五条先生の任務に着いていった。
無事に呪霊は祓われたが、遠い場所だったため日帰りではなくホテルに泊まることになった。
「同室が良いです。」
ホテルの入り口で、ぼそりと呟く。
五条先生は非常階段のマークのような姿勢で止まった後、何故か深呼吸をしてから
入り口をくぐり、ホテルのカウンターに向かっていった。
それを離れたところで見る。
少しそわっとする心を隠しつつ、たとえ別室でもいいとも思っていた。
恵が欲しいけれど18歳までは我慢をすると、一日に一回は宣言をするが、
それは五条先生の勝手だ。
でも、大人としては何か考えがあるのだろう。
.........多分。
いや、五条先生にそんなデリカシーがあるのか?と悩み始めた時
「行こうか。」
その手のひらにあるひとつの鍵に安堵をした。
同室だからといって、何かあるわけでもない。
いつも通り。
ご飯を食べて、別々にお風呂に入り、ソファでくつろぐ。
伊地知さんに電話をしている五条先生の左手に触れつつ
背中にある体温が心地よくて、うとうととしはじめると
電話を切った五条先生に抱えてもらって就寝した。
朝は弱いほうだが、はやめに眠ったからか、好きな相手が傍にいるという
高揚と嬉しさからか、すっきりと目が覚めた。
腕を伸ばして体をほぐしつつ隣のベッドを見ると、いる。
五条先生が、眠っている。
何も考えなんてなかった。
ただ足が、隣のベットに向かった。
にぎやかな日常も良い。
でも。
久しぶりの「ふたりきり」という状況に、浮かれていたのかもしれない。
すうすうと眠る五条先生の横に静かに寝そべる。
眠りを妨げないように気を配ったけれど、やはり気づいたのか、ぼんやりと水晶のような
瞳が開く。
状況がわからないような、寝ぼけつつもはてなマークが飛んでいる先生に一言。
「おはようございます、ダーリン。」
ぱちくりと大きく瞬きをした後、どんどん赤くなる。
俺は、その顔を見て、笑った。