録画人間の末路 -

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二大怪獣併存の一つの理想形 「ゴジラXコング 新たなる帝国」

2024-04-27 16:36:24 | 特撮・モンスター映画
※個人ブログにつき、内容にかなり触れています。あらかじめご了承ください。


レジェンダリーおよびワーナーの映画にゴジラが使われるようになってもう10年にもなりますが、毎度毎度思うのは、なんで日本は公開が最低でも一か月は遅いのか、という点です。配給が日本だけワーナーではなく東宝になるなど手続きや箱の確保で事情が違うのはありますが、同時公開は決してできない話ではないはず。「ゴジラ」や「ゴジラ キング オブ モンスターズ」はまぁ遅れてもそれほど支障はない内容でしたが、「ゴジラVS.コング」はイヤでも飛び込んでくる海外からのネタバレで参らされた作品でした。「前作が90点なら本作は70点」と少し辛めな評価をしてしまったのはそのせいもあるかと思います。
しかし、今回は違います。もちろん一か月遅れなのは相変わらずですが、意図して狙ったものと思います。昨年日本製のゴジラ映画「ゴジラ-1.0」が公開されたのが、第一作「ゴジラ」と同じ日、ちょうど69年後の11月3日でした。そして第二作の「ゴジラの逆襲」が公開されたのが翌年4月末。そして今回の映画「ゴジラXコング 新たなる帝国」(この"X"はどう発音すればいいのか。どうしても"たい"と読みたくなるのだが。対とあるのに直接戦ってない「マジンガーZ対デビルマン」の"たい”くらいに思えば・・・)も「ゴジラ -1.0」の翌年4月末。つまり東宝は本作を「70周年のゴジラの逆襲」として公開する意図があったと思われるからです。どうせ遅れるなら少しでもそろえようとしたわけですね、粋です。惜しむらくは「ゴジラの逆襲」は公開が4月24日だったってことですね。本作は4月26日と少し誤差が出てしまいました。これはGWの箱確保のために金曜日初日を避けられなかったからなんでしょう。担当者がちょっと苦笑いするのが目に浮かぶようです。

