昔ガンダムシリーズの宇宙世紀(以下U.C.)に関するシンポジウムが開かれたことにインスパイアされてU.C.に関して研究した内容を記事にしていますが、今回は「Z」の登場人物に関して研究を行ってみました(⇒前回及びこれまでの記事はコチラからどうぞ)。
それは、『ジェリド・メサの最後の搭乗機はなぜバウンド・ドックだったのか?』です。
一作品中の搭乗機の種数としては「V」に登場するザンスカール帝国のクロノクル・アシャー大尉と並んで最多の7機に搭乗したティターンズのジェリド・メサ中尉ですが、RX-178 ガンダムMk-Ⅱ ⇒ RMS-106 ハイザック ⇒ RMS-117 ガルバルディβ ⇒ RMS-108 マラサイ ⇒ RX-110 ガブスレイ ⇒ RX-160 バイアランとMSもしくは可変MS(以下TMS)を乗り継ぎながらも最後の乗機は可変MA(以下TMA)のNRX-055-2 バウンド・ドック、それもサイコミュを搭載したニュータイプ(以下NT)専用の試作可変MAかつ強化人間のロザミア・バダム中尉の乗機に搭乗しています。
それもその特性上からロザミア中尉専用機であったことに加えてジェリド中尉はバウンド・ドックの前に搭乗していたバイアランで戦果を挙げていたこと、かつ劇中でバイアランが撃墜された描写もないこと、何よりバイアランと比べるとバウンド・ドックに搭乗したジェリド中尉はエゥーゴのMSZ-006 Zガンダムと再戦してあっさり撃墜されたことからもジェリド中尉が最後の乗機がバウンド・ドックであったことに疑問が残る訳です。
それを紐解くにはまずバイアランとバウンド・ドック及びそれぞれとジェリド中尉との関係性を振り返る必要があるかと思うのですが、まずバイアランについてはそれまでの乗機と異なってジェリド中尉に与えられたもしくは選んだ機体ではなく、療養中のキリマンジャロ基地でエゥーゴ及びカラバとの戦闘になった際に同基地に保管してあったテスト中のバイアランを同基地のメカニックの制止も振り切って半ば強引に奪うような形で搭乗しています。
そのバイアランですが、サブフライトシステムの不使用及びTMSやTMAのように飛行形態への変形もせずに人型のまま大気圏内での単独飛行が行えるMSとして試作されるもキリマンジャロ基地で残置されていた機体であった可能性もあります。
ジェリド機の活躍もあってか、ジェリド機の他にバスク・オム大佐乗艦のドゴス・ギアを襲撃するパプテマス・シロッコ大尉麾下のMS部隊にもその姿(3機?)を確認することもできるバイアランですが、試作機かつ残置された可能性も加味すると整備性は決して良くないと思われます。
よって撃墜はされずとも被弾はしていたジェリド機は修理不可能な状況にあり、再出撃は不可能、もしくは再出撃してもその能力を十分発揮できる状況にはなかったと推察されます。
一方、バウンド・ドックの方はロザミア中尉がMRX-010 サイコ・ガンダムMk-Ⅱへの搭乗が決まって乗り手不在であり、かつオークランド研究所を中心にオーガスタ研究所及びムラサメ研究所が携わったバウンド・ドックは地球連邦軍及びティターンズの中でもフラッグシップ機であった可能性もあります。
「Z」終了後にNRX-055-3の形式番号を持つ色違いのジェリド専用の3号機の存在が明らかになる訳ですが、これは特にバイアランの搭乗によってティターンズのエースパイロットへ成長かつNTの資質も垣間見えていたジェリド中尉の次の乗機として専用機が用意されるも間に合わずに急遽ロザミア機に搭乗することになった可能性があると思われます。