればメダカも卵を産むだろう。
今日は、長い間手を付けていなかったメダカの水槽を掃除することにした。
一通り部屋の掃除を済ませてから、慎重にメダカをガラス容器に全て移すと、初めに両親からもらった10匹全てが元気に大集合。
中に入れていた岩や、貝殻をどけてみると、裏庭のおばさんから2年ほど前に貰った沢ガニはとうとう最後の1匹だけになっていた。

狭い水槽な上に、ザリガニ用の餌にカビが来たりしていて食料が不足して共食いしたのかもしれない。
とうとう最後の一匹になってしまって、このままではこの一匹も死ぬのを待つような事になってしまうかもしれない。
そう思って、とうとう今日はこの沢ガニを逃がすことにした。

水槽を丁寧に洗い、長い間ほっておいてついてしまったコケをこすり落とした。
カニのために敷いていた砂は全てすててしまい、かわりにオモチャのオブジェをいくつか足した。
調整した水の中にメダカを放し、楽しそうに泳ぎ始めるのを確認してから餌をやると、お腹がすいていたのかガツガツと食べていた。
コケがなくなり中がよく見えるようになるといっくんも喜び、のぞき込んでいた。

こいちゃんは幼稚園にすでに送っていたので、いっくんを自転車の後ろに乗せ、カニの入ったガラス容器を抱っこさせてから出発。
しばらく走ったところに小さな池を見つけてそこにカニを逃がすことにした。
どうしてもいっくんが逃がしたいと言うので、ガラス容器を渡すも、「怖い…」といつまで経ってもカニを眺めているばかり。
仕方ないので私が池の中にガラス容器の中身ごとカニを落とすと「わぁ!!」と見入っていたが、しばらくして「かにさん、ばいばーい」と小さな手を振った。
カニはさっさと近くの岩陰に隠れてしまい、すぐに姿が見えなくなったが、いっくんはいつまでも名残惜しそうにカニが消えた岩陰を見つめていた。

しばらくそうしていたが、近所の住民も不思議に思うだろう、といっくんを自転車の後ろに乗せて再び走り出した。
近くのスーパーで買い物をし、公園によったりもしたが、なぜかいっくんは空っぽのガラス容器を大事そうに抱えたまま自転車に乗った。

幼稚園から帰ったこいちゃんは綺麗になった水槽を見ると大変驚き、「ずるい!」と言った。
自分がいない間に新しいオブジェが増えたり、なにやら楽しい事があったに違いないと考え悔しがった。
その後、バス仲間のNOさんに遊びにおいでと誘われて3人で家に行き、カニを逃がした話をした。
すると、一人の友人が「あそこにはおっきい亀がいるんだよね~」と言う。
「じゃあぁ、もしかしてカニは餌に…?私は何と言うことを…」とおののいていると「大丈夫だよ~、冬はあんまり食べないから」と言っていた。
こいちゃんやいっくんには「夏までの命」とはとても言えない……
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