盂蘭盆の期間中、家の近所を散策していると住宅街の軒下の鉢植えで見つけたのがこちら。
はい、思い思いにあちこちへと飛び交うような咲き姿のサギソウ(鷺草)の花です。一羽だけ単独で飛んでいるように咲いているほうが美しいかな?
前へ伸びる唇弁のうち中央の中裂片を胴体に、両側の側裂片を羽に見立ててシラサギ(白鷺)の飛び姿に譬えたものですが、上に立つように出ている側花弁が横からS字に見えれば、もう完璧でしょうか。
サギよりハクチョウ(白鳥)に譬えるほうが可憐なのではと思ったのですが、中国ではどのように呼ばれているのか調べてみたら「狭葉白蝶蘭」でした。白鳥ではなく白蝶のようです。ちなみに韓国語ではハングル表記ですが「해오라비 난초(ハオラビ ナンチョ)」と呼び、最後の「난초」がラン(蘭)で、最初の「해오라비」はゴイサギ(五位鷺)を意味する「해오라기(ヘオラギ)」から派生した言葉だそうで、おそらく日本語でもありがちな転訛音かもしれません。
各国の呼び名の脱線はさておき、和名の由来となったシラサギの写真をこれまでに撮影していたかなと探してみると3年前の春先に京都府立植物園の樹木の枝に止まるコサギ(小鷺)を撮影していました。
やっぱり飛んでいる姿でないと似ていないですよね。こちらのような姿だと「どこが似ているの?」となってしまいそうです。
ちなみに、現在は名古屋駅(一部は米原駅)発着で金沢駅とを結ぶ特急列車の名前にもなっているシラサギ(特急列車は「しらさぎ」とひらがな)ですが、野鳥の分類としてシラサギという種名の鳥は存在せず、白色のサギの総称として使われているだけで、主に先ほどのコサギとチュウサギ(中鷺)とダイサギ(大鷺)のことになるかと思います。
それぞれの違いは、コサギが一番小さく、足の指が黄色くて夏羽だと冠羽があることからわかりやすいかもしれません。またコサギとダイサギは留鳥でチュウサギは夏鳥なので、主に見ているのはコサギとダイサギになるかと思います。
ではチュウサギの見分け方というと、おそらくダイサギとの区別になるかと思いますが口角の位置が違い、チュウサギは口角が目の下で終わるのに対しダイサギは目の下よりも後ろ(喉側)まで伸びているという違いがあるのと、ダイサギは嘴が長くて尖っているのに対し、チュウサギはダイサギより嘴が短くてあまり尖っていないという違いもあるといえるかもしれません。
写真がないので、下手な説明より一目瞭然といかないのが残念なのですが……