通称「くろ谷さん」で呼ばれる金戒光明寺の塔頭のひとつで、紫雲石でも知られる西雲院ですが、この時期になると本堂前に置かれた蓮鉢の花蓮が楽しめるので、咲いていないか参拝がてら伺ったところ、花蓮はタイミングが悪く、代わりに咲いていたのがこちらでした。
ショウジョウソウ(猩猩草)の花です。花は目立つものではなく、中央に集まっている、ぽつぽつしたものが花で、雌雄異花です。
焦点がしっかりと合っていないので写りがぼやけた感じですが、それぞれ少し解説すると青い丸印が総苞(雄花の集合体。雄しべひとつで雄花ひとつです)で水色の矢印は腺体です。そして、黄色い四角で囲ったものが雌花です。
実際は、花を取り囲むようにして赤く色づいた苞葉が鑑賞価値を高めていると言えるでしょうか。全体を撮影できていませんが、葉はバイオリンを想像させるような独特なかたちをしています。
また「じつは……」と言うより見た目のとおりかもしれませんが、ポインセチアの仲間です。夏に花が咲いて苞葉が色づくことから「サマーポインセチア」とも呼ばれます。
ちなみに、和名のショウジョウソウは色づいた苞葉を空想上の動物で顔が赤い「猩猩」に譬えたことに由来し、ポインセチアもショウジョウボク(猩猩木)という和名を持っています。
はい。この時期に鮮やかな朱色だと暑苦しく感じるかもしれませんが、確実に目を引いて記憶に残る花だと思います。