京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

ニワゼキショウとオオニワゼキショウ

2020-05-20 07:35:40 | 園芸・植物・自然環境
まだ京都は緊急事態宣言が継続され、特定警戒都道府県にも指定されていますが、先日39県の緊急事態宣言が解除され、京都府でも一部の休業要請が解除されたためか、少し人出が増えたように感じます。とはいえ、今春は例年より外出する人が少なく、踏みつけられることもないからか、京都御苑の野草たちは苑内のあちこちで繁茂し、例年以上に花盛りのようにも見えます。

緊急事態宣言解除の数日前のことですが、気分転換に京都御苑を散策していたら、ニワゼキショウ(庭石菖)の花が咲き始めていました。北アメリカが原産のアヤメ科ニワゼキショウ属の多年草で、明治時代中期に観賞用として渡来したものが逸出して、全国のあちこちで帰化しています。


(白紫色のニワゼキショウの花)


花色は白紫色と紅紫色があり、どちらも基部が濃紫色になっています。ニワゼキショウ(庭石菖)とは庭や原っぱに生えている石菖という意味でつけられていますが、サトイモ科のセキショウ(石菖)とは花は似ても似つかぬ姿で、葉のかたちが石菖を想起させることから名付けられたようです。ちなみに中国名は庭菖蒲(tíng chāng pú)です。


(紅紫色のニワゼキショウの花)


このニワゼキショウの傍で、ニワゼキショウによく似ているけれどちょっと違う花も咲いていました。こちらの花はオオニワゼキショウ(大庭石菖)です。オオニワゼキショウもニワゼキショウと同じアヤメ科ニワゼキショウ属の多年草で、明治時代に観賞用として渡来し、こちらも逸出して帰化しています。


(オオニワゼキショウの花)


オオニワゼキショウの花色は水色のような淡い青紫色あるいは青紫色だけで、6枚の花弁のうち内側の3枚と外側の3枚の幅が違うのが特徴です。外側のほうが太い(あるいは内側のほうが細い)といった違いがありますが、ニワゼキショウは6枚すべてが同じ幅です。

また、オオニワゼキショウとはニワゼキショウよりも何もかも大きいと思わせるような和名ですが、じつは花の大きさはニワゼキショウよりもオオニワゼキショウのほうが小さいです。


(左と右が色違いのニワゼキショウで中央がオオニワゼキショウ)


では何が大きいのかというと、草丈がニワゼキショウよりも大きいのです。大きいといっても、草丈が10〜20センチメートルのニワゼキショウに対してオオニワゼキショウは20〜30センチメートルの草丈ですので、見た目は少しだけ背が高いかなといった程度です。でも、オオニワゼキショウは花が小さくて背丈が高いので、ニワゼキショウより目立ちにくように見えます。

そうそう、もうひとつオオニワゼキショウのほうが大きいものがありますね。花の大きさを比較した写真で気づかれたかもしれませんが、花後にできる実はオオニワゼキショウのほうが大きいです。


(左がオオニワゼキショウで右がニワゼキショウ)


そういえば、それぞれの群落が近接している場合、一部の群落でオオニワゼキショウの花の色をしたニワゼキショウのような花を見かけることがあります。ひょっとしたら交雑種なのでしょうか。

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