さてさて。もう毎回冒頭に「ネタバレ」と断っているんだからもう内容に関して遠慮せずに書くぞ。
レイトショーではありますが、初日に「ゴジラXコング 新たなる帝国」見てきました。レイトショーだと上映終了後に売店が利用できないので上映前に向かうのがいつものパターンなんですが、今年はいろいろ重なっているのか売店前はかなりの列。しかもどいつもこいつもカタログを前にじっくり大量にグッズを買っている人ばかりで遅々として列が進みません。ついでに言えば、映画館の売店の人ってレジ作業に慣れているとは思えない人が多くて、端から見るとゆっくり作業してるように見えてもどかしい・・・いや、雑にやるよりずっといいんですけど。正直わたしは店を閉めて大急ぎで飛んできても上映時間にはギリギリで余裕がありません。しょうがないので今回は最低限確保しておきたかったパンフレットもパス。後日映画鑑賞と関係なく訪ねて買うことにしましょう。
会場に入って映画が始まりました。「東宝」のマークと-1.0と同じゴジラ70周年のロゴ。日本版だけの特権でしょうか。今回も冒頭からいきなりコングの登場。最初から・・・。相手を倒して浴びた血を滝をシャワー代わりにして洗ったり・・・。え? 虫歯?(「龍の歯医者」ってアニメ作品ありましたねぇ) なんか今まで以上におっさんくさい・・・いやいや擬人化されているような。実はそう思わせるのが狙い。本作は徹底的にコングを擬人化させています。というのもコングが単に怪獣パートで暴れるだけではなく、実質的な主役としてストーリーの進行も兼ねているからなんです。そのシーンは人語による解説は全くなく、映像のみで表現する「紀元前百万年」を思い出す演出です。そのため、人間側の登場人物は極端に少なく、新キャラ一人、前作から引き続き登場のキャラが三人、ほぼそれだけです。あとは出番が少ないか十把一絡げの扱いなのですぐ忘れてもいいくらいです。その人間パートも、序盤に出てくる部屋に貼られていた手書きの「ゴジラXメカゴジラ」を彷彿とさせる絵に描かれていた文字「戦わせろ」という日本語が気になって気になって・・・(笑)。「シン・仮面ライダー」の時みたいに余計な仕掛けがどこかにないか探す視点になってしまってちょっとどうでもいい存在になってました。
大雑把に言うとコングパートと人間パートが並列する感じで進行するシンプルな内容で、前作と比べると非常に見やすいですね。それとたまにゴジラに視点が映る印象です。ゴジラは登場の時間でいえばコングより圧倒的に少ないですが、回数は多いうえに映像の印象は強く、その中でクモンガ(じゃないけどそうとしか見えない)やマンダ(っぽいやつ)を世界の名所を経由しながら秒殺でなぎ倒すあたり、まるで「ゴジラファイナルウォーズ」のようにちゃんと怪獣した姿を予想以上に見えせてくれます。極端に擬人化せざるをえなかった本作コングとゴジラを併存させて描くのなら、ギリギリまで交わらせずに交互に描く、こうしたやり方は一つの理想形とも言えます。ゴジラもコングも前作より居心地よさそうにわたしには見えました。
本作の敵、スカーキングはようするに地下世界のボス猿です。コングの同族か、近似種と思われる巨猿の群れと遭遇。よそ者でかつ生意気な態度をとる、おそらく群れというものを理解していないコングをやっつけてしまおうとスカーキングが部下を指示して襲ってくる、というのがものすごく大雑把に言う内容ですが、まぁボス猿としてとる行動ってのはそんなものでしょう(近年では猿の群れのボスの存在を否定する、夢の無い話もありますがそこはおいといて)。ただ、スカーキングにとってコングは予想以上に強い相手だったので切り札である巨大怪獣、シーモを出して大暴れ。とても単独では勝ち目がないと悟ったコングは地上のゴジラを連れてきて協力させようとすると地上と通ずる穴にスカーキングもシーモも巻き込まれて地上に現れてしまい、ブラジルで四怪獣入り乱れての最終決戦・・・という、書いてみるとスケールの小さい、コングの都合に地上が巻き込まれたはた迷惑な話です。ただ、コングは本作の、怪獣パートのみならずストーリーパートまで通しての完全な主役ですからコング視点となるとこうなるのも仕方ないかと。全体的にコングの生活や性格が、今までやらなかったような新しい解釈で描かれていて、コングを絶対的王者だとしてみると小物感もありますが、あくまで本シリーズのコングはまだキングコングではないコングですから多少小物であるくらいでちょうどいいと思い、個人的には好印象。
また、目玉キャラであるミニコング、公式サイト呼ぶところのスーコ。これがとってもいいんです。最初にコングが地下世界で遭遇する巨猿の一体で、コングが触れようとすると別の巨猿がコングに襲い掛かってきます。こいつ、多分スーコの親でしょうね。子供に見知らぬよそ者が接しようとしたら、そりゃ親なら怒ります。ただ親の怒りもコングの敵ではなくあっさりと追い払われてしまいます。残ったスーコの面倒をコングは見ようとするのですがスーコは怒って懐いてくれない(当たり前だ)。それどころか強い怪獣のいる湖に誘導してコングを殺させようするくらい嫌ってます。もっともその湖の怪獣もコングはやっつけてしまい、食糧としてしまうとスーコにも分け与えます。さらにスカーキングによって親と思われる巨猿が殺されてしまったことによってスーコはコングを頼りとし、むしろコングのピンチを再三にわたって救う活躍を見せてくれます。これをとっても楽しいと思ってしまうのは、先日気が向いてジョニー・ワイズミュラー主演の映画「類猿人ターザン」を見て面白いと思ってしまったせいでしょう。映画のターザンとキング・コングっていろいろ似てるんですよ。むしろリメイクやコングの登場する新作が作られるたびにコングの行動に美女が好意を持って接するようになるのはターザンの影響が大きいんではないか、とわたしは考えているくらいです。その「類猿人ターザン」に付き従うチンパンジーにチータというのがいるんですが、これ、多分本物のチンパンジーを使って演出してるんですが、実はチンパンジーそっくりの動きができる特別な訓練を積んだ小柄な人間がチンパンジーのスーツを着て演技している、って言われても信じてしまえるくらいちゃんと芝居してるんです。スーコはそれとなんとなくダブって見えました。

と、わたしとしては大いに楽しめたんですが、肝心のラストバトルがちょっとよろしくない。本作では以前死んだものとは別個体のモスラが出てくるんですが、最終決戦時には地下世界に残ってしまったのでバトルはあまりせず。地上世界で繰り広げられる四怪獣入り乱れの大バトルも、前作以上にカメラ視点が縦横無尽に変化する何やってるのかよくわからなくなることがしばしばあるものでした。わたしとしては、派手に視点がグルグルするより引いたカメラワークで怪獣の全身がよくわかるある程度固定されたカメラワークをやってほしいんですが。ゴジラ単体パートではちゃんとそうなっていたので余計にラストバトルが不満に感じます。そして何より、ゴジラの協力を必要とするほどの強敵シーモは結局倒さなかった、ってのが不満最高点。スカーキングが倒され、そのままシーモは特になにもなく雰囲気と音楽がエンディングまっしぐらになって・・・思いっきり気が抜けました。ラストにコングがスーコを伴ってシーモに乗って地下の巨猿一族の元に凱旋することで話は終わり、一応シーモはコングに屈した、って終わり方になっているんですが・・・。そりゃないでしょ、の脱力エンド、と言わざるを得ません。アメリカではこういうのでもいいのかなぁ。

大半はむしろ好みな内容だったのですが肝心のクライマックスがいただけない、迫力があるというより楽しい、そういう映画でした。むしろゴジラ無しの方がシーモを出す必要もなく、すっきりする展開にできたのかも・・・という気はします。ただやっぱりゴジラを出した方が集客力は高いでしょうし、絵面もよくなりますから必要ではありましたね。日本怪獣がすっかり怪獣バトルをやらなくなってしまい、今後もちょっと期待できない状況で派手な怪獣バトルが楽しめるモンスター・バースはやっぱり日本怪獣映画と並んで楽しみな存在です。まだまだ続いて欲しい期待は大いに込めておきましょう。
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4 コメント

