京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

一つひとつ熟れ始めています

2022-10-01 18:18:09 | 園芸・植物・自然環境
今日から10月ですね。数日前の9月末に、そろそろできているかなと思って見に行ってみると、まだ殻斗に包まれたままのものが多いですが、熟し始めて色づいているものもありました。



京都御苑の寺町御門近くに植えられているスダジイ(すだ椎)のドングリ(団栗)です。ドングリと聞くとベレー帽のような殻斗を被ったものを想像しがちですが、スダジイとその基本種であるツブラジイ(円椎)やブナ(橅)は熟すまで殻斗が帽子のように堅果を包み込んでおり、熟すとまるでバナナの皮がめくれるように堅果が顔を出し始めます。



そして、このスダジイとツブラジイに加えて、名前にシイとつきますが別属のマテバシイ(馬刀葉椎/全手葉椎)のドングリはアク抜きすることなく食べることができ、香ばしい匂いがするまで乾煎りしたり、そのまま生でもいけますよ。

昨年にあげた記事で取り上げていますので、こちらはお時間ありますときにでもご覧ください。
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このスダジイですが、たいていは堅果ひとつだけが殻斗に包まれているのですが、よく見ると双子や三つ子のドングリがあり、堅果が大きくなるにつれ包みきれなくなるのか青いままの状態で堅果が姿を表しています。



別の枝でも双子や三つ子の集団を見つけました。



このような現象はスダジイだけでなく他のブナ科のドングリでも見られるようです。ドングリを作る樹種に共通する祖先が複数の堅果をつけていたとされ、進化の過程で確実に堅果(種子)を育てるためにひとつだけになったと考えられているそうで、これは先祖返りの現象とも言えるでしょうか。

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熟すまでもう少し時間が掛かりそうなスダジイですが、その横では特徴的な匂いを放ちながら実が熟していました。そうギンナン(銀杏)です。



京都御苑内にはよく知られた大きなイチョウ(公孫樹)の木がいくつかありますが、この木は勝手に『寺町御門のイチョウ』と呼んでいましたが、最近になって立て札が横に添えられるようになり、このイチョウは『林丘寺御里坊の公孫樹』なのだそうです。



御里坊(里坊)というと一般的には山寺で修行した僧侶が住み込む隠居坊のことで、京都近辺では延暦寺の里坊が有名でしょうか。

どうやら、このあたりが林丘寺の御里坊の跡地だそうで、林丘寺は山寺とまでは言わないまでも、後水尾天皇の指示で造営された修学院離宮のそばに第8皇女の朱宮光子内親王のために設営された山荘が元で、後水尾天皇(後水尾上皇)崩御の後に内親王が出家して門跡寺院となっています。朱宮光子内親王(出家後は照山元瑶)か、以降の尼門跡の里坊だったのか、詳しくは私にはわかりません。

調べても、考えても、わからないものはわからないものなあと思っていたら、どこかから馥郁とした花の香りが……

これはキンモクセイ(金木犀)と気づきながらも、花が咲いている姿が見つからず、ようやく見つけたのは宗像神社のある間之町口の近く。



花数が少ないので咲いていることに気づきにくいのですが、この程度でもしっかり香りが漂うことに、少しびっくりです。

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2 コメント

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Unknown (ra9gaki_do)
2022-10-01 18:39:19
京都園芸倶楽部さま、こんばんは(^-^)
今日も大変お疲れ様でした。
いつも温かいリアクション
ありがとうございます。

慌たゞしく9月が去り
物静かな10月到来しました。
穏やかで幸せな神無月に
なりますように。
季節の変わり目ですね。
お体くれぐれもご自愛下さい。

10月もどうぞ
宜しくお願い致します(^-^)
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Unknown (kyotoengeiclub1923)
2022-10-01 18:51:09
@ra9gaki_do 楽描堂様、こんばんは。
いつもありがとうございます。
今日から10月ですね。

彼岸の入りの頃から朝晩は涼しくなったもののまだ日中は夏のような日もある京都。
それでも植物たちは早くも秋の装いに移ろい始めているようなので、深まるごとに秋を満喫したいです。😊

季節の変わり目、お互いに体調には気をつけて過ごしてまいりましょう。
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