京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

金戒光明寺の御影堂近くにある生け垣の木は何?

2019-07-17 06:44:10 | 園芸・植物・自然環境
浄土宗の大本山で、通称「くろ谷さん」で知られる金戒光明寺の御影堂の西側には、北門へと向かう道と塔頭に通じる道とがありますが、ちょうど長安院の北側で、西翁院へと続く参道沿いの塀につる性の植物が絡みついています。




そして、よく見ると果実のようなものができていますが、この植物の名前はご存じでしょうか?




じつはこの植物、オオイタビ(大崖石榴)という植物で、イチジク(無花果)の仲間です。クワ科イチジク属のつる性植物で、近縁のイタビカズラ(崖石榴)より大きくなることからオオイタビと名付けられています。果実に見えるものは「花嚢」と呼ばれるもので、他の植物の花にあたります。オオイタビは雌雄異株のため、雄株につく雄花嚢の内部には雄花と雌花が、雌株につく雌花嚢の内部には雌花がつきます。




また、それぞれ熟すと他の植物の果実にあたる「果嚢」になりますが、受粉するにはイチジク同様にイチジクコバチ類の助けが必要です。また秋に熟した果嚢は食べられますが、おいしいのは雌株の果嚢だけで、雄株の果嚢はおいしくありません。雄花嚢と雌花嚢は若干かたちが異なり、雄花嚢は釣鐘型で雌花嚢は球状になるので、この形状で見分けることができると思います。




またオオイタビは沖縄など南西諸島などでは自生しており、サンゴで作られた石垣塀の補強にこのオオイタビを絡ませることがあるそうです。




また台湾では、島に分布するオオイタビの変種を現地では「愛玉子」と呼び、この果嚢から作る寒天状のスイーツが「オーギョーチ」です。オーギョーチとカタカナで書きましたが、じつは愛玉子と書いてオーギョーチと読みます。




よく見ないと気づきにくいのですが、もし金戒光明寺に参拝される際、境内を寄り道してちょっと観察してみるのも楽しいのではないでしょうか。目印は御影堂横に植えられているボダイジュの木です。

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