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Unknown (まじかるぱす)
2024-04-27 22:15:47
 吹替派なのですが、ドルシネ板やIMAX版など大きなスクリーンは軒並み字幕版ばかりなので、初日からMX4Dで見てきました。
 なんか作品を経るごとに自分の知ってるゴジラとは別物になってる感じですね。モンスターバース1作目のゴジラはそれなりに良かったんだけど。今や無敵の便利な怪獣って感じです。アメリカではゴジラは伝統的にそう見られてるキャラクターなのかもしれないですが。
 主要登場人物を絞ったので話は見やすいんですが、作品がこじんまりとした感じになってる気がします。でも、人物描写がちゃんと前作の続きとして描かれてるのは良かったかな。

 前作の香港もそうだったけど、今回のリオデジャネイロも最終バトルの舞台というには、都市の破壊が全然無いのが物足りないです。まあ東宝のゴジラみたいにランドマークを壊すというのを売りにしてる映画でもなく、むしろ営業的にあまり目立つものは壊さない方向でやってるのかもしれないですけど。
 しかし、ゴジラよ。そんなにコロッセウムが気に入ったのか? 映画の冒頭の方とは違ってラストバトルのあとじゃ、ローマは放射能汚染がものすごいことになってる気がしますが。
返信する
Unknown (krmmk3)
2024-04-28 10:36:39
>まじかるぱすさん
今の監督さんはコングをメインに映画を作ってますから、ゴジラがゲスト扱いでキャラとして深く扱われないのは仕方ないかと思います。そこは各自脳内補完で。そもそもアメリカでのゴジラはもともとヒーロー扱いです。海外のだと吹き替えでストーリーの改編も珍しくないですし。
映画の中で都市の象徴となる建造物をぶっ壊されて関係者が喜ぶのはそういう文化が定着している日本だけですから、海外では撮影や舞台としての許可は取りやすくても壊すのは許可が下りないんでしょう。本当はやりたいのかも知れません。
返信する
Unknown (Beep)
2024-04-29 22:04:59
土曜日にゴジラ行ってきました。
吹き替えは大きな箱を割り当てられ、字幕は1日2回の小さな箱で昼過ぎという中途半端な時間
でも良いのです。ユナイテッドシネマ音は良いし何より大きなチネット社の椅子は快適だから

>映画館の売店の人って
人出不足もあるとはいえ、映画館収入の柱ならもう少し何とかして欲しいものですね。
大きな映画館(グランドシネマ、チネチッタ、MOVIXさいたま)だとパンフレットやグッズと飲食の売り場が別に
分けられているのでしょうけど、それ以外ではなかなかできていないですね。

>後日映画鑑賞と関係なく訪ねて買うことにしましょう。
最近は、人気作だと転売屋対策で当日の鑑賞券が無いと売ってもらえない(購入数量限定)なんてのも
公開前のフライヤーまで転売屋の餌食とか

>目玉キャラであるミニコング
ミニラのポジションでしょうか?

>アメリカではこういうのでもいいのかなぁ。
腕を振って走るゴジラが矢鱈人間臭い。
前線基地が襲われた理由もモヤモヤだけどアメリカ的には「こまけぇこたぁいいんだよ!!(AA略」なんでしょうね。
とりあえず明るい画面で大暴れするのが見られることは満足できました。

>海外では撮影や舞台としての許可は取りやすくても壊すのは許可が下りない
https://magmix.jp/post/91826
コナンでアニメとは言えシンガポールの名所を爆破したときは流石に呆れました。

P.S.
秋葉原行ってきたけど外国人多いですね。中央通りのあきばおー は模様替えして訪日客目当ての扇子やらが多くなってました。
小物だけ買って帰りました
あきばおー 2号店 TWS BTイヤホン\950,MicroSD 32GB \460
千石電商 秋葉原新2号店(西川電子跡)USB Type-C→DP変換 \1100
浜田電機 amazon basics USB3.1 4ポートハブ \780
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Unknown (krmmk3)
2024-05-01 01:44:17
>Beepさん
もはや吹き替え版の方が箱がいいんですか。時代は変わったなぁ。昔と違って原語版でないと音質が落ちるとかもないですし。子供のころ映画はいいんだけど字幕が読めなくて苦労したなんて覚えがありますが、今の子供は無縁・・・いいことですけどね。
体が自由なころは映画目的に東京まで行って広い販売コーナーで勢いにかまけて買いあさっていたころが懐かしい。グッズはともかくパンフくらいなら買えるでしょう。
コングはもっと人間臭いんでアレでいいんじゃないでしょうか。個人的には「急げよ!」なセリフを思い出したんでむしろ好意的。
久々に秋葉原行きたいなぁ。昔と比べて街が狭くなってますけど、それでもうろつくだけで楽しい。
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