寺町御門から京都御苑に入ると大きなイチョウ(公孫樹)の木が出迎えてくれますが、今はギンナン(銀杏)をぽとぽとと落としているので、あの特有な匂いがあたりに漂っています。その隣に、あまり気づかれることがないのかもしれないですが、ドングリの木が植えられており、ちょっと変わったかたちの実をつけます。
これ、スダジイ(すだ椎)の堅果です。誰もが思い浮かべる典型的なドングリと言えば、殻斗と呼ばれる部分がいわゆるベレー帽のようなかたちをしたものだと思いますが、スダジイは殻斗に覆われた状態で大きくなります。
そして、成熟するにつれバナナの皮が剥けるように殻斗が裂けて外側に捲れていき、堅果が顔を出し始めます。堅果もよく見ると、殻斗の分かれ目に沿って筋が入っているようで、ここに爪を立てると硬い殻も剥きやすそうに見えます。
同じような堅果をつけるものにツブラジイ(円椎)があり、この2種が日本に自生するブナ科シイ属に分類されるドングリで、狭義でシイ(椎)というとこの2種を指すことになりますが、実際は近縁のマテバシイ属に分類されるマテバシイ(馬刀葉椎/全手葉椎)も含めて呼んでいることが多いでしょうね。
風が吹き抜けるとぼとぼととドングリが落ちてきますが、堅果だけが落ちることもあれば、殻斗ごと落ちることもあるようです。
それと、葉の表は深い緑色をしていますが、葉の裏は褐色をしているのも特徴的と言えるでしょうか。
なお、スダジイという和名の「すだ」の語源は明らかでなく、堅果が巻貝のシタダメ(シタダミとも)に似ていることからシタダメシイが転訛したという説もあれば、シイタケ(椎茸)の原木に使われるスダジイのほだ木(榾木)のことをすだ木(素台木)と呼ぶこともあるようで、すだ木のシイが転訛したという説もあるようです。
なおツブラジイは、細長い堅果のスダジイに比べて丸くて小さいことから、つぶらなシイという意味で名付けられたのだと思います。
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そうそう、先ほど硬い殻が剥きやすそうと書いたのは、スダジイやツブラジイの堅果はタンニンが少なく、渋みやアクがほとんどないため生食できると聞いたからです。数粒だけ家に持ち帰って早速、試しに食べてみました。渋皮も剥くと、こんな色をした実が出てきます。
味はほぼ無味という感じですが、なんとなく甘みがあるような気がしました。フライパン等で空炒りすればピーナッツなどのナッツ類代わりにもいけると思います。
じつは、これまで一度も食べたことがなかったので、初めて食べてみました。
ふふふ、そう思いますよね。この記事でも漢字で表記しようとしたところ、最初に出てきた候補が「須田爺」でした。🤣
久しぶりに見たので懐かしく思い出されました。ありがとうございます😊