今年はコロナ禍のこともあり、元日の早朝に氏神様への参拝を済ませた後はゆっくり家で過ごすことにしたため、三が日はほとんど食っちゃ寝でした。これではいけないと思い、近所を散歩がてら鴨川まで足を伸ばすと河川敷の花壇に植えられたアツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)がこの時期に花を咲かせ始めていました。
北アメリカに分布するリュウゼツラン科の常緑性低木で、学名(属名)のユッカの名前でも呼ばれるアツバキミガヨランは、花期が5月から6月の初夏にかけてと10月から11月の秋にかけての2回ありますが、この時期に咲くのはちょっと珍しいかなと思います。
また、花は自家受粉で結実しますが、自然状態では受粉しません。受粉には共生関係にあるユッカ蛾の存在が不可欠です。ユッカ蛾の親がアツバキミガヨランの花に卵を産みに来ることで受粉が行われ、孵化した幼虫はアツバキミガヨランの実を食べながら成長しますがすべて食べ尽くすことなく羽化するため、双方が子孫を残すことができるわけです。
アツバキミガヨランにとっては少し痛みのある関係のように見えますが、このような相利共生の関係が厳しい状況に置かれているコロナ禍の現状においてより必要かつ重要なことになってくるのではないでしょうか。もちろんコロナ禍では接触が制限されるという条件がつきますが、現在はオンライン環境も活用できる社会です。たとえ社会貢献を意識した行動でなくても、普段の生活を楽しむことが社会を豊かにすることにつながっている、そのような暮らしを構築していければよいのでしょうか。