はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか | |
篠田節子 | |
文藝春秋 |
¥1,476+税 文藝春秋 2011/7/10発行
ISBN978-4-16-380610-5
篠田節子って不思議な作家だなあ。
書く小説のジャンルが多様で、文章が硬質、というイメージがあるのだけど、直木賞を取った『女たちのジハード』のように女心を描かせてもうまい。宗教、経済、恋愛、社会、芸術、そしてそれらの複合。
うますぎて、この人の小説を読むと時々ぞっとしすぎて怖くなる。あまりせっせと新刊を読まないのは、嫌いだからではなく、むしろ好きすぎるからかもしれない。
で、本書はえーとジャンルとしては…SF?
近未来SFってことでいいんでしょうね。
「深海のEEL」
「豚と人骨」
「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」
「エデン」
「深海のEEL」は、タイトルだけのパロディの元作品「深海のYrr」より百倍おもしろいぜ。
表題作「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、元作品「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を知らないと、タイトルの意味がわかんないだろうな。まあ、わかんない人はいないか。
「豚と人骨」「エデン」は、タイトル何かのパロディなのかな? わかりません。
「エデン」、すごくいいです。ここが楽園。
久しぶりに読んだ篠田節子はやっぱりすごくよかった。
いや、今年は春に『廃院のミカエル』を読んだな。つくづくこの人ははずれがないなあ。