『「国境なき医師団」になろう!』 いとうせいこう
¥900+税 講談社(講談社現代新書) 2019/9/20発行
ISBN978-4-06-517315-2
『国境なき医師団を見に行く』とほぼ同じ内容。
> ボランティアという言い方をされることもありますが、プロとして働いていただきますので給料をお支払いしています。派遣に伴う諸費用についても、往復航空券、予防接種や健康診断など、MSFが負担します。現地でかかる食費や居住費もMSFでカバーしますし、医療保険もMSFで加入します。派遣が二カ月以上の場合、社会保険に加入します。(69頁)
本書を読む少し前、ペシャワール会の中村医師が銃撃される事件が起きた。その報道において、ペシャワール会の説明として「著名な国際援助団体の中には、集めた寄付の8割近くを団体の人件費や運営費に使い、実際の援助資金は寄付総額の2割ほどといった団体も少なくない。ペシャワール会の場合は、逆に寄付総額の9割以上を現地の支援金そのものに充ててきた」というのがあって、ペシャワール会を評価すると同時に他団体を貶めていて、気になった。この記事がMSFを指しているとは限らないけど、持続可能な運営のためにはMSFの方針は間違ってはいないとも思うのです。
> 日本人はチーム内で調整機能としてうまく働けるということです。
たとえばアフリカの活動地ではスタッフの出身国や言語の背景などから、ヨーロッパ系、アフリカ系が各々自分たちだけで集まってしまうことがあるそうです。そんな時、自分は真ん中にいるように心がけているし、日本人はそれを期待されていると思う、と。[…]
日本が平和を重んじて外に軍隊を出さないという点も、国際社会の調整役として信頼につながっていたと別のところで聞きました。ですから、武器使用を許された自衛隊が南スーダンに駐屯することがニュースになったときは、他国のスタッフからも惜しいという声がありました。(157-158頁)
日本に、戦地に自衛隊を出せなんて言ってるのは、それで武器を買わせたいアメリカだけだよ。他国に10億で売る武器を、日本には20億で売れるんだもん。