上御霊神社の南門の両脇に植えられたヒイラギ(柊)が花盛りでした。近づいてみると花から漂う香りが周囲に満ちていて、よく見ると葉が斑入りでした。

ヒイラギはモクセイ科モクセイ属の常緑小高木で、ヒイラギの仲間でよく知られているキンモクセイ(金木犀)やギンモクセイ(銀木犀)は中国原産ですが本種は日本在来種です。和名は葉の棘を触ると痛いことから「ひりひりと痛む」という意味の古語「疼く(ひひらく)」にちなむとされています。
また、京都市北区には、上賀茂神社(賀茂別雷神社)の北側に「柊野(ひらぎの)」と呼ばれる地域がありますが、このあたり一帯にヒイラギの木が茂っていたことが地名の由来とされています。ちなみにApple製のパソコンを使われている方だとフォント(書体)に「ヒラギノ」があるのをご存じかと思いますが、このフォント名はこの「柊野」という地名に由来します。

さて、このヒイラギに限らず観葉植物等の葉に斑が入る植物は人気があり、昔から珍重されてきました。たいていは緑葉種の突然変異で斑が入ることが多いのですが、葉の構造的には斑の入った箇所は葉緑体が欠損した状態で、葉緑体の代わりに白色体と呼ばれるプラスチドという器官が細胞内にあります。
この斑入りの植物を育てているとよく起こるのが「斑が消えた」という現象です。京都府立植物園の園芸相談でも時折あるのですが、遺伝的には突然変異で起こったものなので、こう言ってしまうと身も蓋もありませんが年数が経つと「先祖返り」を起こして戻ってしまうことがあるため仕方がない点もあります。また先述の白色体であるプラスチドは葉緑体の前駆物質でもあり、光が当たることによって葉緑体へと分化しますので、数年たったら斑が消えたということも起こりえます。
では光にあまり当てなければよいのかというと、こちらの場合も光の少ないところでは植物自体がより光を求めて光合成を行おうとするらしく、斑入り葉では効率が悪いためすべて緑色の葉を出すようになることもあるようです。つまり斑入りを維持しようとするには意外と高等な栽培技術を要すると言えるかもしれません。それだけに珍重されてきたとも言えるのでしょう。
またヒイラギは通常、和名の由来となった刺々しい鋸歯がはっきりしていますが、棘がなくなり丸みを帯びた葉が出ることもあります。下の写真では右側は棘がはっきりしていますが、左側は棘があまりありません。上御霊神社の斑入り葉のヒイラギも1枚目の写真の葉はあまり棘が見られません。

刺々しい葉と棘のない葉(過去記事より再掲)
これは、ヒイラギの葉に棘がある理由が草食動物に葉を食べられないよう身を守るためと考えられていますが、若い間は樹高も低く葉数も少ないためしっかり棘が出ますが、ある程度大きくなりたくさんの葉を茂らせるほどの樹齢まで育つと葉を食べられる心配がなくなり棘も出てこなくなるようです。なお、園芸種には葉に刺々しい鋸歯がないマルバヒイラギ(丸葉柊)もあり、こちらは最初から葉に棘がない品種です。

マルバヒイラギ(過去記事より再掲)
これから楽しみにされている今月最大のイベントであるクリスマスに使われるのは、このヒイラギによく似たクリスマスホーリーですが、日本在来種のヒイラギも観察してみるといろいろな発見があるかもしれませんよ。

ヒイラギはモクセイ科モクセイ属の常緑小高木で、ヒイラギの仲間でよく知られているキンモクセイ(金木犀)やギンモクセイ(銀木犀)は中国原産ですが本種は日本在来種です。和名は葉の棘を触ると痛いことから「ひりひりと痛む」という意味の古語「疼く(ひひらく)」にちなむとされています。
また、京都市北区には、上賀茂神社(賀茂別雷神社)の北側に「柊野(ひらぎの)」と呼ばれる地域がありますが、このあたり一帯にヒイラギの木が茂っていたことが地名の由来とされています。ちなみにApple製のパソコンを使われている方だとフォント(書体)に「ヒラギノ」があるのをご存じかと思いますが、このフォント名はこの「柊野」という地名に由来します。

さて、このヒイラギに限らず観葉植物等の葉に斑が入る植物は人気があり、昔から珍重されてきました。たいていは緑葉種の突然変異で斑が入ることが多いのですが、葉の構造的には斑の入った箇所は葉緑体が欠損した状態で、葉緑体の代わりに白色体と呼ばれるプラスチドという器官が細胞内にあります。
この斑入りの植物を育てているとよく起こるのが「斑が消えた」という現象です。京都府立植物園の園芸相談でも時折あるのですが、遺伝的には突然変異で起こったものなので、こう言ってしまうと身も蓋もありませんが年数が経つと「先祖返り」を起こして戻ってしまうことがあるため仕方がない点もあります。また先述の白色体であるプラスチドは葉緑体の前駆物質でもあり、光が当たることによって葉緑体へと分化しますので、数年たったら斑が消えたということも起こりえます。
では光にあまり当てなければよいのかというと、こちらの場合も光の少ないところでは植物自体がより光を求めて光合成を行おうとするらしく、斑入り葉では効率が悪いためすべて緑色の葉を出すようになることもあるようです。つまり斑入りを維持しようとするには意外と高等な栽培技術を要すると言えるかもしれません。それだけに珍重されてきたとも言えるのでしょう。
またヒイラギは通常、和名の由来となった刺々しい鋸歯がはっきりしていますが、棘がなくなり丸みを帯びた葉が出ることもあります。下の写真では右側は棘がはっきりしていますが、左側は棘があまりありません。上御霊神社の斑入り葉のヒイラギも1枚目の写真の葉はあまり棘が見られません。

刺々しい葉と棘のない葉(過去記事より再掲)
これは、ヒイラギの葉に棘がある理由が草食動物に葉を食べられないよう身を守るためと考えられていますが、若い間は樹高も低く葉数も少ないためしっかり棘が出ますが、ある程度大きくなりたくさんの葉を茂らせるほどの樹齢まで育つと葉を食べられる心配がなくなり棘も出てこなくなるようです。なお、園芸種には葉に刺々しい鋸歯がないマルバヒイラギ(丸葉柊)もあり、こちらは最初から葉に棘がない品種です。

マルバヒイラギ(過去記事より再掲)
これから楽しみにされている今月最大のイベントであるクリスマスに使われるのは、このヒイラギによく似たクリスマスホーリーですが、日本在来種のヒイラギも観察してみるといろいろな発見があるかもしれませんよ。