京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

立ち上がる雌しべ

2020-06-04 06:39:22 | 園芸・植物・自然環境
当倶楽部の会員の方から、おうちで育てているツキミソウ(月見草)のお写真をいただきました。毎日、次々と咲き始めているとのことで、ほころび始めた蕾から咲き始めや花盛りの状況を追いかけてみましたという文章が添えられていました。


ほころび始めの蕾(2020年5月下旬・午後6時30分頃)



開ききってすぐの頃の花(2020年5月下旬・午後7時20分頃)



開花中(2020年5月下旬・午後9時15分頃)


ところで、このツキミソウですが咲き始めて間もない頃の花を見ると雌しべが横に寝ている状態になる特徴があるのだそうです。2枚目の写真で、向かって右側に傾いているのがわかりますでしょうか。この後、数時間で3枚目の写真のように雌しべは立ち上がります。

どうしてこのような行動を起こすのかよくわかりませんが、少しインターネットで調べてみたところ、ツキミソウは虫媒花で開花して間もない頃は他家受粉(他の花の花粉を受粉すること)するため、同じ花の葯や花粉が柱頭に触れないようにして虫が来やすいように雌しべが倒れて外に飛び出しているとの記述を見つけました。そして、他家受粉に失敗した場合は自家受粉(同じ花の花粉で受粉すること)するため徐々に雌しべが立ち上がるということなのですが、どうなのでしょうか。この情報の出典がわからないので、真偽の程は定かではありませんが。

ただし、雌しべが横に寝ているときの写真(2枚目の写真)をよく見てみると、雄しべの葯も成熟して花粉を出し始めています。これだと、風が吹いたりすると自分の花粉で受粉してしまうことはないのか、まずは積極的に他家受粉したいのであれば、雄しべの成熟をもう少し遅らせたほうがよいのではという疑問が残ります。


また、ツキミソウと同じアカバナ科マツヨイグサ属で同じような行動を起こす植物があるか調べてみたところ、2年前に撮影したヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)でも同じような状況の花の姿を捉えていました。




撮影したのは4月下旬の午前9時頃ですが、横に寝ていた雌しべが徐々に立ち上がり始めているところなのでしょうか。ヒルザキツキミソウは継時変化を観察したわけではありませんので、ひょっとしたらずっと傾いたままかもしれません。




もし雌しべが横に倒れているときに人為的に他家受粉させたら、その後の雌しべはどのような挙動を示すのか。寝たままなのか、それとも自家受粉する雌しべと同じように立ち上がるのか。いろいろ調べてみたいなと、興味が湧いてきました。

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